厚生労働省の新型コロナ専門家会合
オミクロン株「感染拡大懸念」で検査強化を

2021年12月8日

新型コロナウイルス対策について助言する厚生労働省の専門家会合が開かれ、オミクロン株について「感染の拡大が懸念されている」としたうえで、海外への渡航歴がある感染者に対する詳しい遺伝子検査などの強化が必要だと強調しました。

また、直近1週間の感染者数が前の週に比べて増加しているとして「下げ止まりが懸念される」と指摘しました。

専門家会合は、オミクロン株についてアメリカやヨーロッパなどでも確認されていて、感染力の強さのほか、ワクチンや治療薬の効果への影響が懸念されているほか、感染した場合の重症度についても十分な知見が得られておらずWHO=世界保健機関や各国からの情報の収集や分析が必要だとしています。

そして、日本でも検疫で確認されたことから、水際でオミクロン株の対策を重点的に行うことに加えて、国内でも新型コロナウイルスの感染が確認されたすべての人に対して変異ウイルスかどうか調べるPCR検査を行うことや、特に海外への渡航歴がある感染者について詳しい遺伝子解析を行うことなどが必要だと指摘しました。

また、新型コロナの新規感染者数が2020年の夏以降で最も低い水準が続く一方、直近1週間の感染者数は前の週と比べて1.11倍と増加傾向となっていて、事業所や施設などでのクラスターや、感染経路が不明のケースで感染者が一時的に増加している地域もあり「下げ止まりが懸念される」としています。

今後は年末に向けて気温の低下で屋内での活動が増えるほか、忘年会やクリスマス、正月休みなどで、飲食や人との接触の機会が増えることが想定されるとして、今後の感染の動向に注意が必要だと指摘しました。

そのうえで専門家会合は、会食の際も飲食時以外はマスクを着けることや、混雑した場所など感染リスクの高い場を避けることが必要だと呼びかけているほか、発熱などの症状がある場合は帰省や旅行など県をまたぐ移動を控え、少しでも症状がある場合には積極的に医療機関を受診して検査につなげることが重要だとしています。

さらに、オミクロン株であっても、ワクチンを接種した人を含めてマスクの正しい着用、手指の消毒、手洗い、密を避けること、それに換気などが推奨されているとして引き続き、対策を徹底するよう呼びかけました。

脇田座長「重症度はさらに分析する必要」

厚生労働省の専門家会合のあと開かれた記者会見で脇田隆字座長は、オミクロン株について「南アフリカのデータを見るとデルタ株をりょうがして感染者が増えている。ウイルスそのものの感染力だけなく、免疫を逃避する力もあると考えられ、その2つの要素を分析することが重要だ。オミクロン株の感染者は軽症が多いと報告されているが、ワクチン接種が済んでいたり過去に感染したりした影響もあると見られ、本当の重症度はさらに分析する必要がある。合わせてワクチン接種によるオミクロン株への感染予防や発症予防、それに重症化予防の効果がどの程度あるのか分析が必要だ」と話しました。

そのうえで、国内での今後の対応について「現在日本では検疫による水際対策で時間を稼いでいるが、これまでの経験からもいずれ国内でオミクロン株の感染者が出ると想定される。その場合に備えオミクロン株に対する検査体制や診断や治療体制、接触者を含めた対応について準備を進める必要がある」と指摘しました。