厚生労働省の新型コロナ専門家会合
“夏の第7波のような感染拡大の可能性”
新型コロナ 専門家会合

2022年11月9日

新型コロナウイルス対策について助言する、厚生労働省の専門家会合が開かれ、全国の新規感染者数は増加傾向で今後、2022年夏の第7波のような感染拡大につながる可能性があると指摘しました。年末に向けて人と人との接触機会が増えることによる影響に注意が必要で、一人一人が感染を予防するための行動をとるよう呼びかけています。

専門家会合は新型コロナの感染状況について、現時点で2022年夏の第7波のときほどは急激な増加にはなっていないが、全国で増加傾向となり増加幅に地域差があると指摘しました。

特に北海道では第7波のピーク時に迫る高い水準の感染となっているほか、東北や北陸、甲信越、中国地方では大きく増加しているとしています。

また、年代別では、感染者数が多くなっている地域で、特に10代以下の子どもの増加幅が大きくなっているほか、高齢者の感染者も増えて、重症者数も増加傾向が見られ、病床使用率も全国で増加傾向にあるとしています。

そして、今後について大都市での短期的な予測などでは増加傾向が続き「この夏のような感染拡大につながる可能性がある」としていて、年末に向けて社会経済活動が活発化することで、人と人との接触機会が増えることによる影響に注意が必要だと指摘しました。

また、現在主流になっているオミクロン株の「BA.5」のほか、今後は、海外で感染者数増加の要因になっていると指摘されている、オミクロン株の「BQ.1」などについても、割合が増加する可能性があり、注視が必要だとしています。

そして、必要な対策について専門家会合は、ワクチンの接種間隔が短縮されたことも踏まえて、高齢者をはじめ12歳以上の接種の対象者が、年内にオミクロン株対応のワクチン接種を完了するよう呼びかけることが重要だと指摘しました。

さらに、医療ひっ迫を防ぎながら重症化リスクの高い人に適切な医療を提供するため、受診控えが起こらないように配慮したうえで、無症状の人が念のための検査のためだけに、救急外来などを受診することを控えるよう呼びかけが必要だとしています。

そのうえで改めて、場面に応じて正しく不織布マスクを着用することや換気、飲食はできるだけ少人数で飲食時以外はマスクを着用すること、症状があるときは外出を控えることといった、基本的な感染対策を続けるよう呼びかけました。

加藤厚生労働相「2週間後に前回のピーク超える可能性」

加藤厚生労働大臣は「新規感染者数は全国で増加傾向となっている。この傾向は今後も継続しいわゆる『第8波』につながる可能性もある。仮に、前回の感染拡大と同様のスピードで継続した場合、2週間後には前回のピークを超える可能性も想定されている」と指摘しました。

そのうえで「過去の経験も踏まえた対策を取ることが重要だ。都道府県には地域の実情を踏まえて外来医療体制を強化するよう依頼しており、厚生労働省としても必要な支援を行っていく」と述べました。

そして、国民に対し「基本的な感染予防対策の徹底とともに、若い方も含め、ワクチンを接種してもらいたい。発熱などの体調不良時に備えて、検査キットや解熱鎮痛薬を早めに購入しておくなどの準備を改めてお願いしたい」と呼びかけました。

脇田座長「感染拡大が続く可能性はある」

厚生労働省の専門家会合のあと開かれた記者会見で、脇田隆字座長は今後の感染拡大の見通しについて「オミクロン株対応のワクチンの接種がそれほど進まず、免疫が減弱してきているほか、東京では夜間滞留人口が増えて2021年の忘年会シーズンとほぼ同じくらいの人出になるなど、社会活動が活発化している。また、免疫から逃れるとされる新たな系統の変異ウイルスが今後増えるとも予測され、感染拡大が続く可能性はあるといった議論があった」と述べました。

そのうえで「『第7波』の感染者数や死亡者数が十分に下がりきっていない中で、すでに感染者数が増加している。今後、高齢者に広がると、重症者数や死亡者数の増加もありうる。個人でできる準備も必要で、オミクロン株対応のワクチン接種をしてほしい。また、自宅で抗原定性検査キットや解熱鎮痛剤をぜひ準備して発熱したときに受診するときの流れを確認してほしい」と呼びかけました。

また北海道の新規感染者数が過去最多となったことについて「この夏の『第7波』は西日本中心に拡大し、東日本は西日本ほど高い波がなかったことが影響して、現在、東日本でかなり大流行になっている可能性がある。これまでは大都市圏から地方に拡大していたが、いまはそうではなく、地域での免疫を持つ人の割合の状況や人と人の接触の程度の違いが影響してくるのではないか。北海道はすでにかなり気温も下がり、換気がされにくいことも影響している可能性がある」と述べました。

1週間の新規感染者数 前週比1.40倍

厚生労働省の専門家会合で示された資料によりますと、8日までの1週間の新規感染者数は、全国では前の週と比べて1.40倍に増加しています。

首都圏の1都3県では
▽東京都が1.51倍
▽神奈川県と埼玉県が1.48倍
▽千葉県が1.35倍と増加が続いています。

関西では
▽大阪府と兵庫県が1.24倍
▽京都府が1.40倍

東海では
▽愛知県が1.58倍
▽岐阜県が1.44倍
▽三重県が1.45倍と増加しています。

また
▽徳島県で1.69倍
▽宮城県で1.66倍
▽福井県で1.60倍
▽福島県と長野県で1.56倍などとなっていて
すべての都道府県で増加しています。

人口10万当たりの直近1週間の感染者数は
▽北海道が850.07人と全国で最も多く
次いで
▽山形県が710.00人
▽長野県が688.91人
▽宮城県が557.47人
▽秋田県が552.47人
▽福島県が540.93人などと
北海道や東北を中心とした地域で多くなっています。

また
▽東京都は302.93人
▽大阪府は254.69人
▽全国では338.12人となっています。