厚生労働省の新型コロナ専門家会合
新型コロナ 全国感染状況
「高止まりした後増加に」
専門家会合

2020年12月16日

政府が「勝負の3週間」として新型コロナウイルスの感染拡大の対策を短期間に集中的に行うと呼びかけてから、3週間になる中、対策について厚生労働省に助言する専門家の会合が開かれ、全国の感染状況について「一度高止まりした後に、直近で増加に転じている」と分析しました。

感染が拡大している地域で状況が改善しない場合には、酒を提供する飲食店などへの営業時間のさらなる短縮要請など、対策の強化を検討する必要があるとしています。

会合では、最新の感染状況について議論が行われ、全国の感染状況について「一度高止まりした後に、直近で増加に転じていて、過去最多の水準が続いている」と分析しました。

そして、「勝負の3週間」に強い対策が呼びかけられてきた首都圏や関西圏、中部圏では感染者数の明らかな減少は見られないとしたほか、宮城県や群馬県、広島県、高知県、福岡県、熊本県、大分県など、これまで大きな感染が見られなかった地域でも新たに拡大が見られるとして、「全国的な感染拡大が懸念される」と指摘しています。

その上で、60歳以上の感染者の割合も上昇してきていて、今後も重症者の増加はしばらく続くおそれがあり、死亡者がさらに増えることも懸念されるとしています。

こうした中で、対応を続けている保健所や医療機関の職員は相当に疲弊していて、予定された手術や救急の受け入れの制限など通常の医療への影響が見られるほか、感染が発生した際に迅速に対応するのが困難な状況が懸念されるとしています。

そして、今後求められる対策については、特に地方で忘年会やパーティーなどの会食や接待を伴う飲食店に関連したクラスターが増加し、大都市圏でも飲食店などが感染の継続に関係している可能性があるとして、感染が拡大している地域で状況が改善しない場合には、酒を提供する飲食店などへの営業時間のさらなる短縮要請や短縮を要請する地域の拡大など、対策の強化を検討する必要があるとしています。

さらに、年末年始に感染が増加すると、医療体制全体の危機を招く可能性もあるとして、「新年会や忘年会、帰省などで感染拡大を起こさず、静かな年末年始を過ごしてもらうことが必要だ」としています。

脇田座長 「今後減少に向かわなければ対策の強化が必要」

脇田隆字座長は、「北海道では対策が早く打たれたこともあって減少の傾向が見られるようになってきたが、東京都、大阪府、愛知県については対策の効果を評価することはいまの時点では難しい。年末にかけて医療体制がぜい弱になる中、感染者が増加すると、さらにひっ迫するので、感染者数を減少に向かわせる必要がある。今後、減少方向に向かわなければ対策の強化が必要な状況になる」と話しています。