
ペンシルベニア州(東部)
東部ペンシルベニア州は人口がおよそ1300万人と、全米で6番目に多い州で、20人の選挙人が割り当てられています。
ペンシルベニア州は、18世紀に当時のイギリスの支配から独立した13州の1つで、独立宣言が起草された最大の都市・フィラデルフィアはアメリカの歴史の原点の地とも言われています。かつて、鉄鋼や重工業が盛んだった地域「ラストベルト」の一部で、基幹産業である機械や電機、電子製品といった製造業に携わる白人の労働者が多いのが特徴です。

近年、民主党が地盤としてきましたが、今回の大統領選挙では民主党と共和党の支持がきっ抗する「注目州」として注目を集めています。
労働組合の影響力が強く、1992年の大統領選挙以降は、民主党の候補が勝利しています。しかし、自由貿易によってアメリカの製造業が落ち込み、雇用を失ったと感じている有権者もいます。また、フィラデルフィアは、経済格差が大きい地域としても知られ、有効な手だてを打てなかった既存の政治家に不満を抱く有権者も少なくありません。
このため、「アメリカ第一主義に基づいたよりよい貿易協定が必要だ」と訴える共和党のトランプ氏が、TPP=環太平洋パートナーシップ協定に懸念をもつ有権者や、既存の政治家に不満を持つ層へ支持を広げる可能性があるとみられています。
アメリカのメディアには、今回の選挙で、ペンシルベニア州が選挙結果を決定づける州の1つになる可能性を指摘するところもあります。このため、民主党のクリントン候補は、これまでの地盤を死守して民主党政権を維持するため、ことしの全国党大会をペンシルベニア州で開きました。
両候補とも、ペンシルベニア州を重要な州として位置づけて頻繁に現地を訪れて演説し、支持拡大を図っています。
