都 「新規陽性者数の増加比 著しく上昇」
警戒レベル引き上げ

2022年1月6日

東京都内の感染状況などを分析、評価する都の会議で、専門家は「新規陽性者数の増加比が著しく上昇している」などとして、感染状況の警戒レベルを1段階引き上げるとともに、オミクロン株への置き換わりによる急速な感染拡大への警戒を呼びかけました。専門家は「今の増加比が今後も続けば爆発的な感染拡大となる」として、強い警戒感を示しました。

1月6日開かれた都のモニタリング会議で、都内では、1月5日までの新規陽性者の7日間平均が134.7人となり、1週間前の43.7人から大幅に増加していて、増加比がおよそ308%になったことが報告されました。

専門家は「新規陽性者数の増加比が著しく上昇し、これまでに経験したことのない高い水準になった」と述べました。

そのうえで、感染状況の警戒レベルを一段引き上げ、4段階のうち上から3番目の「感染拡大の兆候があると思われる」にしました。

上から3番目になるのは、2021年10月21日以来です。

また、専門家は、オミクロン株への置き換わりによる急速な感染拡大に警戒を呼びかけたうえで「今の増加比が今後も続けば爆発的な感染拡大となる」として、強い警戒感を示しました。

一方、医療提供体制については、入院患者が1月5日時点で373人と、1週間前より167人増えたものの、重症患者は3人で「現時点ではオミクロン株の感染者から重症患者は出ていないが、今後の推移を注視する必要がある」と報告されました。

そのうえで、専門家は「通常の医療との両立が安定的に可能な状況にあると思われる」として、医療提供体制の警戒レベルは最も低いレベルで維持しました。

パーティーやアイドル公演で感染も

モニタリング会議で東京都の担当者は、この年末年始に確認された新型コロナの感染事例の一部を報告しました。

それによりますと、100人規模のパーティーに参加したり、海外から帰国した友人を含む12人と宴会したりするなど、会食が感染経路となる事例が多く見られたということです。

さらに、仲間20人で複数の遊戯施設を移動して5時間にわたって行動したり、アイドルグループのメンバーがマスクをつけずに公演活動を行ったりした事例では、クラスターの発生も確認されているということです。

会議の中で、東京都福祉保健局の中村倫治局長は「こうしたリスクの高い行動にオミクロン株が相まって感染の急拡大につながっていると考えられる。基本的な感染防止策の徹底が重要だ」と述べ、対策への協力を呼びかけました。

小池知事「新たなフェーズに」対策の見直し検討

モニタリング会議のあと、東京都の小池知事は記者団に対して、感染が急拡大していることをうけて、現在、都の認証を受けている飲食店で、1グループ8人までとするよう協力を求めている利用人数について、見直しを検討していることを明らかにしました。

このなかで小池知事は「コロナとの闘いが新たなフェーズに入ったということを、私たちは強く意識しなければいけない。年末年始に、高いリスクを伴う行動をとったところでクラスターが発生している。週末は3連休になり、感染が広がりやすい条件がそろっているので、正しいマスクの着用や3密の回避など、基本的な感染防止対策の徹底をお願いしたい」と話していました。

そのうえで「オミクロン株は、まだまだ不明なことが多いが、感染が急拡大しているので対策が必要だ」と述べ、現在、都の認証を受けている飲食店で、1グループ8人までとするよう協力を求めている利用人数について、見直しを検討していることを明らかにしました。

このほか、都の施設への入場制限をさらに強化することも検討しているということです。

専門家「先手先手で対策していく必要」

モニタリング会議のあと国立国際医療研究センターの大曲貴夫国際感染症センター長は、オミクロン株の感染者について「比較的、若い人が多く、無症状や軽症の人がほとんどで、現時点では第5波とは全然違う状況といえる。ただ、今まで経験したことのないスピードで広まっていく可能性があるので、先手先手で対策していく必要がある」と話していました。

また、東京都医師会の猪口正孝副会長は「軽症者の割合が多いと、宿泊療養や自宅療養の人の割合が大きくなる。早期発見によって治療をしっかりしていき、重症や中等症になることを防ぐことが大事になってくる。第5波のてつを踏まないよう、自宅療養や宿泊療養の態勢を厚めにすることを考えている」と話していました。