“コロナにかからないで”
入院受け入れ限界近くに 医師の訴え

2021年8月12日

東京で新型コロナウイルスの重症患者の治療にあたってきた医師は、入院の受け入れが限界に近づいているとして「今は入院できない可能性が高い。とにかくコロナにかからないでほしい。かからないような行動をとってほしい」と訴えています。

医療機器の確保も限界に…

主に重症患者を受け入れてきた国立国際医療研究センターの森岡慎一郎医師によりますと、センターでは1日に入院するコロナ患者が、2週間前には2人から3人ほどだったのが、今週に入って10人から15人と急増し、8月11日の時点で入院している患者はおよそ60人となり、このうちの6割は30代から50代だということです。

東京都内や周辺の病院から重症化した患者の入院の依頼を受ける件数も2週間前の5倍に増えていて、中には入院を断らざるをえないケースも出ているということです。

また、入院患者の急増に伴って人工呼吸器や酸素を投与する装置なども徐々に不足し、メーカーから借りているということですが、多くの医療機関で必要になっているため、さらに借りることは難しくなっているということです。

森岡医師は「今週に入って入院受け入れの要請を250か所に断られた救急車があったと聞いている。各医療機関でも医療スタッフや病床、医療機器の確保に必死になって取り組んでいるが、限界が近づきつつある」と話しています。

そのうえで「今はコロナになって救急車を呼んでもすぐには迎えに来てもらえない。入院できない可能性もこれまでにないくらい高い。また、入院できたとしても医療スタッフや医療機器が足りず、十分な治療が受けられない可能性が出てきている。30代など若い人でも重症化する人が一定数いる。とにかくコロナにかからないでほしい。3密を避ける、手洗いやマスクなど、かからないような行動をとってほしい」と訴えました。

さらに、入院患者の中にはワクチンを1回打ったあとに会食をして感染したケースもあったということで、森岡医師は「ワクチンを接種したとしても感染する確率はあるので、軽率な行動は控え、しっかりと基本的な対策は継続してほしい」と話しています。