厚生労働省の新型コロナ専門家会合
脇田座長「第6波 2月上旬にピーク越えた」

2022年2月16日

厚生労働省の専門家会合のあと開かれた記者会見で、脇田隆字座長は現在の流行の“第6波”について「全国の感染状況のデータから傾向をみるとだいたい2月上旬にピークを越えたと考えている。地域によってかなりばらつきはあるが、平均すると全国ではピークを越えたと考えている」と述べました。

「ワクチン3回目接種進めることが重要」

そのうえで、今後の流行の推移については「20代の若者は感染者数が急速に増えて、急速に減っているが過去の流行でも、高齢者の場合は徐々に増えて徐々に減るのが特徴だ。高齢者の感染者数はゆっくり減っていくことから、全体でみると減少はややゆっくりになっていくと思われる」と述べました。

そして、必要な対策については「感染対策をしっかりとって、ハイリスクな場所や行動を避けるとともに、何よりワクチンの3回目の接種を進めていくことが重要だと考えている。きょうの会合でも今の流行が終わったあとにまた、次の流行が起こる可能性があり、それに対する備えとしてもワクチンの3回目の接種が重要だという議論があった。さらに、これから卒業や花見のシーズンで、年度が替わる時期でもある。これまでも年末年始や大型連休などで感染拡大があった。年度替わりの際の人の移動やふだん会わない人との接触などが感染拡大のきっかけになる可能性が高いため、十分注意する必要がある」と話していました。

家庭 学校 介護福祉施設などで感染続く

専門家会合は、全国の感染状況についてほぼすべての年代で減少傾向となっているものの、80代以上の高齢者で微増し、家庭や学校、介護福祉施設などの場で感染が続いているとしています。

また、まん延防止等重点措置が適用されている地域の一部では、夜間の繁華街の人出が再び増加する兆しが見られるほか、いまのところ兆候は見られないとしながらも今後、オミクロン株の一種で感染力がさらに高いと指摘されている「BA.2」と呼ばれる系統のウイルスに置き換わり、感染が再び増加に転じる可能性にも注意が必要だとしています。

一方で、療養者数や重症者数、それに高齢者を中心に亡くなる人の数は増加が続いていて、中には基礎疾患の悪化などによって「重症患者」とされないまま亡くなる人も含まれている可能性があると指摘しました。

感染が先行して拡大した沖縄県では感染者が減り始めてから入院患者が減少に転じるまで2週間程度の遅れが見られたことから、全国でも感染者数の減少傾向が続いても当面は多くの地域で軽症や中等症の医療体制のひっ迫や高齢の重症者数の増加によって重症患者の病床使用率の増加が続く可能性があるとしています。

専門家会合は高齢者への追加接種をさらに加速化し、高齢者以外も接種の前倒しを行うとともに、オミクロン株の特性を踏まえて感染が広がっている学校や保育所、介護福祉施設、職場などで、職員らへのワクチンの追加接種を進め、職場ではテレワークの活用など接触機会を減らすことが求められるとしています。

さらに1つの密でも避け、外出の際には混雑した場所や感染リスクの高い場面を避けるほか、不織布マスクの正しい着用や手指の消毒、換気など、改めて、基本的な感染対策を徹底するよう呼びかけました。

2月15日までの1週間の新規感染者数

厚生労働省の専門家会合で示された資料によりますと、2月15日までの1週間の新規感染者数は、全国では前の週と比べて0.90倍と2021年12月上旬以来、およそ2か月半ぶりに減少となりました。

まん延防止等重点措置が適用されているほとんどの地域で減少に転じています。

重点措置が適用されている地域のうち、首都圏の1都3県では
▽東京都で0.82倍、
▽神奈川県で0.94倍、
▽千葉県で0.98倍、
▽埼玉県で0.87倍、
関西の2府1県では
▽大阪府で0.94倍、
▽京都府で0.86倍、
▽兵庫県で0.88倍と
横ばいから減少となっています。

また東海3県では
▽愛知県で1.03倍、
▽岐阜県で1.05倍と
横ばいから増加となっている一方
▽三重県で0.91倍と減少しています。

このほかの地域では、
▽北海道で0.91倍、
▽青森県で0.97倍、
▽山形県で0.72倍、
▽福島県で0.78倍、
▽茨城県で0.96倍、
▽栃木県で0.91倍、
▽群馬県で0.78倍、
▽新潟県で0.98倍、
▽石川県で0.83倍、
▽長野県で0.91倍、
▽静岡県で0.90倍、
▽和歌山県で0.89倍、
▽岡山県で0.78倍、
▽広島県で0.83倍、
▽山口県で0.89倍、
▽香川県で0.98倍、
▽福岡県で0.88倍、
▽佐賀県で0.86倍、
▽長崎県で0.81倍、
▽熊本県で0.90倍、
▽大分県で0.87倍、
▽宮崎県で0.77倍、
▽鹿児島県で0.92倍、
▽沖縄県で0.91倍と
横ばいから減少となっています。

その一方で、
▽島根県で1.12倍、
2月12日から重点措置が適用されたばかりの
▽高知県で1.14倍と
増加しているほか、富山県や奈良県など、重点措置が適用されていない地域でも増加しているところがあります。

現在の感染状況を、人口10万当たりの直近1週間の感染者数でみると
▽大阪府が最も多く942.63人、
次いで
▽東京都が758.39人、
▽兵庫県が628.44人、
▽京都府が591.91人、
▽奈良県が576.76人、
▽神奈川県が573.50人
などとなっていて、全国では464.39人となっています。