ワクチン接種 政府分科会
「医療従事者や高齢者など優先」

2020年8月21日

新型コロナウイルス対策を検討する政府の分科会が8月21日に開かれ、ワクチンが実用化された場合に、感染リスクの高い医療従事者や、重症化するリスクの高い高齢者と基礎疾患がある人などに優先的に接種するとした政府の案がおおむね了承されました。

政府が進める新型コロナウイルス対策に専門家が見解を示す政府の分科会は、西村経済再生担当大臣と加藤厚生労働大臣も出席して開かれました。

分科会では、最新の感染状況を分析した結果、全国での感染拡大はピークに達し、一部の地域では新規感染者数が緩やかに減少し始めているという見解が示されました。

ただ、お盆期間中に人の移動があったことなどから、さらに感染が拡大するリスクもあるとして、引き続き感染対策をしっかりとる必要があるとしています。

一方、ワクチンの接種について、分科会としての考えをまとめました。

それによりますと、ワクチンの安全性や有効性には科学的な不確実性がある一方、国民の期待も極めて大きいことから、正確な情報を丁寧に伝えていくとともに、とくに安全性の監視を強化して接種を進める必要があると指摘しています。

そして、分科会では、ワクチンが実用化した場合の接種のあり方について、政府の案が示されました。

案では、優先的に接種する対象を、患者と頻繁に接触するなど感染リスクの高い医療従事者や、重症化するリスクの高い高齢者と基礎疾患がある人などとしていて、おおむね了承されました。

一方で、救急隊員や保健所の職員、高齢者施設などで働く人、さらに妊婦を含めるかどうかは引き続き検討課題とするとしています。

尾身会長「効果や副作用 透明性もって国民に情報を」

分科会の会合のあとで開かれた記者会見で、分科会の尾身茂会長は、感染を予防するなど、理想的なワクチンができる可能性は必ずしも保証されていないものの、感染拡大に伴って期待が高まっているという認識を示しました。

その上で、「国としてワクチンの確保に全力で取り組んでもらうとともに、海外からの購入については安全性や有効性が明確になっていない時点で判断しないといけない。安全性や有効性が全部わかってからでは遅いのですべて使用されなくても必要な数の確保を目指すのが重要だ」と述べ、早い段階から国としてワクチンの確保を進める必要性を強調しました。

また、尾身会長は、「日本はワクチンの副作用に対する国民の関心が諸外国に比べて高いということもあり、ワクチンがなかなか普及しなかった歴史もある。どこまで効果があるのか、どんな副作用があるのかなど分かった時点で速やかに透明性をもって情報を国民に伝えることが専門家の責務だと思う」と述べ正確な情報を発信することが重要だという認識を示しました。