厚生労働省の新型コロナ専門家会合
厚労省専門家会合
「オミクロン株感染拡大懸念」水際対策強化を

2021年12月1日

新型コロナウイルス対策について助言する厚生労働省の専門家会合が開かれ、新たな変異ウイルス オミクロン株について「感染の拡大が懸念されている」として、水際対策と国内の検査体制の強化を図るとともに、ウイルスの動向を監視することが必要だと指摘しました。

専門家会合は、オミクロン株についてヨーロッパ各国などでも検出され「感染拡大が懸念されている」としたうえで、日本国内でも検疫で確認されたことから、水際対策や国内の検査、監視体制の強化を図るとともに、WHO=世界保健機関や各国からの情報の収集や分析を行って動向を監視し、適切に対応することが必要だと指摘しました。

現在の全国の感染状況については、新規感染者数が2020年の夏以降で最も低い水準が続き、療養者数や重症者数、それに亡くなる人の数も減少が続いている一方、感染はいまだに継続していて、一部の地域では飲食店や施設などでクラスターが発生しているほか、都市部を中心に夜間の人出が増加しているとしています。

今後は、年末に向けて気温の低下で屋内での活動が増え、忘年会やクリスマス、正月休みなどで人との接触の機会が増えることが想定されるとして、今後の感染の動向に注意が必要だと指摘しています。

特に、2020年の年末から年始にかけて感染が急拡大したことを踏まえ、発熱などの症状がある場合は帰省や旅行など県をまたぐ移動を控え、少しでも症状がある場合には積極的に医療機関を受診して検査につなげることが重要だとしています。

これに加え、専門家会合はワクチンの接種率をさらに高め、12月1日から始まった追加接種を着実に進めることや、接種した人を含めてマスクの正しい着用、手指の消毒、手洗い、1つの『密』でも避ける『ゼロ密』、それに換気など基本的な対策を引き続き、徹底するよう呼びかけました。

新規感染者 2020年の夏以降で最も少ない水準続く

厚生労働省の専門家会合で示された資料によりますと、11月30日までの1週間の新規感染者数は前の週と比べて全国では0.75倍と減少し、2020年の夏以降で最も少ない水準が続いています。

15の県では1週間で感染者が1人も報告されませんでした。

首都圏の1都3県では
▽東京都で0.86倍、
▽千葉県で0.73倍、
▽神奈川県で0.61倍と減少し、
▽埼玉県では1.04倍と横ばいになっています。

関西の2府1県では、
▽大阪府で0.71倍、
▽京都府で0.33倍と減少し、
▽兵庫県で1.07倍と横ばいになっています。

中京圏では、
▽愛知県で0.88倍、
▽三重県で1.00倍でしたが、
▽岐阜県では1.71倍と感染者数は少ないもののやや増加しています。

このほかの地域では、
▽北海道は0.54倍、
▽福岡県は0.47倍だった一方、
▽沖縄県は1.71倍、
▽群馬県は1.75倍、
▽広島県は2.20倍と、
感染者数自体は少ないもののやや増加している地域もあります。

また、15の県では11月30日までの1週間で感染者の報告がありませんでした。

現在の感染状況を人口10万当たりの直近1週間の感染者数でみると、
▽最も多い群馬県で1.80人、
▽北海道で1.39人、
▽岡山県で1.27人などとなっていて、
▽全国では0.54人となっています。

脇田座長「オミクロン株 しっかり情報収集していきたい」

厚生労働省の専門家会合のあと記者会見に出席した脇田隆字座長は、オミクロン株が今後の感染の再拡大に影響するかどうかについて「オミクロン株にかかわらず、これまでも年末年始にかけて人と人との接触が増えたり、気温が下がって屋内での活動が増えたりすれば感染が再び拡大する可能性が高いという議論をしてきた。オミクロン株についてはいまは検疫で見つかっている状況だが、今後、国内でも見つかる可能性は否定できず、感染状況についてしっかりと情報収集していきたい」と話していました。

そのうえで「これまでもアルファ株やデルタ株は検疫で検出されて、その後、市中感染になっていった。オミクロン株についても国内の感染状況をしっかり見ていく必要がある。いまは国内の感染者数が少ない状況なのでゲノム解析などできるかぎりの分析を行いたい。今後、オミクロン株に対するPCR検査が出てくればより迅速にできるようになると考えている」と話していました。

後藤厚労相 “感染者と同じ飛行機の乗客 宿泊療養施設へ”

11月30日に日本国内で初めて「オミクロン株」の感染者が確認されたことを受けて、後藤厚生労働大臣は専門家会合で「本日、濃厚接触者について、各自治体で宿泊療養施設にできるかぎり入ってもらうよう連絡した」と述べ、感染者と同じ飛行機で入国した乗客70人を宿泊療養施設にとどめるよう関係自治体に要請したことを明らかにしました。

また後藤大臣は、新型コロナウイルスワクチンの3回目接種について「クラスター発生による感染拡大防止のため8か月から前倒しして接種したいとの相談があり、1件、6か月後の接種を本日認めた」と述べ、原則8か月以上とする2回目との間隔の短縮を例外として認めたことも明らかにしました。