新型コロナ 減少傾向の一方で増加続く地域も
今後の動向に注意

2022年4月20日

新型コロナウイルス対策について助言する厚生労働省の専門家会合が開かれ、新規感染者数は全国では減少傾向となる一方、地域によっては感染の第6波のピークを上回ったり、増加が続いたりしている地域もあるとして、今後の動向に注意が必要だと指摘しました。
ワクチン接種などで多くの人が免疫を獲得する状況になっていることや、対策が減少傾向に影響していると考えられる一方、今後、大型連休で移動や外出の機会が増え、感染拡大につながりかねないとして、基本的な対策の徹底などを呼びかけました。

専門家会合は、現在の感染状況について、特に大都市部で減少傾向となっている一方、特に秋田県、福島県、新潟県、長野県、愛媛県、宮崎県、それに鹿児島県では、新規感染者数の1週間平均が「第6波」のピークを上回るなど、地域によって感染状況に差が出ていると分析しました。

また、感染者数を年代別にみると、すべての年代で感染者数は減少傾向にあるものの、20代以外は横ばいからわずかな減少にとどまっていて、3月から感染が拡大している沖縄県では、10代以下の増加が顕著で、高齢者も増加していることから、今後、ほかの地域でも注意が必要だとしています。

現在の感染者数の減少の要因として、追加のワクチン接種による免疫の獲得や、感染リスクの高い場所や場面を多くの人が避けようとしていることなどが考えられるとした一方、オミクロン株のうち、より感染力が高いとされる「BA.2」への置き換わりが全国で8割程度まで進んでいると推定され、増加の要因になりえるため、注意が必要だとしています。

専門家会合は、新規感染者数は、2021年夏のピークより高い状況が続く中で、大型連休が近づき、旅行などの行楽や買い物などによる移動や外出の機会が増える季節となり、ふだん会わない人との接触の増加が感染拡大のきっかけになりえることから、追加接種をさらに進めることや、混雑した場所や換気が悪い場所を避け、少しでも体調が悪ければ外出を控えること、不織布マスクの正しい着用、手洗い、1つの密でも避けるといった対策を徹底することなどを呼びかけました。

後藤厚労相「沖縄県の感染対策を支援」

後藤厚生労働大臣は、専門家会合で「全国的にみれば足元では減少の動きがみられるが、地域別にみると直近1週間の新規感染者数が昨年末からのピークを上回っている県もある。沖縄県など増加が続く地域がある一方、大都市圏を中心に減少傾向がみられ、感染状況の推移に差が生じている」と指摘しました。

また、感染が広がっている沖縄県について「リエゾンチームを4月12日に沖縄県庁に派遣し、現地の感染状況や感染対策上の課題ニーズを把握してきた。そのうえで、全国的にみても接種率の低いワクチン3回目接種をさらに促進すること、高齢者施設での対応を強化することなどについて、緊密に連携をとりながら、県の感染対策を支援していく」と述べました。

全国の新規感染者数 前週比0.91倍

厚生労働省の専門家会合で示された資料によりますと、4月19日までの1週間の新規感染者数は、全国では前の週と比べて0.91倍と、およそ1か月ぶりに減少に転じました。

首都圏の1都3県では
▽東京都で0.84倍、
▽神奈川県で0.91倍、
▽埼玉県で0.77倍、
▽千葉県で0.80倍、

関西では ▽大阪府で0.87倍、 ▽兵庫県で1.00倍、 ▽京都府で0.93倍、

東海では
▽愛知県で0.89倍、
▽岐阜県で0.95倍、
▽三重県で0.92倍となっているほか、

▽宮城県で0.88倍、
▽広島県で0.93倍、
▽福岡県で0.93倍などと、
全国の35の都府県で横ばいから減少となっています。

前の週より新規感染者数が増えたのは12の道と県で、
▽北海道は1.11倍、
▽山形県は1.14倍、
▽鳥取県は1.34倍、
▽香川県は1.15倍、
▽佐賀県は1.17倍となっているほか、
▽人口当たりの感染者数が最も多い沖縄県は1.07倍となっています。

現在の感染状況を人口10万当たりの直近1週間の感染者数でみると、
▽沖縄県が全国で最も多く646.55人、
次いで
▽佐賀県が418.14人、
▽宮崎県が378.84人、
▽東京都が317.78人、
▽北海道が315.60人、
▽福岡県が314.28人、
そして
▽全国では249.21人となっています。