厚生労働省の新型コロナ専門家会合
新型コロナ「年末年始の接触機会増加で
注意必要」専門家会合

2022年12月21日

新型コロナウイルス対策について助言する、厚生労働省の専門家会合が開かれ、全国では感染者数の増加速度が低下しているものの、一部の地域を除いて、今後も増加傾向が続くと見込まれると分析しました。

東京や大阪などでは、夜間の繁華街の人出がコロナの感染が始まってから最多の水準になっていて、年末年始の接触機会の増加などの影響に注意が必要だとしています。

専門家会合は、現在の感染状況について全国的に増加の速度は低下しているものの、増加傾向が続いていて、感染が遅れて拡大した中国・四国、九州などでは増加の幅が大きくなっているとしています。

また、多くの地域で高齢者の感染者数が増加し、全国で重症者数や死亡者数の増加傾向が続いているとしています。

医療体制については全国的に病床使用率が上昇傾向となっていて、特に、コロナ以外での救急搬送が困難なケースは、ことし夏の「第7波」のピークを超えていて、年末年始の救急医療体制の確保に注意が必要だとしました。

また、インフルエンザの感染者数も、一部の地域で流行が懸念される水準に達しているとして、新型コロナとインフルエンザの同時流行も含めて注意が必要としています。

そして、今後の感染状況の短期的な予測では、多くの地域で増加傾向が続くと見込まれ、
▽ワクチンの接種や感染から時間がたって、免疫のレベルが下がることや、
▽より免疫を逃れやすいとされるオミクロン株の「BQ. 1」系統の割合が、国内でも増加しつつあること、
それに、
▽夜間の繁華街の人出が、東京や大阪、愛知などで午後8時から10時の間は、コロナの感染が始まってから最多の水準になっていて、年末年始で接触機会が増えることなどによる影響に注意が必要だと指摘しました。

そのうえで、必要な対策について専門家会合は、年内にオミクロン株対応のワクチン接種を終えるよう呼びかけ、自分で検査できる抗原検査キットを準備して感染に備えるよう求めています。

さらに、
▽飲食はできるだけ少人数で、飲食時以外はマスクを着用すること
▽換気の徹底
▽症状があるときは外出を控える
といった、基本的な感染対策の再点検や徹底を改めて呼びかけました。

新規感染者数 41都府県で前週より増加

厚生労働省の専門家会合で示された資料によりますと、20日までの1週間の新規感染者数は、全国では前の週と比べて1.18倍と増加が続いていて、北海道と東北などの一部の県を除く41の都府県で前の週より感染者数が増えています。

【首都圏の1都3県】
▽東京都と埼玉県が1.16倍
▽神奈川県と千葉県が1.18倍
と増加が続いています。

【関西】
▽大阪府が1.23倍
▽京都府が1.19倍
▽兵庫県が1.28倍

【東海】
▽愛知県が1.18倍
▽岐阜県が1.16倍
▽三重県が1.34倍
と増加が続いています。

また、
▽鹿児島県で1.56倍
▽熊本県で1.51倍
▽福岡県で1.45倍
▽大分県で1.41倍
▽山口県で1.40倍
などと、九州や中国地方で増加の幅が比較的大きくなっていて、北海道や秋田県、山形県などを除いた41の都府県で前の週と比べて増加しています。

【人口10万あたりの直近1週間の感染者数】
▽佐賀県が1331.95人
▽鳥取県が1310.79人
▽熊本県が1270.21人
▽島根県が1202.61人など、
10の県で1000人を超えていて、
▽東京都は796.57人
▽大阪府は693.19人
そして、
▽全国では844.53人となっています。

脇田座長「年末年始は準備と感染対策を」

厚生労働省の専門家会合のあと開かれた記者会見で、脇田隆字座長は年末年始の対策について「ワクチンを早期に接種し、自己検査をするための抗原検査キットや発熱した場合に備えて解熱剤を準備すること、そして、年末年始は医療機関の診療体制がふだんと異なるので、受診できる自宅や帰省先の地域の医療機関を確認することが重要だ。さらに、特に換気を注意して基本的な感染対策を徹底して、年末年始を過ごしてほしい」と述べました。

また、新型コロナの感染症法上の扱いの見直しについて、専門家会合でどのような議論があったか聞かれたのに対し、脇田座長は「オミクロン株による圧倒的な数の感染者に対応するため、さまざまな公的な支援が行われてきたが『5類相当』に移行すると、そうした施策が行われなくなる一方で、感染者に対応できる病院や診療所が増えない可能性もある。十分な医療提供体制をとるために、どう調整していくか考えるべきだという議論があった」と説明しました。