コロナ患者の病床倍増 外来診療は縮小
対応にあたる病院

2022年1月26日

オミクロン株の急拡大で、東京 江戸川区の病院は今週、コロナ患者の病床を2倍に増やし対応にあたっています。

この数日で重症化のリスクがある高齢患者が急増し、医療スタッフを確保するため、1月26日から外来診療を縮小し、コロナ患者の対応にあたることになりました。

東京 江戸川区の東京臨海病院は、今週、コロナ患者の専用病床を、これまでの2倍近い60床に増やしました。

院内を撮影した先週の1月21日時点では入院患者は6人で、泌尿器科のフロアを閉鎖して、コロナ病床を増やす準備が進められていましたが、病院はさらに感染が拡大すると一般診療への影響が出かねないと懸念していました。

その後、入院患者がさらに増え、1月25日時点で20人になったということです。

内訳は、酸素の投与が必要な中等症2が7人、中等症1が6人、軽症が7人で、10代や20代もいるものの、およそ4割が重症化のリスクがある高齢者でした。

病院は、患者の急増に対応できるよう医療スタッフを確保するため、26日から、紹介状のない新規患者の受診を停止するなど外来診療を縮小し、コロナ患者の対応にあたることになりました。

また、緊急性の低い手術は延期するということです。

医師は、今後さらに高齢者への感染が広がって、重症者が増えるのではないかと危機感を強めています。

呼吸器内科部長の山口朋禎医師は「感染者が増えているので、1週間後、2週間後には重症患者も増えるかもしれない。オミクロンは感染力強いので、感染経路がわからない方がたくさんいます。感染者の絶対数を減らすというのが非常に大事なので、しっかり感染予防することが大事かなと思っています」と話していました。

中等症や重症化リスクがある高齢患者 一気に増加

東京臨海病院の入院患者は、先週の時点では軽症がほとんどで、一部、重症化のリスクのある患者が入院していました。

このうち、1月20日に新型コロナウイルスに感染していることが確認された30代の女性は、もともと持病の治療のために免疫抑制剤を使っていることから、感染によって重症化するおそれがあるということです。

このため、重症化への予防に効果が期待される抗体医薬「ソトロビマブ」が点滴で投与されていました。

女性は、医師に対して「幼い子どもがいて、うつしていないか心配です」と話していました。

ワクチンは2回接種していたということで、「スーパーマーケットでの買い物と病院に行ったくらいで、どこで感染したのか心当たりがありません」と話していました。

この病院では、1月25日までの4日間に、酸素投与が必要な「中等症2」の患者が7人にまで一気に増えました。

重症化のリスクがある高齢の患者も、この病院に入院しているコロナ患者20人のうち、4割にまで増えました。

介護施設内で感染したという、90代の女性もいて、CT画像には肺炎の症状がみられ、治療が続けられているということです。

この女性もワクチンを2回接種していたということです。

医師「まだまだ油断するようなウイルスではない」

治療にあたる山口朋禎医師は「オミクロン株は肺炎は少ないと思うが、デルタ株までの経緯をみると、私たち呼吸器内科の医師が出会ったことのないような肺炎になり、呼吸不全になって、治療薬もないまま亡くなる人たちをたくさん見てきた。今回も高齢者が増えてきているので、注視しないといけないし、まだまだ油断するようなウイルスではないと思う」と話していました。