東京 大阪 北海道の感染状況

ステージ4の指標超える項目は

2020年12月1日

新型コロナウイルスの新規感染者数が多い東京、大阪、北海道。今の状況はどのくらいの段階にあるのか。政府の分科会が示した新型コロナウイルスの感染状況を判断するための指標をもとに、どの項目でステージ3や4の指標を超えているのか見てみます。

※ステージは4段階。
※最も深刻なのが「ステージ4」で爆発的な感染拡大への備えが必要な状況。
※「ステージ3」は医療提供体制への大きな支障が懸念される状況。

1「病床のひっ迫具合」

厚生労働省によりますと、11月24日時点で
▽東京都がステージ4の指標に達し、
▽北海道と大阪府はステージ3の指標を超えました。

このうち、最大で確保できる病床数に占める重症患者の使用率を見ると、
▽東京都は前の週から12.6ポイント増えてステージ4の指標の「50%」ちょうどでした。
▽大阪府も21.3ポイント増えて49.5%と、ステージ3の指標の「20%」を大幅に上回っています。
▽北海道は0.5ポイント減少して10.4%でしたが、重症以外の患者も含めた全体の病床の使用率が46.7%と、ステージ3の指標「20%」を超えました。

2「療養者数」

11月24日時点の人口10万人当たりの療養者数は、
▽北海道で44.9人、
▽東京都で27人、
▽大阪府で36.7人といずれもステージ4の指標の「25人」を超えています。

3「PCR検査の陽性率」

11月22日までの1週間で
▽北海道が11.4%とステージ3と4の指標の「10%」を超えています。
▽東京都は5.5%、
▽大阪府は8.9%でいずれも指標を下回りました。

4「直近1週間の新規感染者数」

11月26日までの1週間で人口10万人当たりの新規感染者が、
▽北海道で31.28人、
▽大阪府で27.36人といずれもステージ4の指標の「25人」を超えました。
▽東京都は20.36人でステージ3の指標の「15人」を超えています。

5「直近1週間と前の週の感染者数の比較」

11月26日までの1週間がその前の週と比べて
▽北海道が1.05倍、
▽東京都が1.14倍、
▽大阪府が1.36倍となり、
いずれもステージ3と4の指標の「1倍」を超えています。

6「感染経路が不明な人の割合」

11月20日までの1週間で
▽東京都は58.1%、
▽大阪府は59.3%とステージ3と4の指標となる「50%」を超えました。
▽北海道は36.6%で指標を下回っています。

政府の分科会は、「指標はあくまで目安であり、国や都道府県は、機械的に判断するのではなく、地域の状況などを踏まえて、総合的に判断する必要がある」としています。

11月の都内死者 基礎疾患のある高齢者が多数

11月、東京都で公表された新型コロナウイルスの死者は合わせて34人にのぼっています。

新型コロナウイルスに感染し、亡くなった人の年代別では
▽40代が1人、
▽50代が2人、
▽60代が7人、
▽70代が8人、
▽80代が11人、
▽90代が5人と
60代以上が9割以上を占めています。

がんや糖尿病などの基礎疾患があった人は少なくとも30人いて、9割近くにのぼっています。

このため都内の死者は基礎疾患のある高齢者が多数を占めていることがわかります。

専門家「医療現場の声を聞いて」

新型コロナウイルスで亡くなった人のうち、持病のある高齢者が多数を占めていることについて、日本感染症学会の理事長で、東邦大学の舘田一博教授は「新型コロナウイルスによって、体の中のさまざまな場所で血栓ができ、重症化することがわかっていて血管にかかる負担が大きい心臓の病気や高血圧、糖尿病などの持病のあるお年寄りが重症化しやすく、病気の経過が悪くなると考えられる。誰がウイルスを持っていてもおかしくない時期になっているので、特に高齢者に感染が広がらないよう、協力して抑えていくことが大事だ」と話しています。

また現在の感染の急速な拡大で、東京都や大阪府などでは、感染の状況を見る指標の値が、政府の分科会が示した感染の急増段階、「ステージ3」や爆発的な拡大の段階、「ステージ4」を超えているものもあり、さらなる感染の拡大が懸念されています。

これについて舘田教授は、「指標は対策を考える際の材料の1つで、実際には、地域の流行状況や医療機関のひっ迫度合い、社会、経済活動などの実情を総合的に勘案して考える必要がある。感染対策の観点から接触を極力減らすなど、より強力な措置を検討すべきだという考え方もあるが、経済活動との両立を考えると、飲食店の営業時間を短くするなどの現状の対策が現実的なのではないか」と話しています。

その一方で、「感染者が増え続け、重症者も徐々に増えていく状況が何週間も続くと、医療崩壊が現実のものとなり、緊急事態宣言を再び出す状況になりかねない。すでに一部には厳しい状況の医療機関も出始めている。数値には表れにくい医療現場の声を聞いて、どんな対策が必要なのか判断していかないといけない」と話しています。