台風接近! 新型コロナで自宅療養中
避難どうする?

2022年7月29日

台風5号は7月29日夜、鹿児島県の奄美地方に接近し、7月30日にかけて、九州や四国、奄美地方を中心に大雨となるおそれがあります。

災害から身を守るためには、安全な場所での避難が大切ですが、ネット上などでは、急激に拡大する新型コロナウイルスに感染し、自宅で療養している人は、どう避難したらいいのか、わからないといった声も多くみられます。

専門家などへの取材をもとにどう行動すればよいのか、ポイントをまとめました。

全国の自宅療養者61万人超(7月20日時点)

厚生労働省によりますと、新型コロナの感染が急拡大していることに伴って、全国の自宅療養者は7月20日時点で過去最多の61万2000人余りに上っています。

ネット上では「あまり考えたことは無かったけど自宅療養とか自宅隔離中の人って避難とかどうしたらいいんだろう」とか「どこにも受け入れられずにひとりぼっちでいるしかなくなってしまうんじゃないだろうか」といった投稿が目立つようになっています。

京都市の実家で暮らす母親が新型コロナに感染し、7月19日に大雨の影響で避難指示が出されたという女性に話を聞きました。

母親は、父親と姉2人の4人で住んでいますが、避難指示が出るとは全く考えていなかったそうです。

女性は「ハザードマップで実家の地域は安全と確認できたので自宅にとどまりましたが、実家では最近、車を手放したばかりで、もし避難が必要な場合は、車での移動ができず、どうしたらよいか私もわかりませんでした」

避難が必要な場合「自治体に連絡して相談を」

自宅療養となった場合、災害時の避難はどうすればよいのか、内閣府の防災担当に取材しました。

結論から言えば、「災害のリスクがあり、自宅の安全が確保できないようなら避難が必要」ということです。

災害の危険度が高まる前に、必ずハザードマップを確認し、自宅の周辺で土砂災害や河川氾濫などの災害のリスクがあるかどうか確認してください。

自宅にとどまるのが難しい場合は、自分が住んでいる自治体のホームページなどを確認し、担当部署に連絡して、今後の避難について相談するようにしましょう。

内閣府が都道府県などに出した通知では、原則として、自宅療養者は宿泊療養施設に避難することとしています。

自治体の担当部署などから、詳しい避難先を案内してもらってください。

また、宿泊療養施設が自宅から離れた場所にあり、災害の危険度が高まっているときには、すぐに避難できないことも想定されます。

この場合は、ためらわず自治体が指定する避難所に移動するようにしてください。

避難の際は、飲み水や食料、携帯電話など通常、避難所で過ごすために必要なもののほか、マスクや消毒液、体温計、薬などの感染対策グッズを持って行くように心がけましょう。

専門家 “コロナ禍の避難 事前準備が何より大事”

コロナ禍の避難の問題に詳しい日本赤十字北海道看護大学の根本昌宏教授は、自宅療養者は、いつも以上に避難に時間がかかったり、準備に手間取ったりする可能性があり、事前の準備が何より大事だと指摘します。

根本教授は「災害が切迫したり、すでに発生している状況では、自治体への電話がつながりにくくなって、今後の避難の相談ができなくなるおそれがある。自治体によって案内する避難先の施設が異なることもあるので、あらかじめ確認しておくことが、極めて重要だ。親戚や知人の家などを頼る“縁故避難”をする際には、コロナの感染対策を最大限注意しなければならない。できれば生活空間が全く違う場所を用意して、トイレや風呂、洗面所のコップなども含め、共用しないよう心がけることが大事だ」と話しています。

また、感染をおそれて車の中で避難する、いわゆる“車中泊”については「自宅療養者の避難で、おそらく、いちばん選ばれるのが車中泊避難と想像するが、車が水に巻き込まれたり、駐車場が浸水したりする危険が伴う。車中泊避難をする際には、ハザードマップで災害の危険度を確認するなど、最大限の安全対策を考えておかなければならない」と指摘しています。