酒提供の飲食店への酒販売停止要請
政府が撤回する方針固める

2021年7月13日

緊急事態宣言の対象地域などで酒の販売事業者に対し、酒の提供停止に応じない飲食店との取り引きを行わないよう要請していることについて、政府は、与党からも反発が相次いでいることを踏まえ撤回する方針を固めました。

新型コロナウイルス対策で政府は、酒の販売事業者に対し、緊急事態宣言の対象地域などでは酒の提供停止に応じない飲食店との取り引きを行わないよう要請しています。

加藤官房長官は、7月13日の記者会見で、要請に応じなくても不利益は生じず、営業の自由を阻害するものでもないと説明していました。

しかし、立憲民主党などは「協力金が不十分な中で、やむなく営業している飲食店をはじめとした業界への圧力だ」として、撤回を要求し、西村経済再生担当大臣の辞任も求めています。

これに加えて、酒類販売の業界団体は7月12日、自民党の下村政務調査会長に懸念を伝えたほか、自民党の会合でも7月13日「酒の販売事業者の経営は非常に厳しく白紙に戻すべきだ」として、反発が相次ぎました。

こうした状況を踏まえて政府は、要請を撤回する方針を固め、与党側に伝えました。

酒の提供停止などの要請をめぐっては、先週、西村経済再生担当大臣が、飲食店などへの要請の順守を金融機関に働きかけてもらう考えを示しましたが、森山国会対策委員長らが「大臣の発言は非常に重いものなので、誤解を招くことがないよう気をつけてもらいたい」と伝えその後、政府として方針を撤回していて、今回はそれに続くものになります。

酒類販売業界は

国の要請に対して抗議文を提出していた酒類販売の業界団体の1つ「全国小売酒販組合中央会」の水口尚人 事務局長は取材に対し「全国の多くの仲間から心配や困惑の声が届けられていたので、撤回するという報道を受け、まずは安どしていますが、今回の要請は脅しともとられかねない面もあり、そもそも発言としてあるべきではなかったと思います。新型コロナの感染拡大の影響で酒類の消費は冷え込んだままですが、飲食店とともに感染防止に取り組んでいきたい」と話しています。

今回の要請をめぐっては、業界の中から反発の声が上がり、全国小売酒販組合中央会は7月9日、国税庁などに対し「補償もない中できぜんとした対応をとることは、商慣習の常識から言っても困難だ」などとする抗議文を提出したほか、7月12日は団体の幹部が、自民党本部で下村政務調査会長と面会し、丁寧な説明を求めていました。