厚生労働省の新型コロナ専門家会合
“全年代で感染者数増加 リバウンド懸念”

2022年4月6日

新型コロナウイルス対策について助言する厚生労働省の専門家会合が開かれ、全国の新規感染者数はすべての年代で増加に転じ、特に10代から20代での増加が顕著だと指摘しました。感染の再拡大、リバウンドの可能性も懸念されるため、ワクチンの追加接種をさらに進めることや感染対策の徹底が必要だとしています。

10代・20代で増加が顕著

専門家会合は現在の感染状況について全国では増加傾向で横ばいの地域もある一方、特に秋田県や新潟県、鹿児島県などは新規感染者数の1週間平均がすでに第6波のピークを上回るなど地域によって感染状況に差が出ているとしています。

また感染者数はすべての年代で増加に転じ、特に10代から20代での増加が顕著になっていて、感染場所が飲食店の割合はすべての年代ではおよそ2%なのに対し20代ではおよそ7%と増加傾向にあるとしています。

そしてこれまでの感染拡大では若い世代から高齢者に波及する傾向が見られたため、注意が必要だと指摘しました。

そのうえで現在の感染者数の増加には接触機会の増加とオミクロン株のうち、より感染力が高い「BA.2」への置き換わりが強く影響していると考えられるとしていて、花見や歓迎会などが行われる時期で特に夜間の繁華街の人出が増えることや、新学期が始まり学校での子どもの接触機会が増えることに注意が必要だとしています。

専門家会合は現在の新規感染者数は2021年夏の第5波のピークより高い状況が続き、さらにリバウンドの可能性も懸念されるとしていて
▽ワクチンの追加接種をさらに進めることや
▽外出の際には混雑した場所や換気が悪い感染リスクの高い場所を避けること
▽不織布マスクの正しい着用、消毒や換気、密を避ける
といった対策を徹底するよう改めて呼びかけました。

脇田座長「増加が続いているが現在は地域差がある」

会合のあと開かれた記者会見で、脇田隆字 座長は現在の感染状況について「全国的には増加が続いているが現在は非常に地域差があるという状況だ。いわゆる『第6波』では感染のピークが高くなかった地域、特に人口規模が小さいところで感染者数の増加がみられる。『第6波』で感染が小さかったところでは免疫の獲得が少ないことから、こういった差が生まれているのではないかという議論があった」と述べました。

またオミクロン株の「BA.1」と「BA.2」の間で組み換えが起きたとされる「XE」と呼ばれるウイルスがイギリスなどで報告されていることについて「この系統はイギリスで多く確認をされているが増殖力が『BA.2』に比べて10%程度高いという評価が出ている。今後感染が拡大する可能性もあるが重症度との関連についてはまだよくわかっていないと聞いている。ただまだ国内では見つかっておらずイギリスでも広がっている状況ではないので、今後の状況をしっかりとみていくとともに検疫でのゲノム解析を引き続き続けていくことが必要だ」と話しています。

34都道府県で増加

厚生労働省の専門家会合で示された資料によりますと、4月5日までの1週間の新規感染者数は全国では前の週と比べて1.08倍と先週に続いて増加し、前の週より増加した地域は34の都道府県に上っています。

3月21日に、まん延防止等重点措置が解除された地域のうち首都圏の1都3県では
▽東京都で1.04倍
▽神奈川県で1.05倍
▽埼玉県で1.03倍
▽千葉県で1.13倍

関西では
▽大阪府で0.97倍
▽兵庫県で0.95倍
▽京都府で1.16倍

東海では
▽愛知県は0.97倍
▽岐阜県は1.11倍
となっています。

また
▽北海道は1.17倍
▽茨城県は1.13倍
▽栃木県は1.07倍
▽群馬県は1.02倍
▽石川県は1.21倍
▽静岡県は1.15倍
▽香川県は0.99倍
▽熊本県は1.32倍
と横ばいから増加となっている一方
▽青森県は0.89倍と、減少しています。

全国の都道府県のうち、新規感染者数が前の週よりも増加したのは34の都道府県にのぼり
▽新潟県で1.38倍
▽和歌山県で1.33倍
▽島根県で1.42倍
▽大分県で1.39倍
▽宮崎県で1.68倍
などと、増加の幅が比較的大きくなっていて
▽人口当たりの感染者数が最も多い沖縄県も1.26倍となっています。

現在の感染状況を人口10万人当たりの直近1週間の感染者数でみると
▽沖縄県が全国で最も多く495.54人
次いで
▽東京都が372.83人
▽埼玉県が335.52人
▽茨城県が303.77人
▽福岡県が302.05人
そして
▽全国では258.56人
となっていて、感染者数が多い状態で前の週より増加しています。

後藤厚生労働相 “改めて感染防止策の徹底を”

後藤厚生労働大臣は専門家会合で「直近の感染状況について1週間の新規感染者数の平均は増加傾向となっている。地域別に見ると継続的に増加している地域もある一方、横ばいの地域もあることから感染状況を引き続き注視していく必要がある」と指摘しました。

そのうえで「新年度を迎え多くの人が集まる行事が行われるとともに、就職や進学を機会に人の移動も多くなっている。これまでこのような機会をきっかけに感染が拡大してきたことから感染防止策の徹底が必要だ。国民には感染リスクの高い行動を控えてもらい改めてマスクの着用、手洗い、3密の回避や換気などの基本的感染防止策の徹底を心がけてほしい」と呼びかけました。