新型コロナ 救急外来に容体悪化患者の
受け入れ依頼 連日相次ぐ

2022年8月16日

新型コロナウイルスの入院患者を受け入れている医療機関の救急外来では、救急車から感染して容体を悪化させた患者の受け入れ依頼が連日、相次いでいます。

千葉県成田市の病院では、現在、新型コロナウイルスに感染した患者がおよそ40人入院しています。

救急外来には、感染後、動けなくなったなどの症状を訴える人や、基礎疾患がある人からの搬送依頼が相次いでいるといい、お盆のこの日も朝の時点で受け入れ可能だった病床が午前中のうちに埋まり、その後は断らざるを得ない状況になりました。

医師によりますと、感染が拡大した7月中旬以降、受け入れ先が見つからず、搬送されるまでに数時間かかる患者もいたということです。

このため病院では救急車を長時間待機させないよう、救急隊員の連絡で医師が軽症と判断した人には自分の車で病院に来てもらい、駐車場で診断や治療をする場合もあるということです。

また最近目立っているのが、病気やけがをした人が新型コロナに感染していると、救急車での搬送先がなかなか見つからないケースです。

新型コロナの症状自体は軽症でも、専用の病床で受け入れる必要があるため、病床のひっ迫が続く現在、対応が難しくなっているといいます。

この日は、感染して自宅で療養していた高齢の女性が転んで腰の骨を折り、救急車で搬送されてきました。

女性によりますと、救急隊が搬送先を探しましたが20件以上の医療機関に断られたといいます。

およそ30分後、ようやく受け入れ先が決まり、自宅から40キロほど離れたこの病院に入院しました。

女性は「転んで動けなくなったのですがこういう時期なので救急車を呼んでもいいのかなとためらいました。限界がきて救急車を呼ぶと救急隊が搬送先を探してくれましたが、症状よりもまず、『コロナ陽性』と伝えると断られてしまう状況でした。このまま搬送先がなかったらどうしようと不安でした」と話していました。

国際医療福祉大学成田病院の救急科の志賀隆 医師は「コロナ陽性の人や、熱などコロナの疑いがある人は突然の病気やけが、持病の悪化があると搬送先を見つけるのが難しい。コロナ以外の患者も、コロナで病床が目減りし、対応が難しい場面がある。もはや普通の医療はできなくなっている状態で、医療の現場はすでに限界を超えている。待っている患者さんを断るのは猛烈に辛い」と話しています。