厚生労働省の新型コロナ専門家会合
厚労省 専門家会合
「感染者の減少スピード鈍化
下げ止まりも」

2021年2月24日

新型コロナウイルス対策について助言を行う厚生労働省の専門家会合が開かれ、現在の感染状況について2月中旬以降、感染者の減少のスピードが鈍化していて、下げ止まる可能性があると分析しました。

各地の知事が、緊急事態宣言の期限を前倒しして解除するよう要請していますが、歓送迎会や花見などの季節を迎える中、解除されても感染が再拡大しないよう、引き続き飲食の場面などを通じた感染を防ぐ対策が必要だとしています。

2月24日に開かれた会合では、緊急事態宣言の対象になっている10の都府県の状況を中心に分析が行われました。

報告されたデータを見ると、新規感染者数は2月23日までの1週間の平均を前の週と比べると、全国では0.85倍に、前倒しでの緊急事態宣言解除を要請している大阪府は0.82倍、兵庫県は0.72倍、京都府は0.65倍、愛知県は0.70倍、福岡県は0.76倍となっています。

また、岐阜県は0.53倍と、緊急事態宣言が出されている地域で減少幅が最も大きくなっています。

一方で首都圏では、東京都で0.86倍、神奈川県で0.88倍、埼玉県で0.92倍と減少していますが、千葉県では1.03倍と増加に転じています。

また、感染者の集団=クラスターの発生は、医療機関や福祉施設、家庭内などが中心だが、地域によって飲食店でも引き続き発生し、各地で若年層の感染者の下げ止まりの傾向も見られるとしています。

こうしたことから、専門家会合は感染状況について「新規感染者の数は減少が継続しているが、2月中旬以降、減少スピードが鈍化していて下げ止まる可能性もある」と分析し、注意が必要だとしています。

また、入院者や重症者、そして亡くなる人の数についても減少が継続し、医療機関や保健所の負荷は軽減してきたものの、業務への影響はすぐには解消されていないとしています。

そして、専門家会合は、緊急事態宣言が解除されても、ステージ2の水準以下を目指すことが必要で、感染が再拡大しないよう歓送迎会や花見などの季節を迎える中で宴会を控えてもらうことなど、引き続き、飲食の場面などを通じた感染を防ぐ対策や、感染源を見つけ出すための積極的な検査や疫学調査の強化が求められるとしています。

このほか、専門家会合は感染力が高いとされる変異ウイルスや、抗体の攻撃から逃れやすくなっていると考えられる変異ウイルスについて、国内での感染によるとみられるケースが継続して起きているとして、民間の検査機関や大学などとも連携して検査体制を早急に強化して拡大を防ぐことが必要だと指摘しています。

専門家会合 脇田隆字座長「再び感染拡大しないか注意が必要」

専門家会合の脇田隆字座長は、会合のあとの記者会見で「医療現場の負荷は確実に減ってはいるものの、東京都を中心に引き続き病床使用率は高く、医療体制が厳しい状態が続いている。千葉県など一部ではここ数日、感染者数が増加に転じる傾向も見られるため、再び感染が拡大しないか注意が必要だ。今後、緊急事態宣言の解除などで気が緩み、飲食の場などで再び感染が広がらないよう、積極的なクラスター対策や検査体制を再度強化するなど感染対策を進めることが重要だ」と述べました。

また、変異ウイルスについて「市中に感染がすごく広がっている状況ではないと考えているが、今後影響が大きくなってくることが考えられるので、国内の監視体制の強化や、早期発見、感染力や病原性を評価・分析する体制を整える必要がある」と話しています。