政府の新型コロナ分科会
「東京など さらなる時短要請が必要」
歯止めかからぬ感染拡大

2020年12月23日

新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからないことを受けて、政府の分科会は、感染者が多く今も拡大傾向が続く東京都などでは、感染拡大の大きな要因となっている飲食を通じた感染を抑えるために、飲食店などの営業時間のさらなる短縮要請が必要だとする新たな提言を示しました。

この中で分科会は、今の感染の状況について、首都圏の感染者が多く都市部から周辺に感染がしみ出すように広がっているとして、大都市での感染を抑えなければ地方での感染を抑えることは困難だとしています。

そして、東京都など、もともと感染者数が多く今も感染の拡大傾向が続く地域では「これまで対策が取られてきたにもかかわらず感染が増加している」として、人の移動や接触を減らすことを含めたさらなる強い対策が不可欠だと強調しました。

そのうえでこうした地域では、
▽忘年会や新年会は基本的に見送ること、
▽帰省は控えることや延期や分散して行うことを含め慎重に検討すること、
▽イルミネーションは早めに消灯し、カウントダウンイベントなどについても、オンラインで開催するなど混雑を避けることを強く求めました。

さらに、会食や飲食を通じた感染拡大のリスクを徹底的に抑えるために、飲食店などの営業時間のさらなる短縮要請が必要だとしていて、国にも対策を後押しするよう要請しています。

また、こうした地域以外でも
食事の際には
▽静かに食べることや、
▽家族やいつもの仲間で4人以下ですいている場所を選ぶこと、
▽会話をするときはマスクを着けて、少なくともハンカチなどで口元をおさえることを求めているほか、
年末の買い出しや初売りで出かける際は、少人数で、混雑する時間を避けること、それに、
▽帰省については、感染防止策を徹底し大人数の会食を避ける対応が取れない場合には慎重に検討するよう求めました。

分科会 尾身会長「取れる対策すべてやる時期」

さらなる強い対策を求める地域について、記者会見で政府の分科会の尾身茂会長は「東京都がさらなる強い対策が必要な地域だというのは分科会のメンバーのほぼ一致した見解だ。東京都では知事の強いリーダーシップでこれまでも対策が行われてきたと思うが、今は効果が明らかで取れる対策をすべてやる時期だ。時間がたってから対策をやっても意味が無い」と述べました。

そのうえで「求められている対策は、北海道や大阪府などで実際に効果が明らかになってきている飲食店の営業時間のさらなる短縮要請だ。人々の感染対策の努力だけで今の難局を乗り越えることは不可能だ。ただ、飲食店の経営も非常に厳しい状況なのは明白なので、国や自治体にさらなる経済的な支援も同時に求めたい」と述べ、対策とともに協力を求める際の支援の必要性を強調しました。

東京都 小池知事「現実は厳しい」

政府の分科会の出席者から、東京都に飲食店などに対してさらに踏み込んだ営業時間の短縮要請を行うよう求める意見が出たことについて、東京都の小池知事は「ご協力いただければそれに越したことはないが、なかなか現実は厳しいところがあるかと思う。だから、皆さんにはできるだけ外出を控えること、忘年会や新年会は次の年に回してもらうようお願いしたい。有効性のあることをやっていきたいと思う」と述べました。

変異したウイルスの水際対策も議論

イギリスで感染力が強いとされる変異したウイルスの感染が拡大していることを受けた対策について、12月23日に開かれた政府の分科会では、イギリスだけでなく同様の変異株が確認されている周辺の国からの入国制限の在り方などについても意見が交わされたということです。

国内で見つかったウイルスのうち、遺伝子解析ができているのは、イギリスと同程度の全体の1割程度ですが、同様の変異があるウイルスはこれまでに確認されていないということです。

分科会の尾身茂会長は「ことし春から水際対策での経験を積んだことで、どこの国からどれだけの人が入国し、検疫でどれくらい感染者が確認されているかといった情報が迅速に共有されるようになってきた。こうした情報をもとに今後、想定される事態に応じた水際対策をあらかじめ考えておくことは極めて重要だ。分科会として、そうした作業を行うよう国に求めた」と述べ、変異したウイルスが国内に入り込むことによる感染拡大を防ぐ必要があるという認識を示しました。