外国人観光客受け入れ再開へ
空港ではWi-Fiルーター予約増加

2022年6月9日

外国人観光客の受け入れが6月10日から再開されるのを前に、羽田空港にある、貸し出し用のWi-Fiルーターを扱うカウンターでは、予約の増加を受けて準備に追われていました。

羽田空港の国際線の到着ロビーにある、Wi-Fiルーターの貸し出しを行う受付カウンターでは、外国人観光客の受け入れ再開を6月10日に控え、従業員がルーターの画面の表示を英語や中国語など客が使う言語に設定したり、外国語のマニュアルを専用のポーチに入れたりしていました。

このカウンターを運営する会社では、全国17の空港でWi-Fiの貸し出しサービスを行っていますが、新型コロナの感染拡大後、外国人向けの貸し出し台数が1か月で1桁にとどまり、率にして最大99%以上落ち込んだ時期もあったということです。

ただ、6月はすでに数百台の予約が入り、日に日に予約が増えているということで、今後、利用客の増加に応じて、外国語が話せる従業員の数を増やすなど、サービス態勢の強化を図る方針です。

ビジョンの鈴木大哉部長は「海外の旅行代理店からも多くの問い合わせを受け、相当忙しくなってきている。旅行者に不便をかけないようにサービスの提供を心がけていきたい」と話していました。

アメリカ 期待と緩和求める声

旅行需要が急回復しているアメリカ ニューヨークでは、日本が外国人観光客の受け入れを再開することに期待の声が上がる一方、入国に必要な手続きの簡素化を求める声もありました。

アメリカ南部テネシー州からニューヨークを訪れた男性は「日本を訪ねるのは楽しそうだ。日本食はすばらしいし、日本の列車の話を聞いたことがあるので乗ってみたい」と話していました。

また、東部コネティカット州からニューヨークを訪れた男性は「東京を一度訪ねたことがあり、大好きだ。絶対に戻りたい。日本とその文化を見て、すばらしかった」と話す一方「円安で旅行が安くなっているのは助かるが、ビザの申請など手続きがあると正直行きたくなくなる」と述べ、受け入れ要件の緩和が必要だと話していました。

中国 見通し立たず落胆の声も

新型コロナウイルスの感染拡大前の2019年に959万人が日本を訪れ、外国人旅行者全体の3割を占めていた中国からは当面、観光客が訪れる見通しは立っていません。背景には、中国政府が感染を徹底的に抑え込む「ゼロコロナ」政策を堅持していることがあります。

中国政府は、おととし1月から旅行会社に対して国外への団体旅行の手配を禁止しています。

また、5月にも上海など各地で厳しい感染対策がとられる中、国外から来た人から感染が広がるケースが多いとして、個人でも国外への旅行をしないよう改めて呼びかけています。

さらに、国外から戻ってくる際には2週間など、一定期間、決められた宿泊施設での隔離が必要になっています。

コロナ前、頻繁に日本を訪れていたという人からは残念がる声が聞かれました。

南部の広東省広州に住む銀行員の伍穎君さんは、10年ほど前から日本に旅行するようになり、コロナ前は多い時で月に一度訪れていました。

日本の男性アイドルグループのファンで、大阪や名古屋などでコンサートを見に行ったときに買ったグッズのうちわを数百枚は持っていると言います。

訪れているうちに日本の食べ物や自然も好きになり、5年間、有効な観光ビザも取得していました。

日本を最後に訪れたのはおととし1月で、再び旅行することを心待ちにしていますが、いつ行けるようになるか見込めないといいます。

伍さんは「日本ではコンサートも開かれるようになったのでとても行きたいし牛タンも食べに行きたいけど、国内の措置が厳しくてことしは難しそうです。来年には隔離措置が短くなるなどして日本に行けるのを期待したい」と話していました。

タイ 日本テーマの商業施設が人気 期待の声も

東南アジアのタイでは、旅行が厳しく制限される間に日本をテーマにした商業施設が人気になり、施設を訪れていた人たちからは、再び日本へ観光に行けることへの期待の声が聞かれました。

タイからは、2019年には東南アジアの中で最も多い131万人余りが日本を訪れていましたが、感染拡大によって観光客は激減しています。

こうした中、首都バンコクでは2021年12月、日本をテーマにした「ハラジュク・タイランド」と呼ばれる商業施設が開業し、日本の雰囲気を少しでも感じたいという人たちの人気を集めています。

施設内には、富士山や大仏など、日本の観光地の様子が絵で描かれているほか、瓦ぶきのような建物には、日本食のレストランが入り、5月にはおよそ5万人が訪れたということです。

日本の外国人観光客の受け入れ再開について、浴衣を着て施設を訪れていたタイ人の女性は「日本が受け入れを再開してくれてうれしいです。友達と旅行の計画について話し始めました」と話していました。

また、別のタイ人の女性は「日本に行きたいです。ただ、人数に制限があるなら全員は行けないと思うので、そこは残念な点です」と話していました。