厚生労働省の新型コロナ専門家会合
専門家会合「帰省などで高齢者と面会する場合は
検査で陰性確認を」

2022年8月10日

新型コロナウイルス対策について助言する厚生労働省の専門家会合が開かれ、新規感染者数の増加幅は小さくなってきているものの、これまでで最も高い感染レベルが続き、救急搬送が困難なケースが増加するなど、一般医療を含めた医療提供体制に大きな負荷が生じていると指摘しました。

今後もお盆の人の動きに伴う影響が懸念されるとして、感染リスクを伴う接触機会を可能なかぎり減らし、高齢者と接触する機会が増えるお盆の帰省前には検査を受けるよう呼びかけています。

専門家会合は、現在の感染状況についてこれまでで最も高いレベルでの感染が続いていて、いったん減少してもその後に急増する地域もあり、夏休みやイベントによる接触機会の増加が影響していると考えられると分析しています。

感染者数の増加は重症化リスクの高い高齢者を含む50代以上で継続していて、亡くなる人は第6波のピークに近いレベルまで急に増え、今後さらに増加することが懸念されるとしています。

そして、救急搬送が困難なケースが増加するなど、コロナだけでなく一般医療を含めた医療提供体制に大きな負荷が生じているとしています。

専門家会合は今後もお盆の人の動きに伴う影響も懸念され、医療提供体制への影響も含め、最大限の警戒感をもって注視する必要があると強調しました。

また、オミクロン株に対応するワクチンの接種を10月中旬以降に開始する準備を進めることが必要だとした一方で、現在の感染状況を踏まえると、できるだけ早い時期に3回目の接種や高齢者の4回目の接種などを促進していくことが必要だとしています。

そして、感染リスクを伴う接触機会を可能なかぎり減らすよう呼びかけたうえで、特にお盆や夏休みの帰省で高齢者との接触や大人数での会食がある場合は事前に抗原検査キットなどで陰性を確認するよう推奨しています。

さらに、自分で抗原検査キットを使って陽性が確認された場合に、医療機関に行かなくても迅速に健康観察につながることのできる体制を進めることが必要で、職場や学校などで療養を始める際に検査証明を求めないことや、検査キットを安定的に供給することが重要だと指摘しました。

新規感染者 前週比1.05倍 増加続く

厚生労働省の専門家会合で示された資料によりますと、8月9日までの1週間の新規感染者数は、全国では前の週と比べて1.05倍で、過去最多レベルの感染が続く中で増加が続いています。

首都圏の1都3県では東京都が0.97倍、神奈川県が0.94倍、埼玉県が1.01倍、千葉県が1.00倍とほぼ横ばいとなっています。

関西では大阪府が1.01倍、兵庫県が1.09倍、京都府が1.03倍、東海でも愛知県が1.07倍、岐阜県が1.20倍、三重県が1.17倍と、横ばいから増加となっています。

また人口当たりの感染者数が最も多い沖縄県は0.96倍となっています。

広島県で1.41倍、高知県で1.36倍、和歌山県で1.30倍などと、39の道府県では前の週より多い状態が続いていますが、2倍を超えた地域はありません。

人口10万当たりの直近1週間の感染者数は、沖縄県が2261.70人と2000人を超えて全国で最も多く、次いで大阪府が1596.06人、福岡県が1577.17人、宮崎県が1552.95人、東京都が1539.96人、熊本県が1504.11人など、29の都府県で1000人を超えていて、全国でも1194.33人となっています。

厚労副大臣「医療体制へのさらなる影響懸念」

専門家会合で古賀厚生労働副大臣は「新規感染者数の増加幅は減少してきているものの、全国的にはこれまでで最も高い感染レベルが継続している。病床使用率はほぼ全国的に上昇傾向が続き、重症者数や死亡者数も増加傾向が続いている」と指摘しました。

そのうえで「この週末からお盆に入るが、人の動きが増え、発熱外来はじめ医療体制へのさらなる影響が懸念される。国民の皆様には社会経済活動を維持するためにも、油断することなく、改めてマスクの適切な着用、手洗い、3密の回避や換気などの基本的な感染防止策の徹底を心がけていただきたい」と述べました。

脇田座長「高齢者と面会する前に検査で陰性確認を」

厚生労働省の専門家会合のあと開かれた記者会見で、脇田隆字座長は現在の感染状況について「感染者の数は一部の地域で減少傾向になっているものの多くの地域で引き続き増加している。いったん減少したり、高止まりの状況となったりしていた地域でも、再度、急増しているところがあり、会合のメンバーからは、夏休みのイベントで接触機会が増えた影響が考えられるという指摘があった。感染者数はすぐに減少せず、さらに減らしていくための対策が必要だという議論もあった」と評価しました。

そして、お盆の旅行や帰省の時期を迎える中での対策について「いまは無料で検査ができる場所が数多く準備されているので、特に高齢者と面会する予定がある場合は、旅行の前に検査で陰性を確認することも検討してほしい。医療体制がひっ迫し、旅先ですぐに病院にかかれない場合もあるので、コロナだけではなく、なるべく病気や怪我をしないよう行動に十分注意を払うこと、感染リスクの高い行動はなるべく避けることが求められる」と指摘しています。

また、オミクロン株に対応したワクチンの接種が2022年10月中旬以降に始まる方針となったことについて「なるべく多くの人がオミクロン株対応のワクチンを接種することでより強い免疫を持つことが対策として重要だ」としたうえで「現在接種できるワクチンでもオミクロン株に対して、重症化を予防する効果は、あるので、いま、3回目や4回目の接種機会があるならば、すみやかな接種を検討してもらうことが必要だ」と話していました。