厚生労働省の新型コロナ専門家会合
専門家会合“東京など人出増続き
感染の再拡大も 対策継続を”

2021年6月16日

緊急事態宣言の期限が6月20日に迫る中、新型コロナウイルス対策について助言する厚生労働省の専門家会合が開かれました。全国の感染状況について「減少傾向となり、重症者数や亡くなる人の数も減少している」とした一方で、沖縄県では依然感染者数が非常に多いほか、東京都などでは1か月以上人出が増加し続けていて、若い世代から感染が再拡大することが強く懸念されるとして、対策を継続すべきだと強調しました。

専門家会合は、全国の感染状況について感染が拡大していた地域では減少傾向となり、重症者数や亡くなる人の数が減少し、全体的に医療体制への負荷の低下も見られているとして緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の効果が着実に現れていると評価しました。

その一方で、イギリスで確認された変異ウイルス「アルファ株」やインドで確認された変異ウイルス「デルタ株」の影響で、これまでより速く感染拡大が進むことが想定され、すでに人出が増加傾向に転じている地域があり、感染の再拡大が起きる可能性があるとして引き続き、警戒するよう呼びかけました。

緊急事態宣言が出されている地域のうち、感染や医療のひっ迫状況が最も深刻な沖縄県では、感染者数は減少傾向で自宅療養者なども減少しているものの、病床使用率は高水準で、直近1週間の10万人当たりの感染者数も依然、60人を超える非常に高い水準が続き、今後の傾向を注視する必要があるとしています。

北海道については、感染者数の減少が続いているものの、特に札幌市で感染者数が多く、病床使用率も高い状況にあるうえ夜間の人出が増加する傾向に転じており、注意が必要だとしています。

首都圏の東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県については、関西と比べると感染者数が多いうえに減少のスピードも遅く、特に千葉県や神奈川県では横ばいに近くなっているとしました。

特に、東京都では人出が夜間、日中ともに5週連続で増加して緊急事態宣言が出される前の水準に戻りつつあり、このままの傾向が続くと感染が再拡大する可能性が強く懸念されるとして警戒を呼びかけています。

また、インドで確認された「デルタ株」について、各地で報告される数が増加しつつあるほか、海外では置き換わりが進んでいるという報告もあり、イギリスで確認され日本国内でも主流になっている「アルファ株」より、感染力が高い可能性が示唆されていることから、改めて地域で行う検査を強化し、感染経路を調べる調査を進める必要があると指摘しています。

さらに専門家会合は、ワクチンの接種が進み、高齢者の重症化が抑えられると期待される一方で、感染の再拡大が起きて感染者数の急速な増加が続けば、ワクチンを接種していない人や比較的若い世代の重症者数が増加し、医療のひっ迫につながる可能性もあるため、今後も対策を継続すべきだと強調しました。

脇田座長「リバウンド かなり強く懸念」

専門家会合のあとの記者会見で脇田隆字座長は、現在の感染状況について「感染者数は全国的には減少傾向が続いているが、人流が増加傾向に転じているところもあり、リバウンドに関してはかなり強く懸念している。地域的には、北海道は全体でみればかなり改善しているが、札幌市やその周辺の地域でまだ感染者が出ていて、対策の継続が求められる。また、沖縄県についても減少傾向が続いているといっても、まだ大阪などでのピーク時と同等レベルなので対策を緩めるのは早いと考えている」と話しました。

また、感染の再拡大の可能性について脇田座長は「東京では5週連続で人出が増えている。すでに20代では感染の再拡大がみられるというデータもあり、高齢者に感染を広げないようにすることが重要だという議論があった。これまでの緊急事態宣言の解除後にすぐに人流が増え、リバウンドにつながったという経験も踏まえて、現在出ている緊急事態宣言を解除をする場合は、段階的に対策を緩和していくという考え方で進めるべきだ」と話しました。