オミクロン株対応ワクチン
無料の公的接種に 来週から開始へ

2022年9月14日

新型コロナウイルスのオミクロン株に対応したワクチンの接種について、厚生労働省は、無料で受けられる公的接種に位置づけたうえで、来週から始める方針を決めました。
厚生労働省は、年末年始に懸念される感染拡大に備え、希望する人が年内に接種を終えることを目指すとしています。

厚生労働省は9月14日、専門家でつくる分科会を開き、アメリカの製薬会社、ファイザー社とモデルナ社のワクチンを使用して、無料の公的接種を開始する方針を決めました。

対象となるのは、従来のワクチンで2回目までを終えている12歳以上のすべての人で、前回の接種から少なくとも5か月以上経過していることが条件となります。

9月20日に4回目をまだ接種していない高齢者や医療従事者などから開始され、10月半ばまでに順次、対象が拡大されます。

3回目までを終えた多くの人にとって、4回目としてオミクロン株に対応したワクチンが接種できるようになるほか、すでに4回目を接種した人の5回目や、2回目まで接種した人の3回目として使用されます。

効果について厚生労働省は、オミクロン株に対し従来のワクチンを上回る重症予防効果や、持続期間が短い可能性はあるものの、感染予防効果や発症予防効果が期待されるとしています。

厚生労働省は、年末年始に懸念される感染拡大に備え、希望する人が年内に接種を終えることを目指すとしていて、今後、5か月としている前回の接種からの間隔を短縮する方針です。

また、2回目の接種の実績から、オミクロン株に対応したワクチンの接種対象となる人は1億人余りに上りますが、厚生労働省は、年内に十分な量のワクチンが輸入される見通しだとしています。

専門家 “従来のワクチン接種予定の人は切り替えをおすすめ”

新型コロナのオミクロン株に対応したワクチンについて、専門家は、基礎疾患のある人や高齢者の早めの接種を呼びかけているほか、近く、従来のワクチンを接種する予定がある人については「基本的にはオミクロン株対応のワクチンに切り替えて接種することをおすすめしたい」としています。

国際医療福祉大学の松本哲哉主任教授は、オミクロン株に対応したワクチンについて「接種後の抗体価の上がり方は従来のワクチンと比べ、1.5倍から2倍まで上がるというデータが出ている。重症化を予防することが重要なので、基礎疾患のある人や高齢者は早めに接種をしてほしい。また、若い人は後遺症リスクが高いので自分事として接種をしてもらいたい」と話しています。

また、松本主任教授によりますと、2021年2回接種し、ことしは接種していない人や、3回接種してから時間がたっている人は、オミクロン株に対してのワクチンの有効性が下がっていて、これまで感染した人も今後再び感染する可能性があるとしています。

そのうえで「今は感染者数が減っているが、秋・冬の時期には再び増える可能性がある。多くの人がワクチンを打って免疫を持った状態で次の流行に備えるのが大事だ」と指摘しています。

では、従来のワクチンを近く接種する予定がある人はどうしたらいいのか。

松本主任教授は「従来のワクチンを来週接種できるが、1か月後ならオミクロン株に対応するワクチンを接種できるということであれば、基本的には、オミクロン株対応のワクチンに切り替えて接種することをおすすめしたい。ただ、感染リスクが高いなど早めに接種したい場合は、従来のワクチンでも重症化の予防効果はある」と話しています。

そして、ワクチン接種をめぐる今後の見通しについては「ずっと接種し続けるかというと、状況は変わると思う。ウイルスの変異がどう出るかにもよるが、順調にいけば、年に1回接種すればよいという効果の高いワクチンが出てくると思う。接種の間隔が長くなり、インフルエンザと同じような対応になることが望ましい」と話しています。

日本医師会「12月までの早い段階で多くの方に受けてもらう」

日本医師会の釜萢常任理事は記者会見で「オミクロン株に対応したワクチンは重症化の予防効果のほか、感染や発症を予防する効果も期待できる。これまで正月休みの終わりごろから感染の拡大が見られていて、12月までの早い段階で多くの方に接種を受けてもらうことが極めて重要だ」と指摘しました。

そのうえで「岸田総理大臣が発言した一日100万回の接種を実現し、さらに積み増しも行う必要ある。地域の集団接種や職域接種、個別の医療機関でも可能なかぎり実施するなど、総力態勢が必要で、医師会としてもワクチンの効果や安全性を国民に理解してもらい、接種を進めていきたい」と述べました。