残留派 離脱派 どんな人?

各社の世論調査では、最終盤まで、残留、離脱、双方の支持がきっ抗する大接戦となっています。残留派、離脱派、それぞれどのような人たちなのでしょうか。

残留派とは

政界では、与党・保守党のキャメロン首相をはじめ、最大野党・労働党の多くの議員、それに、第3党のスコットランド民族党の大半の議員がEU残留を支持しています。

経済界では、海外との取り引きの多い大手企業や大手銀行が残留を支持しています。また、EUの助成金を得たり、共同研究や人事交流の盛んな大学や研究機関、研究者、学生の多くも残留派です。

これまでの世論調査では、若い人ほど残留を支持する傾向にあり、地域では、スコットランドやウェールズ、ロンドンで残留派が多くなっています。

残留派は、主に経済や安全保障について残留の利点を挙げていて、キャメロン首相は、EUに残留したほうがイギリス経済が強くなり、テロなどの脅威に対処でき、イギリスの安全につながるなどと主張しています。反対に、EUを離脱すれば、経済に大打撃となるのをはじめ、スコットランドの独立問題が再燃しかねないほか、EUの後押しを受けた北アイルランドの和平にも悪影響がおよぶと指摘しています。

また、移民の問題については、移民は社会保障などの受給を受けるよりも多くの税金を払っているうえ、イギリス経済の発展に必要な労働力として重要だとして、移民が社会保障の負担になっているという離脱派の主張に反論しています。

残留派の代表格 キャメロン首相

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イギリスのキャメロン首相は、EUへの残留を訴える残留派の代表的な人物です。2001年に下院議員に初めて当選したあと、4年後、39歳の若さで保守党の党首に就任し、支持層を広げようと教育や福祉を重視する中道寄りの政策を取りました。

2010年には、13年ぶりに労働党から政権を奪還して首相に就任し、金融危機の影響で低迷していた景気の回復に努めるとともに財政赤字の削減に取り組んできました。しかし、その政策は格差の拡大を招いたと批判されていて、さらに、ユーロ危機をきっかけにEUに対する懐疑論が高まり、離脱を訴えるイギリス独立党が保守党の支持層を切り崩す勢いをみせるようになりました。このため、キャメロン首相は、去年5月に行われた総選挙で、みずからの保守党が勝利した場合、EUからの離脱の賛否を問う国民投票を行うと公約したのです。

残留を強く求めるキャメロン首相は、離脱派の不満を解消するため、イギリスがEUの中でも特別な地位を確保できるようにしようと交渉し、EUなどが設けた規制やルールに強制されないことや、EUが進めている政治や経済の統合の対象から外れること、それに、移民に給付する社会保障費を制限することなどを盛り込んだ改革案の合意を取り付けました。キャメロン首相は、そのうえで、離脱した場合の経済への影響を指摘していて、「史上初めてみずからの手で招く、景気後退になる」として残留への支持を訴えています。

離脱派とは

政界では、与党・保守党のジョンソン下院議員や、キャメロン政権のゴーブ司法相、右派政党、イギリス独立党のファラージュ党首などが中心となっています。

経済界では、国内向けの取り引きを行う中小企業の経営者の多くが離脱派です。また、漁業者の多くも、EUに漁獲量を制限されていることに不満を抱えているため、離脱を支持しているとされています。

これまでの世論調査では、イギリスの歴史や伝統を重んじる高齢世代の多くが離脱を支持しているほか、地域では、移民が比較的多く住む中部は、離脱派が多くなっています。

離脱派は、主に移民政策やEUへの拠出金、国の主権についてEUからの離脱の利点を主張しています。イギリスへの移民は、この数年は毎年20万人近くがEU加盟国から流入して、国民の間で不満や懸念が強まっています。離脱派は、移民の流入を管理するには、EUからの離脱しかないと訴えていて、移民の流入が制限できれば、国民の社会保障費の負担が減り、雇用環境が改善するとしています。

EUへの拠出金については、イギリスは毎週3億5000万ポンド(日本円で530億円余)に上る巨額の負担をしていると主張し、EUから離脱すれば、これをイギリスのための財源に充てられるとしています。さらに、主権の問題では、イギリスの法律の多くがEUに決められており、国の主権を取り戻すには、EUを離脱するしかないと訴えています。

離脱派の代表格 ジョンソン下院議員

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前のロンドン市長のボリス・ジョンソン下院議員は、EUからの離脱を訴える離脱派の中でも代表的な人物として知られています。ジョンソン議員はイギリスの有力紙・タイムズなどで活動したジャーナリストで、2001年に初めて下院議員に当選したあと2008年から、ロンドン市長を2期務めました。

与党・保守党の有力な政治家で、キャメロン首相の後継者の1人とされていますが、ことし2月、離脱への支持を表明して、離脱派を勢いづかせました。

ジョンソン議員が、離脱の最大の理由として挙げているのは、EUから数多くの規制を課せられていることです。経済の分野では、労働から環境対策に至るまでEUに細かく規制されていて、離脱したうえで、国益に沿う形でEUと貿易交渉を行えば、イギリスはさらに豊かになるはずだとしています。また、EU諸国からの移民の流入が雇用を奪い、さらに社会保障費を圧迫しているとしていて、離脱で、「移民の流入を管理する権限を取り戻す」と主張しています。

歯に衣を着せない発言などからイギリスでも最も有名な政治家の1人とされ、大きな影響力があると言われていますが、地元紙に対し、「ヒトラーの超大国への挑戦は失敗したが、EUは別の方法で同じことを試みている」と発言し、批判を浴びたこともあります。