東京パラリンピック開幕も
自宅療養者が急増の危機的状況

2021年8月24日

8月24日は東京パラリンピックが開幕しますが、都内では新型コロナウイルスの医療体制が危機的な状況になり、自宅療養者が急増しています。

往診にあたる医師のグループでは、先週から酸素の投与を行う医療機器が、一時的に足りなくなり、往診を断らざるをえないケースも出てきています。

パラリンピックが開催される東京では、感染拡大に歯止めがかからず、入院患者は23日時点で初めて4000人を超え、自宅療養者も2万5000人に上っています。

首都圏を中心に多くの医師が登録する「ファストドクター」では、都の委託を受けて自宅療養者の往診を行っています。

このうち、都内の20代の男性は、同居する女性とともに感染し、保健所から体調確認の電話がかかってくるものの、電話のあとに血液中の酸素の数値が90%前半に低下することもあるということです。

男性は「保健所からの電話は安心できるが、それ以外の時間に異変が起きないか不安だ」と話していました。

また、50代の妻と60代の夫は家庭内で感染し、妻は酸素の値が90%前半に低下し、肺炎の疑いもあり、保健所が入院の調整を進めています。

1週間余りたっても入院先は見つからず、往診した医師が医療機器を使って酸素を投与する対応を行っていました。

このように自宅療養者への対応を続けていますが、先週からは酸素の投与を行う医療機器が一時的に足りなくなり、往診を断らざるをえないケースも出てきているということです。

こうした際、命を守るため、救急車を呼んで緊急の対応を依頼しているということです。

「ファストドクター」の代表、菊池亮医師は「本来入院すべきなのに自宅での生活となることで、肺炎を起こしている人を診る機会が増えています。一方で、酸素濃縮装置が不足していて、在庫件数までしか対応できず、非常に厳しい状況です。オリンピック・パラリンピックで人流が増えることを懸念していて、感染を抑えるために協力してほしい」と話しています。

20代男性 血中酸素の数値低下でとても不安な思いに

東京都内に住む20代の男性は、8月13日に新型コロナウイルスに感染していることが分かったということです。

同居する女性も感染が確認され、1週間前から自宅療養を続けています。

男性は39度近くまで発熱し、解熱剤を使って37度台にまで下げたものの、せきや息苦しさがあるということです。

男性の元には、保健所から体調を確認する電話が定期的にかかってくるものの、電話のあとに血液中の酸素の数値が90%前半に低下したこともあるということです。

男性は「保健所からの連絡を基本的に待つしかなく、24時間後に連絡すると言われても、その間に血液中の酸素の数値が低下してくると、とても不安な思いになります」と話していました。

50代の妻と60代の夫が家庭内感染

東京都内に住む50代の女性は、8月12日に新型コロナウイルスに感染していることが確認されました。

血液中の酸素の数値が90%前半に低下し、肺炎の疑いもあることから、保健所が入院の調整を進めていますが、1週間余りたっても入院先は見つかっていないということです。

女性は時折、激しくせきこんでいて、往診した医師が医療機器を使って酸素を投与する対応を行っていました。

また同居する60代の夫も、のどの痛みやけん怠感、味覚の異常を訴えていました。

このため、医師が抗原検査を行ったところ、夫も陽性の結果となり、保健所に連絡を行ったということです。

家庭内で夫婦がともに感染した形となり、その後も体調の異変を見逃さないよう、看護師が数時間おきに電話などで確認することになりました。