厚生労働省の新型コロナ専門家会合
新型コロナ 専門家会合
「今月以降増加傾向強まる」対策徹底を

2020年11月11日

新型コロナウイルス対策について厚生労働省に助言する専門家の会合が開かれ、全国の感染状況について「今月以降、増加傾向が強まっている」と評価しました。このまま放置すればさらなる急速な感染拡大に至る可能性があるとして、いままでより踏み込んだ感染者の集団=クラスターの対策や、基本的な感染予防対策の徹底など一丸となって対策を進める必要があるとしています。

会合では最新の感染状況について議論が行われ、全国の感染状況について、「新規感染者は先月から増加傾向となり、今月以降増加傾向が強まっている」と評価しました。

1人の感染者から何人に感染が広がるかを示す「実効再生産数」は、全国では、流行が拡大に向かうとされる「1」をやや上回っているほか、北海道や大阪、愛知ではおおむね1を超える水準が続いて感染者の増加が見られ、東京でも1を挟んで前後しています。

専門家会合はクラスターの発生場所が地方都市の歓楽街に加え、会食や職場、外国人コミュニティー、医療機関や福祉施設などと多様化していて、地域への感染の広がりが見られるとしています。

現時点では、受け入れ可能な病床数に占める入院患者や重症者の割合は、全国では10%前後と医療体制がひっ迫している状態ではありませんが、入院者数や重症者数は先月末から上昇に転じていて、受け入れ可能な病床数に占める入院患者の割合は、
▽東京で26.1%、▽大阪で26.6%
重症者の割合は、
▽東京で25.6%、▽大阪で14.1%などと徐々に上がってきています。

専門家会合は、このまま放置すればさらなる急速な感染拡大に至る可能性があるとして、地域ごとにクラスター発生の要因を分析していままでよりも踏み込んだ対策を取ることや、基本的な感染予防対策の徹底など、一般の人々や国などが一丸となって対策を進める必要があるとしています。

脇田隆字座長は「今の状況が第3波かどうかはにわかには判断できないが、複数の地域で感染の増加が見られるのは確かなので、早急な対策を打たないといけない」と述べました。

官房長官「最大限の警戒感を持ち対処」

加藤官房長官は、11日午後の記者会見で、「全国の新規感染者数が1000人を超える日もたびたびあり、東京都だけでなく、北海道、大阪府、愛知県などで100人を超える感染者が確認され、最大限の警戒感を持って対処している」と述べました。

そのうえで、「特に感染が増加している地域では、大規模で集中的な検査の実施やクラスター対策の専門家の派遣、保健師の広域的な派遣調整など自治体の取り組みをしっかり支援したい。専門家の緊急提言も踏まえて、今までよりも踏み込んだクラスター対応を実施し、情報発信の強化と感染防止策を確実に実践したい」と述べました。

西村経済再生相「基本的な感染防止策徹底を」

新型コロナウイルスの感染者が増えていることについて、西村経済再生担当大臣は、現段階では、緊急事態宣言を出す状況ではないとする一方、爆発的な感染拡大につながらないよう、クラスター対策などを強化する考えを強調しました。

新型コロナウイルスの感染状況について、西村経済再生担当大臣は、記者会見で、北海道、大阪、愛知などで、増加傾向が顕著になっていると指摘しました。

そのうえで、「専門家の分科会からは、目安として爆発的な感染拡大への備えが必要な『ステージ4』に入る場合に緊急事態宣言も視野に入ってくるという提言をいただいているが、今の段階では、そうした状況ではないと判断している」と述べました。

一方で、西村大臣は、「感染者が急増し『ステージ3』にかかっている地域も出てきているので要警戒だ。爆発的な感染拡大につながらないよう、クラスター対策などを強化し、国民にも基本的な感染防止策を徹底してもらいながら、減少傾向に転じさせたい」と述べました。