厚生労働省の新型コロナ専門家会合
「通常助けられる命が助けられなくなる」
専門家会合で危機感

2020年11月25日

新型コロナウイルス対策について厚生労働省に助言する専門家の会合が開かれ、各地で入院者数や重症者数の増加が続いているとして、「このままの状況が続けば、通常では助けられる命が助けられなくなる」と強い危機感を示しました。

そして北海道の札幌市や旭川市など医療の提供が困難になってきている地域では、接触機会を減らすなど、さらに強い対策が求められるとしています。

会合では最新の感染状況について議論が行われ、前回、11月19日に続いて、「特に北海道や首都圏、関西圏、中部圏を中心に顕著な増加が見られる」と評価しました。

感染の状況を見る指標となる、1人の感染者から何人に感染が広がるかを示す「実効再生産数」は、
▽流行が拡大に向かうとされる「1」を超える水準が全国で続き、
▽大阪府や京都府、兵庫県では「2」を超えて感染拡大のペースが速くなっているほか、
▽北海道や東京都、愛知県などでも「1」を超え、感染拡大に向かっているとしています。

専門家会合は、感染拡大の要因として
▽基本的な感染対策がしっかり行われていないことや
▽人の移動の増加、
▽気温の低下による影響などが考えられるとしています。

この中で、入院者数や重症者数も増加が続き、予定された手術や救急の受け入れの制限などをせざるを得なくなるケースも見られているとして、「各地で新型コロナの診療と通常の医療との両立が困難になり始めていて、このままの状況が続けば、通常では助けられる命が助けられなくなる」という表現で強い危機感を示しました。

そのうえで政府や自治体には、11月20日に分科会が提言した
▽「Go Toキャンペーン」の運用の見直しや、
▽営業時間の短縮、
▽移動の自粛要請などの対策を速やかに実行することが求められるとしています。

さらに北海道の札幌市や旭川市など医療の提供が困難になってきている地域では、接触機会を減らすなど、さらに強い対策が求められるとしています。

脇田隆字座長は「この3連休も含めて感染状況を分析しているが、改善がみられていない。会合では、厳しい状況の医療現場から悲鳴のような声が聞こえているという報告もあった。重症者は治療に時間がかかるので、一度増えるとなかなか減らずに医療現場の負担が続く。医療提供が困難になってきている地域では、さらに強い対策を求めたい」と述べました。