政府の新型コロナ分科会
政府 分科会がまとめた分析で分かったこと

2021年4月9日

この冬の新型コロナウイルスの感染拡大は、年末の忘年会で加速し、飲食につながる午後9時以降の繁華街での人出が、特に影響したと見られることが政府の分科会がまとめた分析で分かりました。

この時間帯の人出を急増させないことが、感染拡大を防ぐために必要だとしています。

政府の分科会は、この冬の感染拡大の第3波で拡大した要因や対策の効果について、人出のデータやソーシャルメディアでの話題などを元に専門家と内閣官房が分析した結果をまとめました。

この中で、人出と感染者数の関係について見ると、東京都では2020年11月に飲食店の営業時間を夜10時までに短縮するよう求める要請が出された際には、歓楽街での夜の人出が減らず、新規感染者数が増加していました。

その後、年末に感染者数が急激に増加して、2021年1月に緊急事態宣言が出され、夜8時までの営業時間の短縮要請が出された後になって、午後9時の人出が2020年12月の半分ほどの水準に減り、新規感染者数は急速に減少しました。

大阪府では2020年11月下旬に、営業時間の午後9時までの短縮要請が出された後、歓楽街での夜の人出が減少したのに伴って、12月中旬まで新規感染者数は減少しました。

その後、年明けに夜の人出も新規感染者数もいったん増えましたが、緊急事態宣言が出された後で感染は減少に向かいました。

“増加”も“減少”も 午後9時以降の人出が特に影響

分科会は、感染者が増加する局面、減少する局面のいずれでも、飲食につながる夜9時以降の人出が、感染状況に特に影響したと見ています。

また、「忘年会」や「カラオケ」といった言葉を含むツイートの数や人出のデータなどを元に、2020年12月上旬から2021年1月上旬の感染拡大に、どれだけ関わったか「寄与率」を統計学的に解析したところ、「忘年会」の寄与率は東京で44%、大阪で53%、「カラオケ」は東京で29%、大阪では30%で、分科会は、「忘年会」が感染拡大を加速させた要因となった可能性が高いとしています。

“感染者増”の情報 行動自粛の効果には…

分析では、何が人々の行動に影響を与えたかも見ていて、2020年の秋以降は、日々発表される新規の感染者数が大きく増加しても、その後の感染者数が減少に転じにくくなっており、感染者数の増加という情報が行動の自粛につながる効果は縮小傾向にあるとしています。

この分析結果を受けて分科会は、飲食店への夜8時までの営業時間の短縮要請は、新規感染者数の減少に効果があったと考えられ、午後9時以降の人出を急増させないことが、感染拡大を防ぐために必要だとしています。