新型コロナ 病床ひっ迫
感染後骨折 診療に10日以上のケースも

2022年3月5日

新型コロナウイルスに感染した人がコロナ以外の病気やけがで治療が必要になった場合でも、診察や入院が難しい状態が依然、一部の自治体で続いています。中には骨折しても10日以上診察が受けられないケースもあり、病床の確保や往診医の派遣など体制整備を求める声があがっています。

埼玉県内に住む77歳の男性は50代の娘夫婦と孫と同居していますが、2月上旬、家族全員が新型コロナに感染しました。

男性は要介護4で、食事の介助は必要なものの自分で歩くことができましたが、感染直後に39度の発熱で足元がふらついて転倒しました。

その後、ベッドから起き上がれなくなったため、骨折のおそれがあるとして家族とケアマネージャーが県の窓口やかかりつけ医に相談しましたが、コロナ感染の可能性が高いとして診察を受けることができなかったということです。

医療機関 受診できたのは転倒から11日後

保健所に相談してもコロナの症状が比較的軽いとして入院はかなわず、救急車を呼んでも受け入れ先の病院は見つかりませんでした。

結局、医療機関を受診できたのは転倒から11日後でした。

診察の結果、大たい骨が折れていて、手術を受け現在も入院生活を続けています。

入院するまでの間、男性はヘルパーの訪問介護を受けることができましたが、トイレに行けなくなったため、おむつの交換で体を動かすたびに骨折の痛みに耐える日々を過ごしました。

埼玉県などによりますと現在、新規感染者の数は減少傾向にあるものの、3月3日時点の病床の使用率は56%と2月上旬より4ポイント程度悪化していて、現在もコロナ以外の病気やけがでの入院や診察が難しい状態が続いているということです。

男性の娘は「受け入れ先がなかなか見つからず、日に日に絶望的な感情が増していきました。治療の遅れから回復が難しくなったり、後遺症が残ったりしないか心配です」と話していました。

ケアマネージャー「必要な治療が受けられる体制整備を」

担当のケアマネージャーの松本亜季さんは「高齢者は骨折などによって今後の生活の自立度や介護の必要度が大きく変わってしまう。できるだけ入院させてほしいし、できないなら往診医の派遣など必要な治療が受けられる体制を整えてほしい」と話していました。