緊急事態宣言3週間 専門家
「重症者多く楽観できる状況でない」

2021年5月17日

緊急事態宣言が出されて3週間が経過した大阪府や東京都では、新型コロナウイルスの新規感染者数は横ばいから減少の傾向が見え始めていますが、専門家は、感染者数や重症者は依然多く、医療現場も厳しい状況が続いていて、楽観できないとしています。

現在の感染状況について、新型コロナウイルス対策にあたる政府の分科会のメンバーで、東邦大学の舘田一博教授は「大阪府では新規感染者数が1日1000人を超える日は見られなくなっているが、まだ1週間平均で700人から800人報告されている。ピークは越えたように見えるが、重症者は多く、医療現場も厳しい状況が続いており、再び増加に転じないか注意する必要がある。東京都では変異ウイルスに置き換わった影響で、感染者数が増加に向かう力と、宣言で減少に向かう力がきっ抗していると考えられる。なんとか爆発的な増加を抑えているところで、楽観できる状況ではない」と指摘しました。

また、他の地域について「新しく宣言が出された北海道と岡山県、広島県は急激な増加がまだ続いているほか、愛知県、福岡県でも明らかな宣言の効果は出ておらず、各地でまだ厳しい状況が続くと考えなければならない」と話しています。

そのうえで、緊急事態宣言の解除について「今の感染者数の増減を見てみると、5月31日に一斉に解除するのは難しいのではないか。感染力の強い変異ウイルスによって、すぐにリバウンドが起きることも考えないといけない。東京都で感染状況がステージ2となるには1日の感染者数が300人を切ることが必要だが、5月中には厳しいかもしれない」と話しています。