新型コロナ全数把握
加藤厚労相と分科会の尾身会長ら意見交換

2022年8月17日

新型コロナの感染者の全数把握の見直しに向け、加藤厚生労働大臣は、政府分科会の尾身会長らと意見を交わしました。
尾身会長は、見直すのであれば、都道府県別の感染状況などをしっかり把握できる新しい仕組みの構築が重要で、集中的な議論が必要だという考えを伝えました。

新型コロナの全数把握をめぐっては「HER-SYS」と呼ばれる国のシステムに、患者の情報を登録する作業などが医療現場の負担になっているという指摘が出ていることから、厚生労働省は専門家や自治体などの意見も聞きながら見直しの検討を始めることにしています。

加藤厚生労働大臣は8月17日、政府分科会の尾身会長らと意見を交わしました。

この中で加藤大臣は「岸田総理大臣から、新型コロナ対策を段階的に見直し、社会経済活動の正常化を目指すよう指示を受けている。いろいろな話を聞かせてほしい」と述べました。

これに対し尾身会長は、定点調査の活用を検討することや重症化が懸念される患者の情報把握を続けることなどが必要だとしたうえで、全数把握を見直すのであれば、都道府県別の感染状況などをしっかり把握できる新しい仕組みの構築が重要で、集中的な議論が必要だという考えを伝えました。

尾身会長 “全数把握見直すタイミング 具体的な話なし”

意見交換のあと、政府分科会の尾身茂会長が取材に応じ、新型コロナの感染者の全数把握の見直しについて「全数把握をやめると、感染状況をみるデータの質が落ちていくので、それを乗り越えるための方法にどういうものがあるのか集中的に議論する必要がある」と述べ、段階的に対応することが重要だという認識を示しました。

感染状況の把握について「地域にデータがあれば活用することや、感染のレベルを比較的正確にモニターできる新しい仕組みを今から考えないと状況の把握にギャップが出てしまう。また、最低でも重症化リスクの高い人たちのデータは、今までどおり収集しなくてはいけない」と述べました。

そのうえで、全数把握を見直すタイミングについては、8月17日の意見交換では具体的な話はなかったとしたうえで「現実的で実行可能な方法があるかを議論すべきで、関係者が意見を交換できるワーキンググループを作って、深い議論をすることが重要だと申し上げた。今は医療がひっ迫しているので、出口戦略とは分けて考えたほうがよく、地域の実情に応じて考えることが大事だと思う」と述べました。