飲食店8人までOK 旅行で補助金も
東京都の新たな対策は

2021年11月25日

新型コロナウイルスの感染状況が改善するなか、東京都は11月25日、12月以降の新たな対策を決定しました。

飲食店に協力を求めている利用人数を1グループ当たり8人までに拡大します。

一方で、第6波へ備えるための対策も。

最新の動きをまとめました。

都民の都内旅行 1泊当たり5000円補助へ

東京都は観光産業の回復に向けて、都民の都内への旅行を対象に、1泊当たり5000円、日帰りは1回当たり2500円を補助することになりました。

都は、感染の第6波に備えた医療提供体制の確保や経済の再生を軌道に乗せるための取り組みとして、11月30日から始まる都議会に提出する補正予算案をまとめました。

このうち観光産業の回復に向けては、都民の都内への旅行を対象に
▽1泊当たり5000円
▽日帰りは1回当たり2500円を補助する事業に、33億円を計上しています。

60万泊分にあたる費用で、都は感染状況を見極めながら、国の観光需要の喚起策「Go Toトラベル」の再開に合わせて実施することにしています。

「観光客が増えるきっかけになるのでは」

11月25日、平日にもかかわらず若者やカップルなど多くの人の姿が見られた東京 浅草では、観光客が増えるきっかけになるのではと期待の声が聞かれました。

おみやげ店の中塚よしみさんは、緊急事態宣言が解除されて日を追うごとに人通りが増えていると感じています。

店の売り上げは2021年9月までは例年の1割程度でしたが、10月からは半分程度まで戻ってきているということです。

中塚さんは「人通りは増えましたが、まだ財布のひもはかたいと感じます。都内への旅行を対象に補助があればおみやげを買ってくれる人も増えるのではないか」と話していました。

都の医療提供体制 最も低い警戒レベルに

東京都は、11月25日に都内の感染状況と医療提供体制について専門家が分析・評価するモニタリング会議を開きました。

専門家は医療提供体制について、4段階のうち最も低い警戒レベルに引き下げました。

専門家は「救急患者の受け入れ体制はいまだ影響を受けている」と評価したものの「通常の医療との両立が安定的に可能な状況である」と総括しています。

また、10月28日に最も低いレベルに引き下げられた感染状況の警戒レベルは、25日も維持されました。

都のモニタリング会議は、2020年7月から行われていますが、感染状況と医療提供体制の両方が最も低いレベルとなるのは今回が初めてです。

専門家 “冬に備え対策を”

会議では感染拡大のリスクが高くなる冬に備えた対策の必要性などが専門家から指摘されました。

このうち、軽症患者の治療薬として承認されている「中和抗体薬」は、これまで使ってきた医療機関や宿泊療養施設以外に高齢者施設への往診でも使えるようにするなど、さらなる体制の整備が必要だと指摘されました。

また、新たに確認された感染者のうち無症状の人の割合は11月15日までの1週間は19.3%だったのが、11月22日までの次の1週間では26.9%に上昇しているとして、症状がなくても感染源となるリスクがあることに注意する必要があるとしています。

また、年末年始に向けて会食の機会が増えると予想されるとして、会食や飲み会を行う時は、マスクを外したまま長時間、大人数で会話することで感染リスクが高まることを繰り返し啓発する必要があるとしています。

このほか、ワクチン接種をさらに推進していく必要があるほか、2回接種したあとも感染する可能性があるため、ふだん会っていない人との飲食や旅行など感染リスクの高い行動を引き続き避けて基本的な感染防止対策を徹底する必要があるとしています。

飲食店の利用人数を1グループ8人までに拡大 12月以降

このあと開かれた新型コロナウイルス対策本部会議では、12月以降の新たな対策を決定しました。

このうち飲食店に協力を求めている利用人数は、都の認証を受けている店舗ではこれまでの1グループ当たり4人までから倍の8人までに拡大します。

期間は12月1日から年末年始を含めた2022年1月16日までです。

1グループ9人以上の場合は、感染リスクを減らすためにワクチンの接種証明などを活用するよう飲食店に呼びかけることにしています。

認証を受けていない店舗では1グループ4人までとし、酒の提供は午後9時までにするよう協力を求めることにしています。

感染拡大傾向の場合 PCR検査無料に

一方、東京都は第6波への備えとして、感染拡大の傾向が見られた場合は知事の判断で不安を感じている人の検査費用を無料にすることになりました。

第6波への備えとして、12月中旬から都の大規模会場での3回目のワクチン接種をはじめ、最終的に6か所程度の会場を設けることにしています。

健康上の理由などで接種できない人については、PCR検査などを無料にすることにしています。

感染拡大の傾向が見られた場合には、知事の判断で、感染への不安を感じている人についても無料にします。

都としては、経済活動を下支えするだけでなく実際に感染が拡大する前の段階で検査を無料にすることで、早期発見と治療につなげ急激な感染拡大を防ぎたい考えです。

小池知事「この機を捉え 第6波への備えを」

東京都の小池知事は「感染状況が落ち着いているこの機を捉えて、第6波への備えを確実に進めていく」と述べました。

そのうえで「いったん感染が拡大すると、医療提供体制に限らず経済活動、都民生活に大きな影響を及ぼす。年末年始は、旅行や帰省、飲食など人の活動が活発になり、感染拡大のおそれがあるシーズンでもある。去年もこの時期に感染が拡大したことを思い出してもらい、対策の徹底をお願いしたい」と述べ、協力を呼びかけました。