コロナ影響で中退や休学の学生約5800人に
2020年4-12月 文科省

2021年2月21日

コロナ禍による影響で2020年度、12月末までに全国の大学や短期大学などを中途退学や休学した学生はおよそ5800人に上っていることが文部科学省の調査で分かりました。

文部科学省は、全国の大学や短期大学、それに高等専門学校を対象に、2020年度、4月から12月までの中途退学や休学、それに支援の状況を調査し、全体の95%に当たる1009校から回答を得ました。

その結果、
▽中途退学した学生は2万8647人、
▽休学した学生は6万5670人で、
このうち感染拡大の影響と分かっている人は、
▽中退者は1367人、
▽休学者は4434人の合わせて5801人となっています。

全体としては、前の年の同じ時期と比べ、中退者は2割ほど、休学者は1割近く減っています。

これについて文部科学省は、99%の学校が後期授業料の納付期限を猶予し、74%が経済的に困難な学生を対象に授業料の減額や免除を行っていることや、国の低所得世帯を対象とした給付型奨学金が支給される制度が2020年4月から始まり、12月時点で27万人近くが利用していることなどが背景にあるとみています。

文部科学省は「年度末に向け、中退や休学する学生が増えることも想定されるため、引き続き、大学などと連携し、きめ細かな支援を継続したい」としています。

専門家「困窮世帯の学生への影響に注意必要」

子どもの貧困問題や支援制度に詳しい日本大学文理学部の末冨芳教授は、中退や休学した学生の数が減少している状況について「去年の春に始まった低所得世帯への高等教育の無償化制度の効果が出ているとみられる。一方で、ぎりぎり、制度からこぼれる世帯の中には苦しい家庭もあるはずだ。困窮世帯では、大学生や高校生がアルバイトで家計を支える家庭も多く、大学をやめて家計を支えようとする学生も出てくるとみられ、長期化による影響への注意が必要だ」と指摘しています。

また、「家計以外の理由でも、コロナ禍で大学生活を楽しめず意欲が無くなったり、オンライン授業の連続で疲れたりして、精神的なストレスを抱えて孤立した状況になり、学業を続けられないというケースが出てくることにも注意が必要だ」として、オンラインも含めた学生どうしの交流や精神的なケアが必要だと話していました。