オミクロン
濃厚接触者になったら 知っておきたいこと

2022年1月27日

感染が急拡大している新型コロナウイルスのオミクロン株。これまでにない規模の感染者数となっているということは当然、感染者に接触した濃厚接触者の数もこれまでにない規模になるとみられます。

自分が濃厚接触者になった、または近くにいる人が濃厚接触者になったという人も多いのではないでしょうか。

濃厚接触者になると一定の期間、自宅での待機が必要とされていますが、どこまでが濃厚接触なのか?いつまで自宅待機が必要なのか?

さまざまな疑問について取材しました。

そもそも濃厚接触者の定義は?どこまでが濃厚接触なの?

濃厚接触者は、感染した人と近距離で接触したり、長時間接触したりして、感染している可能性がある人です。

厚生労働省などによりますと、濃厚接触者かどうかを判断する際の重要なポイントは次の通りです。

接触の期間は感染者がウイルスを排出しなくなる発症後10日たつまでの間(感染者が無症状の場合は検査のための検体を採取してから10日)。

接触の目安は、マスクなどをつけずに感染者に手で触れたり、お互いに手を伸ばしたら届く距離で15分以上接触したりした場合。感染者の体液などがついたものに直接触れた可能性のある場合などです。

家族に感染者がいる場合や感染者の介護をしている場合などはこの目安に当てはまることになると思われますが、医療機関や介護施設で行われているように、しっかりとした感染予防策がとられていた場合は濃厚接触者とはみなされません。

また、15分以上の接触といっても、会話をしていたか、歌を歌ったり大声を出したりするうような環境だったか、換気が十分にできていたか、など、その場の具体的な状況によって、濃厚接触者と判断されるかどうかは変わってきます。

濃厚接触者はいつまで自宅待機をする必要がある?

厚生労働省では、オミクロン株の潜伏期間などの最新の科学的な知見を踏まえ、1月14日付けで濃厚接触者の自宅などでの待機期間をこれまでの14日から10日間に短縮しました。(1月27日時点)

このため、感染者と最後に接触した日を0日として、10日間は自宅などでの待機が求められることになります。

東京都によりますと、同居している家族が感染した場合は、感染者が入院したり、個室に隔離された状態になった日を「最後に接触した日」とするとしています。

ただ、感染したのが幼い子どもなどで別室に隔離できない場合は、感染者自身の療養が終わる日が「最後に接触した日」となるということで、そこから10日間、つまり最大で20日間となります。

ただ、医療従事者などのいわゆる「エッセンシャルワーカー」については、▽6日目にPCR検査か抗原定量検査で陰性となるか、▽6日目と7日目に、国内で承認されている抗原定性検査キットで2回、連続して陰性と確認されれば待機を解除できるとしています。

自宅待機している間はどう生活すればいい?

自宅待機の際には、不要不急の外出はできる限り控え、やむを得ず外出する場合には、マスクの着用や手洗いなどの感染対策を行って、人との接触を避けることとされています。

通勤や通学も控える必要があるということです。

オミクロン株の流行が主流となって期間は短縮されましたが、オミクロン株であっても感染が起こる仕組みや場面自体は変わらないとされているため、自宅待機中の対策の内容も基本的には変わりません。

東京都の新型コロナ対策を担当する東京都の感染症対策部では次のようにしています。

▽10日間は不要不急の外出は控え、職場や学校には行かずに自宅で待機。
▽待機中は、毎日、朝と夕方の2回、体温を測って体調に異常がないか確認。
▽発熱やせきなどの症状が出たらかかりつけ医か、新型コロナの検査や診療が可能な医療機関を受診。
▽なるべく公共交通機関の利用を避ける。

ただ、厚生労働省では、受験をする場合は、ガイドラインに基づいて必要な対策がとられた会場などで、試験を受けることができるとしていて、その場合は外出も認められるということです。

濃厚接触者になった場合は、決められた期間が過ぎるまでは「もしかしたら感染しているかも」と考えて行動することが重要です。

家族に濃厚接触者が出た場合はどうすればいい?

家族に濃厚接触者が出た場合について、東京都の感染症対策部によりますと「『濃厚接触者の濃厚接触者』という概念はないため、濃厚接触となった人を除いて家族全員が行動を制限されることはなく、行政としても行動は制限していない」ということです。

ただ、勤務先や通学先などで個別にルールを定めている場合もあるため、会社や学校と話し合って、それぞれのルールに従ってほしいということです。

もちろん、濃厚接触者が待機中に発症するなどして、実は感染していたことが分かる可能性もあります。

万が一感染していた場合に備えて、濃厚接触者となった家族の待機期間中は、▽家庭内でのタオルの共用を避けたり、食事の時間をずらしたりするなど、できる限り空間を分けて生活する。

▽マスク着用などでせきエチケットを守る、手洗いやアルコール消毒などを心がける。

▽ドアノブやテレビのリモコンなど頻繁に触れるものの消毒▽定期的に換気をするなどの注意をしてほしいということです。

オミクロン株は重症化する割合が低くなったと言われていることから、ついついこれまでよりも軽く考えてしまうこともあるかもしれませんが、それでも高齢者や基礎疾患がある人などを中心に、重症化する人が世界中で報告されています。

油断せずに、特に基礎疾患があったり、高齢だったりして、重症化のリスクが高い家族がいる場合は注意が必要です。

幼い子どもや介護が必要な人が感染した場合、家族はどうすれば?

感染者がひとりで生活できる年齢であれば、家庭内で生活の空間を分けたり、対策をしっかりとったりすることで、濃厚接触を避けることができますが、幼い子どもや介護が必要な人が感染した場合などでは、世話をする人が濃厚接触者になるのを避けるのは難しくなります。

1月27日現在、こうした場合、感染した人の10日間の療養期間が終わる日が「最後に接触した日」です。

このため、濃厚接触者となった家族は、そこからさらに10日間の自宅などでの待機が必要となります。

感染者自身は10日間の療養期間が終わっていますから外出などの制限はありません。

感染者自身よりも濃厚接触者の方が長い待機期間となるため、不思議な気がしますが、ウイルスが広がるのを防ぐために必要とされています。

東京都によりますと、実際にこうした事例は相次いでいて、どうにかして待機期間を短くできないかという問い合わせもあるということですが、原則、20日間が必要だと伝えているということです。

家族の感染が確認 ほかの家族はどうすればいいの?

国立感染症研究所などの調査によりますと、初期の分析結果で、オミクロン株の家庭内での感染率は、30%~40%程度となっていて、デルタ株よりも高い可能性があるということです。

ただ、この調査では、オミクロン株でも、感染経路は、これまでの新型コロナウイルスと変わらず、飛まつ感染や、換気の悪い場所でのいわゆる「マイクロ飛まつ」(エアロゾル)による感染が中心だったということで、従来からの感染対策を徹底することで防ぐことができると考えられています。

厚生労働省が作成している注意の呼びかけイラストでは、家族に感染者が出た場合に次の注意点を挙げています。

濃厚接触者の自宅待機期間はオミクロン株で変更 今後も変わる?

新型コロナウイルス対策にあたる政府の分科会のメンバーで、東邦大学の舘田一博教授は、今後、オミクロン株の特徴に合わせて対策を変更していくこともあり得るとしています。

舘田教授は、オミクロン株は50歳未満で基礎疾患や肥満がない人では軽症で治ることが多いとした上で、次のように話していました。

「ゼロリスクを求めて行動を強く抑制してしまうと、感染は減少するかもしれないが、逆に社会機能の方が麻痺し破綻をきたしてしまうおそれがある。ある程度のリスクを受け入れながら、社会機能も維持していくような、バランスの取れた対応が求められている」

さらに、オミクロン株の感染者が増え、濃厚接触者もこれまでにないペースで急増している現状については-。

「毎日、全国で感染者数の最多を更新しているような状況の中、1日も早く濃厚接触者に対する適切でより効果的な対応を考えていかなければいけない。例えば幼い子どもが感染して療養が終わる10日目に、別の家族が感染してしまうリスクはゼロではない。しかし、十分に感染対策をしているならば、濃厚接触者となった家族についても、症状がなく、検査で陰性が確認できる場合などでは、子どもの療養解除と同じタイミングで自宅待機を解除するというような検討も必要になるのではないか」