コロナ感染疑い 対策応じなければ
宿泊拒否も可能に 厚労省方針

2022年7月14日

旅館やホテルの宿泊客が、新型コロナウイルスへの感染が疑われる場合、マスクの着用などの感染対策に正当な理由がなく応じなければ施設側が宿泊を拒否できるよう、厚生労働省が法律を改正する方針を決めました。

旅館やホテルの宿泊客について、旅館業法は感染症にかかっていることが明らかでないかぎり宿泊を拒否できないと定めていますが、新型コロナの感染拡大を受けて、宿泊施設の一部から見直しを求める声が出ています。

これを受けて厚生労働省は、業界団体の代表や弁護士、大学教授などでつくる検討会を立ち上げ、7月14日、新たな方針をまとめました。

それによりますと、発熱やせきなどの症状が出ている宿泊客が、マスクの着用や消毒などの感染対策に応じなかった場合は、アレルギー反応が出るなどの正当な理由がないかぎり、宿泊を拒否できるとしています。

対象となるのは、新型コロナウイルスのほか、エボラ出血熱など危険性の高い感染症の症状が出ている人で、世界的に流行している場合に限られます。

症状がなくても行き過ぎた要求を繰り返すなど、いわゆる「迷惑客」については、宿泊を拒否できるということです。

一方、平成15年には熊本県のホテルでハンセン病の元患者が宿泊を拒否される問題も起きていることから、今回の見直しが感染症患者の不当な差別につながらないよう、旅館やホテルには差別を防止する研修の実施を「努力義務」として求めるとしています。

厚生労働省は、必要な法律の改正案を、早ければ秋の臨時国会に提出したいとしています。