2020年8月21日
8月21日に行われた新型コロナウイルス対策の政府の分科会では、感染状況について、最新の分析結果が報告され、専門家は、全国的には今回の感染拡大はピークに達したと考えられるものの、再び増加するおそれがあり引き続き注意が必要だと指摘しました。
全国的には7月下旬がピーク 再び増加の可能性に引き続き注意を
これは会合のあとの会見で分科会の尾身茂会長や分科会のメンバーで東北大学の押谷仁教授らが明らかにしました。
各自治体では新たに感染が確認された人の数を毎日、発表していますが、検査の実施状況などの影響を受けるため感染状況を正確に分析するには、発症した日ごとのデータが重要となります。
8月21日の会合では最新の発症日ごとのデータが示されました。
それによりますと全国的には、今回の感染拡大で7月27日から29日にかけて発症者数がピークとなり、その後、緩やかに下降傾向になっていて、一部地域では新たな感染者の数が減少傾向にあるとみられるということです。
都道府県別では、東京都や大阪府、それに愛知県などでは、7月末ごろがピークとなっていた可能性があるほか、福岡県や沖縄県などでも8月中旬にかけてゆっくりと減少傾向が見られたということです。
一方で、お盆の時期などの状況についてまだ分析できるデータが無いことやピークは過ぎたように見えても高止まりの状態とみられる地域もあることなどから、この先、再び増加する可能性があるとして引き続き注意が必要だとしました。
そのうえで分科会では、3月から5月にかけての第1波の際には流行の後期に高齢者施設や医療機関などの施設内で感染が増える傾向があったことや大阪府や沖縄県、愛知県、それに福岡県などで重症者の数が増加傾向にあることなどからマスクの着用や手洗い、それに3密を避けるなどの感染対策を引き続き徹底する必要があるとしています。
会見で東北大学の押谷教授は、「大きな集団感染がどこかで起きれば感染が再び拡大することも十分考えられる状況だ。高齢者施設や医療機関で感染が広がると重症者や死亡者が増えるおそれがある。患者数の推移でピークが見えたとしても、重症者の数や医療機関のひっ迫の問題は全く別の話だと捉える必要があり引き続き注意が必要だ」と指摘しました。