厚生労働省の新型コロナ専門家会合
専門家会合「感染者数減少もクラスター要警戒」新型コロナ

2020年9月10日

新型コロナウイルス対策について、厚生労働省に助言する専門家の会合が開かれ、新たな感染者数は全国的に減少しているものの、地域によっては、大規模なクラスターの発生などによって増加に転じかねないとして、引き続き、警戒する必要があると評価しました。

会合では、現在の感染状況について最新のデータをもとに専門家が分析を行いました。

このうち、1人の感染者から何人に感染が広がるかを示す「実効再生産数」は、8月下旬の段階で、全国のほとんどの地域で流行が収束に向かうとされる「1」を下回るなど、7月末をピークとして、人の地域間の移動がみられたお盆の期間がすぎても、新たな感染者数は減少していると評価しました。

また、重症者については、8月下旬以降は減少傾向に転じているとしています。

その一方で、宮城県や三重県などではクラスターが発生して感染の拡大が見られるほか、東京都や大阪府でも実効再生産数が「1」に近い値になっており、大規模なクラスターの発生などによって感染者数が増加に転じかねないとしています。

こうしたことから、接待を伴う飲食店などでの対策を進めるとともに、これまでと異なる場が感染拡大のきっかけになる可能性もあるため、諸外国の例も参考に対策を取る体制を整備することが求められるとしました。

このほか会合では、新型コロナウイルスに感染して国内の医療機関に入院したおよそ6100人の患者の経過について、国際医療研究センターが解析したデータが報告されました。

それによりますと、入院時に重症だった場合、6月5日以前に入院した患者では19.4%の人が亡くなっていましたが、6月6日以降では亡くなったのは10.1%で、感染の第2波では、若い世代だけでなく高齢者でも死亡する割合が下がっていたということです。

脇田隆字座長は「血栓を防いだり炎症を和らげたりする薬を使った治療が広がっているのが、死亡する割合が下がった要因の一つと考えられる。治療は進歩しているが、今後も抗ウイルス薬の研究開発をさらに進める必要がある」と話しています。