重症者急増の大阪府
受け入れ医療機関の現状は

2020年8月19日

大阪府内で重症患者の治療に当たっている14の医療機関の現状はどうなっているのか。

このうちの一つ、大阪 東大阪市にある府立中河内救命救急センターは、7人を受け入れることができますが、すでに5床(8月19日現在)が重症患者で埋まっています。

現在の状況について、山村仁所長は「ほかの重症患者の対応をしている医療機関とも連絡を取っているが、重症の病床数はかなりひっ迫している状況だ」と話しています。

そのうえで「コロナの重症患者に加え、それ以外の救急患者も診療していて、今は、重症の熱中症の患者が増えている。医師や看護師への負担はかなり強くかかっている状態だ。今空いている2床は、同時に患者が来なければ受け入れ可能だが、コロナの患者には、防護服を着る必要があるので、今後、さらに増えていくと、救急現場としては身体的、精神的負担がかなりかかってくる」と話しています。

今後、求められる対策について、山村所長は「重症化を防ぐためには高齢者が多い施設へのコロナウイルスの持ち込みを防ぐことが重要だ。残念ながら高齢者の入所施設や医療機関でクラスターが発生しているという情報があり、今後、高齢者への感染をなんとか防ぐような施策が必要だと思う」と話しています。

重症患者がこの1か月で急増

新型コロナウイルスに感染した人について、大阪府は「重症者」の基準を定めています。それによりますと、気管挿管の処置を含む人工呼吸器や、「ECMO」と呼ばれる人工心肺装置を装着している場合、それに集中治療室で治療を受けている場合のいずれかに当てはまるケースです。

府の担当者によりますと、気管挿管の処置を行った場合は、ほぼすべてのケースで人工呼吸器を装着するということで、国が定めている基準と事実上同じだということです。

この基準に当てはまる大阪府の重症患者は、
▽1か月前の7月19日は5人、
▽8月1日は20人でしたが、
▽8月16日はこれまでで最も多い72人、
▽8月17日は70人、
▽8月18日は65人とこのところ大きく増えています。

大阪府では重症患者を受け入れる病床として188床を確保しています。その使用率は、7月19日は2.7%でしたが、8月16日は38.3%まで上昇しています。

年齢別でみると特に目立つのが高齢者で、8月18日までの1週間に発表された重症患者38人では、
▽50代がおよそ1割、
▽60代がおよそ2割、
▽70代がおよそ4割、
▽80代がおよそ3割で、
60代以上が9割を占めていました。

また、8月に入って新型コロナウイルスに感染して死亡した人の数も大きく増えています。

8月18日までにすでに27人の死亡が確認されていて、7月1か月に死亡が確認された4人を大きく上回っています。