政府の新型コロナ分科会
感染高止まりや拡大なら
「Go To除外継続を」

2020年12月11日

新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるために、短期間に対策を集中的に行う「勝負の3週間」の期限が来週に迫る中、政府の分科会の会合が12月11日開かれ、感染が急速に拡大している地域で感染状況が高止まりしている場合や、拡大が続いている場合には、引き続き「Go Toキャンペーン」の対象地域から除外するなどの対策を求める提言を示しました。

分科会の提言では「勝負の3週間」の期限となる時期をめどに、
現在の対策の効果を分析する必要があるとしていて、
感染が急速に拡大している「ステージ3」にあたる地域での感染状況を
▽「拡大が継続」、
▽「高止まりの状態」、
▽「減少」の3つの場合に分けて、
今後、政府や自治体が行うべき対策をまとめています。

この中では「拡大が継続」か「高止まり」の場合には、
▽「Go Toキャンペーン」の対象地域から除外する措置を続けることや、
▽医療体制がひっ迫している地域への医療スタッフの派遣や、
▽医療機関への財政支援の強化などの対策が必要だとしています。

特に「拡大が継続」の場合は、
緊急事態宣言を出すような状況を回避するため、
対策の抜本的な強化が求められるとしていて、
▽飲食店への営業時間の短縮要請を強化するほか、
▽県を越える移動の自粛や
▽不要不急の外出自粛の要請が必要だとしています。

また「高止まり」の場合は、
▽飲食店への営業時間の短縮要請を継続し、
▽必要に応じて時間の前倒しや対象地域の拡大をするほか、
▽感染予防を徹底できない場合には、
社会経済圏を越えた移動の自粛要請が必要だとしています。

さらに「減少」の場合でも、感染状況が急増している段階ではない
「ステージ2」にあたるレベルにまで引き下げることが重要だとして、
▽一定の対策を継続することが必要で、
▽経済的な影響が大きい飲食店への営業時間の短縮要請を続けるかどうかは、適切に判断するとしています。

一方で、いずれの場合でも
▽飲酒を伴う懇親会など感染リスクの高まる
「5つの場面」を避けるよう情報を発信することや、
▽高齢者施設や医療機関で早期にクラスターを封じ込めるために検査を徹底するなどの対策は必要だとしています。

年末年始の対策についての提言も

このほか、分科会は忘年会や新年会、帰省など、人が集まる機会が多い年末年始の対策についての提言も出しました。

この中では、年末年始に交流を通じて感染が全国的に拡大すると、さらに医療がひっ迫し、結果的に経済も大きな打撃を被るとして、「一人一人が年末年始を静かに過ごすことが求められる」としています。

そのうえで感染が急速に拡大している「ステージ3」にあたる地域では
▽忘年会や新年会は、オンラインで開催し、
大人数の場合は実施を見送ること、
▽成人式や年末年始のイベントについて、
主催者は開催時期の変更やオンラインでの開催など、
在り方について慎重に検討すること
▽帰省は延期も含めて慎重に検討するなどの対応を求めています。

また、それ以外の地域でも
▽忘年会や新年会は、なるべくふだんから一緒にいる人と少人数で開き、短時間で済ませたり、斜め向かいに座ったりするなど、感染リスクを下げる行動を取ること、
▽成人式については、参加人数の制限や会場での飲食を控えること、それに
▽会場や周辺で密集しないこと
▽帰省する場合には帰省先での大人数での会食を控え、休暇を取る時期をずらして、混雑を避けるなどの工夫が必要だと指摘しています。

尾身会長 「北海道や東京、大阪はステージ3」

分科会の尾身茂会長は記者会見で、現時点でも北海道や東京都、大阪府は感染が急速に拡大している「ステージ3」の地域に当たる状況だという考えを示しました。

そして、それぞれの地域が12月11日の提言で示された3つの場合のうちのどこに該当するかについては、「どの場合に当たるかは感染者の数に現れるので、ある程度は判断できる。自治体には、今まで以上にリーダーシップを発揮して先手を打った対応を取ってもらいたい。国も自治体が同じ方向を向いて、より迅速に決断してほしいというのが分科会の強い思いだ」と述べました。

また、現在の状況について「ステージ3の地域では、感染の拡大で特に医療体制の負担が増大している。重症者の数は今後も増加が続くと思われ、保健所が感染経路などを特定する調査を行う余裕もなくなってきているなど、非常に厳しい状況になってきている」と危機感を示しました。

そのうえで、今後求められる対策について、「ことしの年末年始は我慢して静かに過ごしてほしい。また、年末年始が終われば人の動きが活発になって、再び感染が拡大するおそれもあるので、今のうちに感染のレベルをしっかり下げておくことが非常に重要だ」と述べて、今対策を強化する必要性を強調しました。

西村経済再生相「札幌や大阪 緊密に連携して対応」

西村経済再生担当大臣は、記者会見で「なんとか感染者数の急激な増加は回避されているが、なかなか減少させることができていない状況にあり、分科会では、特に医療がひっ迫していることに改めて強い危機感を共有した」と述べました。

そのうえで「仮に継続して感染が拡大した場合は経済にも大きな影響が及ぶ。より幅広い地域や業種に制約をお願いすることになるので、緊急事態宣言を回避するため、協力をお願いしたい」と述べ、改めて感染対策への協力を呼びかけました。

また、西村大臣は「Go Toトラベル」をめぐり、札幌市と大阪市を目的地とする旅行を対象から外している措置を延長するかどうかについて「北海道の鈴木知事と大阪府の吉村知事は延長する方向で考えているのではないか。感染状況や医療のひっ迫状況なども共有しながら、緊密に連携して対応を協議していきたい」と述べました。

田村厚労相 「危機意識持ち対応する」

田村厚生労働大臣は12月11日午後、記者会見で「政府と専門家の間に温度差はない。非常に危機感を持っているからこそ、各自治体の医療提供体制に対して、しっかりした対応をお願いしているし、人材派遣の支援もしている。いま感染者が少ないからといって、大丈夫だと決して思ってもらっては困るので、しっかりと先のフェーズを見越したうえで、医療提供体制の確保をお願いしたい」と述べました。

また、「地域住民の行動に対するいろんな対策に関しては、各都道府県、自治体と話し合いをする中で進めているが、しっかりと危機意識を持って対応していきたい」と述べました。

官房長官「知事の判断を尊重し支援」

加藤官房長官は、午後の記者会見で「各都道府県がどのようなシナリオに該当するかは、地域の感染状況や病床の状況も把握している知事の判断を尊重したいと考えている。国としては、都道府県とも緊密に連携し、シナリオを踏まえて、知事が必要な施策を講じていくことを支援していきたい」と述べました。

一方、「Go Toトラベル」について「札幌、大阪、東京では、事業の一時停止や利用自粛の呼びかけなどの措置が行われているが、こうした措置の延長などを、当然、これから議論していかなければならない」と述べました。