新型コロナと
インフルエンザ
同時流行なら両方検査を 学会

2020年8月3日

秋から冬にかけて、新型コロナウイルスとインフルエンザが同時に流行するおそれがあることから、日本感染症学会は地域の医療機関に向けた対応の指針をまとめました。新型コロナウイルスを見逃さないよう、インフルエンザと同時に検査を行うなどとしています。

新型コロナウイルスとインフルエンザは、発熱やせきなど症状がよく似ているため、同時に流行した場合に地域の診療所などで対応が難しくなると懸念されています。

これを受けて、日本感染症学会は同時流行に備えた診断や治療についての指針をまとめました。

指針では、症状だけでインフルエンザと診断してしまうと新型コロナウイルスを見逃してしまうおそれがあるため、新型コロナウイルスが流行している場合は原則として、できるかぎり、両方の検査を行うことを推奨しました。

そのうえで、新型コロナウイルスの流行を地域での発生状況などから4段階に分け、同じ都道府県内で発生が無い段階では、新型コロナウイルスの検査は原則不要で、発生のある地域に2週間以内に行ったことがある人については、検査を考慮するなどとした一方で、2週間以内に同じ地域内で感染経路が不明の感染者が出ている段階では、発熱している人はすべて検査をするのが望ましいなどとしました。

また、小児についての指針も合わせてまとめ、子どもは特にインフルエンザが流行しやすいため、この冬はインフルエンザのワクチンの接種を強く推奨するとしました。

また、大人と同様になるべく同時に検体をとって確定診断を行うことが大切だとしました。

ただ、新型コロナウイルスの検査がすぐにできない場合は、先にインフルエンザの検査や治療を行い、2日程度、経過をみてから改めて新型コロナウイルスの検査を行うことも考えられるなどとしました。

指針は日本感染症学会のウェブサイトで公開されています。

日本感染症学会は「この冬を乗り切るためどうすればよいか、全国の地域の医師にこの指針を活用してほしい。今後も新たな知見が出てくれば改訂していきたい」としています。

同時進行に備える診療所は

この冬に向けて新型コロナウイルスとインフルエンザが同時に流行しないか、地域医療の現場で診察にあたる医師にとっては大きな懸念となっています。

東京 調布市にある診療所、「西田医院」では毎年、冬場になるとインフルエンザの患者が多く受診するということです。

これまでは発熱のある患者がほかの患者と接触しないようパーテーションで仕切って対応してきましたが、この冬は、発熱がある患者とそれ以外の患者の待合室を別の建物にすることなどを検討しているということです。

また、インフルエンザの検査をする際に患者がせき込むなどすると新型コロナウイルスの2次感染のおそれがあることから検査の際にはフェースシールドなどの感染予防の装備をするほか、新型コロナウイルスが疑われる患者については、患者との間を仕切る組み立て式の防護シールドを使うことも検討しているということです。

診療所の西田伸一院長は「インフルエンザがはやってきたらどう対応するのか、医療機関はどこも頭を悩ませている。不安はあるが、万全の体制を整えるしかない。一般の人たちにも事前にインフルエンザのワクチンを打ったり、3密を避ける行動をとったりして、どちらにも感染しないよう注意してほしい」と話していました。