厚生労働省の新型コロナ専門家会合
「感染増加速度鈍化しつつも 今後も拡大続く」

2022年2月3日

2月2日、新型コロナウイルス対策について助言する厚生労働省の専門家会合が開かれ、感染は一部の地域で減少傾向や上げ止まりになっているものの、今後も増加速度は鈍化しつつも感染拡大が続くと指摘しました。そのうえで、高齢者などへのワクチンの追加接種をさらに加速化することや、不織布マスクの正しい着用や換気など、基本的な感染対策を徹底するよう改めて呼びかけました。

専門家会合は感染者の急増について、感染の場が家庭や職場、学校、医療機関、介護施設などに移り、拡大しているとしたうえで、感染状況について、一部の地域で減少傾向や上げ止まりになっているものの、検査での陽性率の推移などから、全国で「今後も増加速度は鈍化しつつも、拡大が続くと考えられる」と分析しました。

年代別にみると全国では20代の感染が減少する一方、10歳未満が増加しているとしています。

ただ、先に感染が拡大した沖縄県では全体では減少傾向になっているものの、70代で増加が続いていて、入院するケースや介護施設での感染者も増加していると指摘し、今後、他の地域でも同様の傾向が見られる可能性があるとしています。

また感染が高齢者に広がって重症者が増加する可能性があり、さらに救急搬送が困難なケースは新型コロナ以外でも増え、去年夏の感染の第5波を上回るなど、特に救急医療に大きな負荷がかかっていると指摘しました。

一方、検査や診断について専門家会合は、感染が急拡大している地域でひっ迫し、公表データと実態が異なることが懸念されるため、重点化を実施すべきだとしています。

そして、感染に不安を感じる人を対象にした無料の検査については、検査需要の急増と検査能力に注意しながら、優先度の高い検査が確実にできる体制を確保することが必要だとしています。

また、オミクロン株の特性を踏まえ、感染拡大を防止しつつ、社会経済活動を維持するため、感染者の療養期間や濃厚接触者の待機期間については引き続き、適切に見直していくことが求められるとしています。

専門家会合は高齢者などへのワクチンの追加接種をさらに加速化することや、高齢者以外にも接種の前倒しを行うこと、それに1つの密でも避け、外出の際には混雑した場所や感染リスクの高い場面を避けるほか、不織布マスクの正しい着用や手指の消毒、換気など、改めて、基本的な感染対策を徹底するよう呼びかけました。

脇田隆字座長「高齢者に追加接種加速が非常に重要」

厚生労働省の専門家会合の脇田隆字座長は、新型コロナウイルスの今後の感染状況について、感染の傾向を示す「実行再生産数」という数値が各地で徐々に低下してきているとしたうえで「実行再生産数が継続的に1を下回れば感染は減少傾向となるが、まだ、1を超えている状況なのでしばらくは感染が続くのではないかという議論があった。ただ、今の感染状況がいつまでも続く訳ではない。沖縄県の状況を見ると、若年層を中心とした飲食の場面での爆発的な感染は収まりつつあるが、その後、高齢者や子どもで感染が継続している。去年の『第5波』の際にはワクチンの効果で高齢者に広がらず、流行が急速に収まったが、今回はブースター接種が進んでいない。高齢者に追加のワクチン接種を加速して進めていくことが非常に重要だ」と指摘しました。

また、オミクロン株のうち、国内で主流となっているのとは異なる「BA.2」と呼ばれるウイルスについては、「『BA.2』は海外ではかなり割合が増えていて、日本でも少数ではあるが、検出されているということで監視が必要だ。現在は、遺伝子解析をしないと区別できないが、PCR検査で検出できるようにしたり、遺伝子解析の件数を増やしたりするなど技術的な議論も必要だ。しばらくは動向を見ていく必要がある」と話していました。