厚生労働省の新型コロナ専門家会合
新型コロナ 専門家会合
「感染者数減少傾向も死者数過去最多」

2023年1月17日

新型コロナウイルス対策について助言する厚生労働省の専門家会合が開かれ、新規感染者数は減少傾向に転じている一方、亡くなる人の数や救急搬送が困難なケースが過去最多となる状況が続き、引き続き注意が必要だと指摘しました。高齢者など重症化リスクの高い人に適切な医療を提供するための体制の強化や重点化、それに感染対策の継続が必要だとしています。

専門家会合は、現在の感染状況について、全国では減少傾向に転じ、今後も地域差や不確実性はあるものの、全国的には横ばいか減少傾向になることが見込まれるとしています。

ただ、年代別に見ると、60代以上で減少幅が小さく、一部の地域では増加もみられているとしています。

亡くなった人の数は過去最多を超える状況が続き、高齢者施設や医療機関での集団感染が多く見られ、感染者のうち、80代以上の高齢者が占める割合が2022年夏の第7波のときより増える傾向が続いていて、引き続き注意が必要だと指摘しました。

病床使用率は多くの地域で5割を超えて7割を超える地域もみられるほか、救急搬送が困難なケースも第7波のピークを超えて増加傾向が続いており、救急医療体制の確保に注意が必要だとしています。

さらに、より免疫を逃れやすいとされるオミクロン株の「BQ.1」系統の割合が国内でも増加しているほか、アメリカを中心に報告され国内でも検出された「XBB.1.5」など変異ウイルスの動向を監視し続けることが必要としています。

また、全国で流行期に入った季節性インフルエンザについて、今後も増加が続くと見込まれていて、新型コロナとインフルエンザの同時流行に注意が必要としています。

専門家会合は、高齢者や重症化リスクの高い人に適切な医療を提供するための医療体制の強化や重点化が必要だと指摘したうえで、オミクロン株対応のワクチンの接種を呼びかけるとともに、自分で検査できる抗原検査キットを準備して感染に備えるよう求めています。

そして、飲食はできるだけ少人数で、飲食時以外はマスクを着用すること、換気の徹底、症状があるときは外出を控えるといった、基本的な感染対策の徹底を改めて呼びかけました。

全国の新規感染者数 前週の0.75倍

厚生労働省の専門家会合で示された資料によりますと、1月16日までの1週間の新規感染者数は、全国では前の週と比べて0.75倍と、大きく増加していた先週から一転し、すべての都道府県で前の週より感染者数が減っています。

首都圏の1都3県では
▽東京都が0.69倍、
▽神奈川県が0.77倍、
▽埼玉県が0.71倍、
▽千葉県が0.75倍と減少しています。

関西では
▽大阪府が0.74倍、
▽兵庫県が0.77倍、
▽京都府が0.79倍、

東海でも
▽愛知県と三重県が0.83倍、
▽岐阜県が0.76倍などと、すべての都道府県で前の週と比べて減少しています。

人口10万当たりの直近1週間の感染者数は

▽宮崎県が1361.57人と全国で最も多く、
次いで
▽佐賀県が1200.83人、
▽鳥取県が1184.84人、
▽鹿児島県が1122.36人、
▽熊本県が1112.98人などと12の県で1000人を超えていて
▽東京都は514.90人、
▽大阪府は673.07人、
そして
▽全国では712.39人となっています。