【詳しく】沖縄県
医療従事者500人超出勤できず 今の状況は?

2022年1月11日

感染の急拡大で「まん延防止等重点措置」が適用されている沖縄県。感染者が若い世代以外にも広がりつつあります。

オミクロン株への感染が増えることで、医療従事者を含めた社会や暮らしを支える「エッセンシャルワーカー」でも出勤できない人が増える懸念もあります。

1月11日時点の感染状況や対策について詳しくまとめました。

全国で最多に…

NHKが1月10日までに公表されたデータを元に分析したところ、沖縄県の「直近1週間の人口10万人あたりの感染者数」は503.37人で、全国でずば抜けて多くなっています。

沖縄県と同じように「まん延防止等重点措置」が適用されている広島県と山口県と比べても、5倍以上多くなっています。

20代以外にも感染広がる

1月11日、沖縄県は新たに775人が新型コロナウイルスに感染していることが確認されたと発表しました。

<年代別>

内訳をみますと、年代別では多い順に、

▽20代が262人
▽10代が121人
▽30代が91人
▽40代が82人
▽50代が72人
▽10歳未満が61人
▽60代が31人
▽70代が25人
▽80代が17人
▽90歳以上が12人

となっています。

県の糸数公医療技監は、「感染者に20代が占める割合が減る一方、ほかの世代で増えてきている。高齢者施設で感染が増えたことに伴い、入院患者も増えてきている。今後、重症化する感染者がでないか懸念される」と警戒を呼びかけています。

感染者が1000人を下回るのは2連続ですが、1月10日までの3連休で休診する医療機関が多かったためとみられます。

<地域別>

地域別の感染者は、

▽那覇市が255人
▽浦添市が69人
▽南部保健所管内が68人
▽中部保健所管内が52人
▽沖縄市が51人
▽宜野湾市が50人

などとなっています。

<感染経路>

推定される感染経路は、

▽家庭内が118人
▽友人・知人が51人
▽職場内が21人
▽施設内が17人

などとなっています。

1月11日現在、1月10日より32人多い290人が入院していて、国基準での重症は27人となっていますが、人工呼吸器やECMOをつけた治療を受ける県の基準での重症者はいません。

自宅療養者は4543人と過去最多を更新していて、入院している人も含めた療養中の患者は8179人と過去最多を更新しています。

また、アメリカ軍から沖縄県に対し、基地の所属はわからないものの新たに386人の感染が確認されたと連絡がありました。

医療従事者 500人超が出勤できず

沖縄県内では新型コロナウイルスに感染したり濃厚接触者になったりするなどして働くことができない医療従事者が、1月11日現在で503人に上っています。

このうち新型コロナへの感染が確認されたのは、

▽医師が9人
▽看護師が90人
▽その他の医療従事者が46人

となっています。

また濃厚接触者になるなどして働くことができない医療従事者は、

▽医師が38人
▽看護師が190人
▽その他の医療従事者が130人

となっています。

県によりますと、1月1日は全体で20人だったものの、1月4日ごろから増え始め、このままさらに働けない医療従事者が増えれば医療機関のコロナ対応や一般診療がさらにひっ迫するとしています。

宮古島市 小中学校は1月11日から臨時休校

沖縄県宮古島市は1月11日から1週間、すべての市立学校と小中学校を臨時休校にしました。

宮古島市では1月10日までの1週間に500人あまりが新型コロナに感染していて、市の教育委員会によりますと、児童・生徒も1月7日時点で11人が感染し、学校内での感染への不安から欠席する子どもも多いということです。

いつもは、窓から子どもたちのにぎやかな声が聞こえる市内の小学校は、1月11日は静けさに包まれていました。

学校には時折、児童や保護者が訪れて、臨時休校の期間中の自宅学習用として出された課題を受け取っていました。

各学校は臨時休校中、すべての児童生徒に配布されているタブレット端末を活用してオンラインで学習指導を行うほか、仕事を休めない保護者やオンライン接続の環境がない児童生徒については、申し出があれば学校で受け入れて学習支援を行うということです。

臨時休校や分散登校 相次ぐ

県教育庁によりますと、1月11日午後現在、宮古島市以外にも次の自治体で小中学校が臨時休校になっています。

▽糸満市
▽豊見城市
▽南城市
▽西原町
▽金武町
▽宜野座村
▽伊江村
▽国頭村

で、長いところでは来週1月17日まで臨時休校となっています。

また、分散登校を決めた学校も相次いでいて、那覇市などが、学級や学年などで日を分けて登校するということです。

このほか、浦添市によりますと、1月11日から10日間、児童・生徒を学校に登校させず、オンラインでの授業を基本とするということです。

那覇市 保育施設の約1割が休園

那覇市では、保育園や幼稚園など就学前の子どもが通う施設のうち1割近くが休園していることが市への取材でわかりました。

那覇市では、一日の新規感染者が1月5日以降、連日3桁となっていて、1月10日も217人の感染が確認されるなど、感染拡大に歯止めがかかっていません。

こうした中、那覇市内にあわせて246か所ある保育園や幼稚園など就学前の子どもが通う施設のうち、1月8日時点で9%にあたる23か所の施設が休園していることが市への取材でわかりました。

市によりますと、職員や園児が感染したケースのほか、濃厚接触者となった保育士が相次ぎ、子どもを安全に預かることができないと休園した施設もあるということです。

職員や園児から感染者が出た場合は、市と保健所が感染の広がりを調査するため原則5日間、休園することになっていますが、調査が追いつかないため、10日ほど休園するケースも出ているということです。

那覇市こども教育保育課は「各施設ではこれまで通り、感染対策を徹底しているがそれでも感染が止まらず、頭を悩ませている。施設が利用できなくなった保護者の方には大変申し訳なく思う」と話しています。

県立高校の推薦入試 面談を「原則中止」へ

沖縄県教育庁は、県立高校の推薦入試での面談について、今年度は原則中止し、書類などの審査のみで選抜を行うことを決めました。

県教育庁によりますと、面接を中止するのは初めてで、影響を受ける受験生はおよそ3500人に上るということです。

沖縄県の県立高校の推薦入試は1月17日から願書の受け付けが始まる予定で、例年1月中に面接が行われ、調査書などの審査と合わせて選抜が行われます。

県教育庁は出願方法について、これまで中学校ごとに書類を取りまとめて直接学校に持参していたのを、感染リスクを考慮して、郵送での提出も受けつけるということです。

沖縄県教育庁の担当者は「去年は緊急事態宣言が出る直前だったことから面接を実施したが、現在の感染状況は去年を大きく上回るため、中止を決めた。各学校の対応はホームページで確認してほしい」としています。

警察 海保 消防でも感染広がる

沖縄県警察本部と沖縄を管轄する第11管区海上保安本部でも感染が広がっています。

<警察>

沖縄県警察本部によりますと、これまで確認された感染者は

▽宮古島警察署で13人
▽警察本部で10人
▽那覇警察署で4人
▽豊見城、与那原、宜野湾の各警察署でそれぞれ2人
▽このほか沖縄本島の4か所の警察署でそれぞれ1人

のあわせて37人となっています。

1月11日までに交通捜査を専門とする警察本部の警察官を派遣したということです。

このほかの警察署でも家庭内で感染者が出て濃厚接触者として自宅待機となっている署員が複数いるということですが、県警察本部は今のところ業務に支障は出ていないとしています。

<第11管区海上保安本部>

第11管区海上保安本部では、これまでにあわせて40人の感染が確認されていて、

▽宮古島海上保安部で20人、
▽沖縄本島にある那覇海上保安部と中城海上保安部でそれぞれ6人、
▽石垣海上保安部で4人となっているほか、
▽海上保安本部と2か所の航空基地であわせて4人

となっています。

海上保安本部は今のところ業務に支障は出ていないとしています。

<消防>

一方、県内11の市の消防に確認したところ、1月11日午後4時現在、あわせて10人の感染者が確認されましたが、いずれも業務に支障はないということです。

陸上自衛隊 看護官などを派遣

沖縄県は1月11日午前、自衛隊に対し医療支援のための災害派遣を要請しました。

沖縄県内では、1月10日までの1週間の新型コロナの新規感染者数は7314人と前の週と比べて19倍を超えていて、急激な感染拡大に歯止めがかかっていません。

この影響で、コロナに感染したり濃厚接触者になったりするなどして働くことができない医療従事者が、1月10日時点で483人に上っていて、診療を制限する医療機関が相次いでいます。

沖縄県からの要請を受けて、那覇市にある陸上自衛隊の第15旅団は、1月11日から17日までの1週間、県立の北部病院と中部病院の2つの病院に、看護官など10人を派遣し、感染者の健康管理や医療支援などを行うということです。

時短営業への協力金 認証店にも「3万円支給」可能に

まん延防止等重点措置の適用に伴い、沖縄県内では飲食店への時短営業の要請で支払われる協力金について、感染症対策の認証を受けた店では「酒が提供できる上、1時間長く営業できる」という理由から、非認証店より5000円少なく設定されています。

これに対して、認証店のうち終日営業を取りやめる店などから認証を取り消して欲しいという問い合わせが相次いでいます。

これについて政府は、認証店が非認証店と同じ条件で酒を提供せずに午後8時までの時短営業に応じる場合、協力金を非認証店と同額の3万円を支給できるよう制度を変更しました。

1月9日にさかのぼって制度を変更するということで、これを受けて沖縄県も協力金の支払い基準を見直すことにしています。

また、すでに取り消しを求めてきた店の認証については、申請を受理せずに認証店としての登録を続けてもらうことも検討しているということです。

沖縄県によりますと、認証を取り消して欲しいと要請してきた店の数は1月11日までにおよそ200に上るということです。

沖縄県は政府が制度を変更したことを受けて、変更の内容を事業者に説明した上で、実際に認証を取り消すかどうか、今後意向を確認することにしています。