大規模な感染拡大
“長期化で医療危機も“ 都モニタリング会議

2022年2月25日

東京都のモニタリング会議で専門家は、都内では新型コロナウイルスの大規模な感染拡大が続いているほか、入院患者や重症の患者が高い値で推移しているとして、今の状況が長期化すれば医療提供体制が危機に直面すると警戒感を示しました。

2月25日の会議で専門家は、都内の感染状況と医療提供体制の警戒レベルを、いずれも4段階のうち最も深刻なレベルで維持しました。

このうち感染状況については「大規模な感染拡大が継続している」と分析しました。

新規陽性者の7日間平均は2月23日時点で1万3057人と、前の週の90%に減少したものの、専門家は「依然として極めて高い値でとどまっている」と指摘しました。

そして「増加比がわずかでも上昇すれば、感染の再拡大のおそれがある」と懸念を示し、誰もが感染者や濃厚接触者になる可能性があるとして、対策の徹底を重ねて呼びかけました。

また、医療提供体制について専門家は「ひっ迫している」と分析しました。

2月23日時点で、入院患者は4172人、重症の患者は80人と、いずれも前の週とほぼ同じで、高い値で推移していると説明し「今の感染状況が長期化すれば医療提供体制が危機に直面する」と警戒感を示しました。

さらに一般病床の満床が続いているうえ、医療従事者が感染したり濃厚接触者になったりして人手の不足が常態化し、救急医療機関では救急患者の受け入れが極めて困難になっていると指摘しました。

また専門家は、高濃度の酸素を大量に投与する「ハイフローセラピー」を行っているなど、重症患者に準ずる人は、2月23日時点で208人と、前の週から30人余り増えていると説明しました。

専門家は「中等症患者の中から一定割合で重症患者が発生しているため、中等症患者数の把握が重要だ」と指摘しました。

都内の入院患者数と重症患者数を具体的に見ていきます。

入院患者数

都内の入院患者は、2月7日に4000人を超えたあと、4000人台が続いています。

これまでで最も多い、2021年9月4日の4351人を超えることはないものの、2月19日に、第6波では最多となる4273人となりました。

その後は、ほぼ横ばいで、2月時点では4163人です。

専門家は、2月23日時点で入院患者の73%が60代以上だったと説明したうえで「高齢者の入院患者数および、その割合が増加していて、医療機関は多くの人手を必要とするようになっている」と指摘しています。

重症患者数

また、都の基準で集計した人工呼吸器などを使用している重症の患者も、ほぼ横ばいで、2月19日と20日の時点では、第6波では最多の87人、2月24日時点では81人です。

重症患者の8割余りは60代以上で、専門家は「たとえ肺炎は軽症でも、併存するほかの疾患のため集中治療を要する患者数も高い値で推移していて、増加に警戒する必要がある」と指摘しています。

コロナ患者用の病床 310床増えて7229床に

東京都は、新型コロナウイルスの患者用に確保している病床が、これまでより310床増えて7229床となったと発表しました。

310床は、都が開設した臨時の医療施設の病床です。

内訳は、
▽高齢者施設でクラスターなどが発生した場合に対応する病床として、1つの民間病院と3つの都立・公社病院の合わせて250床、
▽妊婦を受け入れる病床として3つの都立・公社病院の合わせて60床です。

また、都は、オミクロン株の特性を踏まえて新たな基準で集計した重症患者用の病床数は、これまでより54床増えて804床となったと発表しました。

このほか、都は新型コロナに感染したり、その疑いがある発熱患者を診察する都内の4200の医療機関すべてを2月25日からホームページで公表しました。

これまでは、医療機関から同意がとれなかったため、公表は半数にとどまっていましたが、新たに同意がとれるなどしてすべての公表が可能になったと説明しています。

公表は、一部の医療機関に患者が集中して現場がひっ迫する事態を緩和するとともに、患者が医療にアクセスしやすくするねらいもあります。

感染力が高い「BA.2」への感染増加 8割余が市中感染

オミクロン株の一種で「BA.2」と呼ばれる系統のウイルスは、現在、広がっているウイルスよりも感染力がさらに高いと指摘されています。

都内では2021年12月と、ことし1月に新型コロナウイルスの感染が確認された人を対象に、都などが行ったゲノム解析でこのウイルスに感染している人が、これまでに6人確認されていました。

モニタリング会議では、最新の解析結果が明らかにされました。

それによりますと、さらに24人増加して合わせて30人になったということです。

30人のうち、8割余りにあたる25人は海外への渡航歴がなく、渡航歴がある人との接触も見つかっておらず、市中感染とみられるということです。

また、都は、2月21日までの1週間で「BA.2」系統のウイルスを見つけるためのPCR検査を104人に対して行った結果、4人がこのウイルスに感染した疑いがあることがわかったということです。

判定不能だった人を除くと、感染の疑いは全体の4.2%で、前の週の1.3%から2.9ポイント増加しています。

専門家は「BA.2系統のウイルスが発生する割合の増加傾向が見られる。このウイルスは、より感染力が強いと言われているため警戒が必要で、引き続き動向を監視していく」と話しています。

都内 高齢者の半数近くが3回目接種

都のモニタリング会議で、ワクチンの3回目の追加接種を終えたのは、都内の65歳以上の高齢者の半数近くとなったことが報告されました。

それによりますと2月23日時点で、3回目の接種を終えたのは都内の18歳以上の人のうち、19.6%にあたる234万747人です。

接種率は全国平均を0.3ポイント上回っています。

このうち、65歳以上の高齢者は150万6055人で、高齢者の接種率は48.0%となり、全国平均を6ポイント上回っています。

専門家は「3回目の追加接種は、オミクロン株に対しても効果が期待できることから、ワクチンを早期に確保するとともに、希望する都民に接種を推進する必要がある」と話しています。