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第3回テレビ討論会(要旨)

トランプ氏 選挙結果受け入れ明言避ける

共和党のトランプ氏は、これまで選挙で不正行為が行われていると繰り返し主張し、選挙結果を受け入れない可能性があると指摘されています。

トランプ

トランプ

「今は何も考えていないが、そのときになったら判断する」

「メディアは不誠実で腐敗していて、有権者に偏見を抱かせている」

司会者

「アメリカでは選挙の敗者が敗北を認め、混乱なく権力の移行を行う伝統があるが、それを今、約束できないのか」

トランプ

トランプ

「そのときになったら答えると言っている」

クリントン

クリントン

「恐ろしいことだ。トランプ氏は自分の思うとおりにいかないとき、いつも不正が行われていると主張してきた。望ましい結果でなくても受け入れてきたのがアメリカの240年にわたる民主主義のやり方であり、トランプ氏はそれを侮辱している」

大統領の適性めぐり激しい応酬

共和党のトランプ氏が11年前に、女性を見下すような発言をしたり、別の女性が「突然、キスをされた」と訴えたりする報道が続いていることについてどう思うか司会者がトランプ氏に聞きました。

トランプ

トランプ

「これらの話はすべてうそだと証明されている。訴えている女性たちを知らないし、会ったこともない。女性たちは注目されたいか、クリントン氏の陣営が仕掛けたものだ。私は誰よりも女性に敬意を払っている。すべてでっち上げだ、クリントン氏による作り話の可能性がある」

「クリントン氏のメールの問題は作り話ではない。クリントン氏は、何度もうそを繰り返しているのに、アメリカ大統領選挙を戦っていいのだろうか。メール問題こそ議論しなければならない」

クリントン

クリントン

「トランプ氏は女性を軽視することで、自分を大きく見せようとしている。トランプ氏が女性に対して何を発言し、何をしたのか、今は、みんなが知っている。これこそがトランプ氏の正体だ」

「トランプ氏は、女性問題に限らず、アメリカ軍兵士である息子をイラクで亡くしたイスラム教徒の夫婦を攻撃したときなども決して謝罪せず、すぐに責任を否定する。集会で暴れるような人たちを称賛するトランプ氏の行動は、争いを生み危険だ」

関連する団体との関係は…

最後のテレビ討論会では、民主党のクリントン氏が国務長官在任中、関連する財団から依頼され財団の大口献金者と面会していたほか、クリントン氏の側近が献金者に仕事をあっせんするなど便宜を図っていた疑いが浮上したことについても取り上げられました。

クリントン

クリントン

「私が国務長官としてとったすべての行動は、この国の利益や価値観を守るためのものだ。それはすでに証明されていると思う」

「財団はとても高い評価を受けている。トランプ氏の関連する財団と比較して欲しい」

トランプ

トランプ

「(自身が関連する団体について、)献金された資金はすべてさまざまな慈善事業に使われている」

「(トランプ氏が抱える訴訟を解決するため、献金された資金を使ったのではないかとの司会者の追及に対して)そんなことはない」

イラクやシリアめぐり議論

戦闘が続くイラクやシリアなどに対する政策をめぐる議論では、今月17日に始まった、過激派組織IS=イスラミックステートが支配するイラク第2の都市モスルの奪還作戦について、司会者が、奪還が成功した場合、ISが再び戻って来ないようにアメリカ軍の部隊をイラクに派遣するか考えをただしました。

クリントン

クリントン

「占領のためにアメリカ軍をイラクに派遣することは支持しない。賢い選択ではなく、むしろ、ISを再び結集させることにつながる危険な行為だと思う」

トランプ

トランプ

「モスルのことを考えると悲しくなる。われわれは、かつてモスルをおさえていたのに、クリントン氏が部隊を引き上げさせたから失ってしまったんだ」

「モスルを取り戻すためにわれわれは戦闘を始めたが、その理由は、クリントン氏が大統領選挙に出ているからだ。自分を強く、よく見せようということだ」

クリントン

クリントン

「イラク政府とわれわれの同盟国が、私の選挙を助けるためにモスルを攻撃したとトランプ氏が考えていることに驚いた。しかし、これがトランプ氏の考え方だ。彼はいつも陰謀論を探している」

「(戦闘が激しさを増しているシリア北部の都市アレッポについて)交渉には時間がかかるだろうが、ロシアやシリアに対して、われわれの提案は地上に安全地帯を設けるものだという意図を明確に示していく」

トランプ

トランプ

「アレッポはひどい状態で、人道上の悪夢だ。アレッポでの出来事を見ると、とても悲しくなる。これも大部分がアサド政権と戦ったクリントン氏のせいだ。われわれは反政府勢力が誰かもわからずに多くの資金や物資を与えている。アサド政権が倒れたらよりひどい結果に終わるだろう」

対ロシアや同盟関係で対立

アメリカがロシアとどう向き合っていくのかや、日本など同盟国との今後の関係についても議論が交わされました。

クリントン

クリントン

「(内部告発サイト「ウィキリークス」がクリントン陣営のものだとするメールを次々に公開していることについて)ロシア政府がアメリカに対するスパイ行為を行っている。彼らは、アメリカの個人や組織のアカウントをハッキングし、ネット上で公開するためにウィキリークスに情報を提供している」

「果たして、トランプ氏はロシアによる行為を非難できるだろうか。この選挙でもプーチン大統領の助けを借りず、アメリカに対するスパイ行為は認めないと言えるだろうか」

トランプ

トランプ

「私は、プーチン大統領を知らない」

「ロシアとアメリカが関係を修復し、ともに過激派組織IS=イスラミックステートを追い込めば、うまくいくだろう」

「プーチン大統領は、クリントン氏に対してもオバマ大統領に対しても敬意を払っていない。シリアやミサイルなど、あらゆる問題でクリントン氏を出しぬいてきた」

「われわれは、日本やほかの国を防衛することで損失を被っている。アメリカは、サウジアラビアや日本、ドイツ、韓国などの国々を防衛する余裕はない」

クリントン

クリントン

「アメリカは各国との同盟によって平和を守ってきた。トランプ氏は同盟を破棄したいと思っているが、私はアジア、ヨーロッパ、中東などの同盟国と連携していく。これが世界をより安全にする唯一の道だ」

経済政策で論戦

経済政策についても論戦が交わされました。

クリントン

クリントン

「中間層が豊かになればアメリカも豊かになる。私の計画は、経済を成長させて中間層の家庭にもっとたくさんのチャンスを与えることを基盤としている」

「富裕層に公平な負担を支払わせる。企業が今よりも国に貢献するようにする」

トランプ

トランプ

「(クリントン氏の計画は大幅な増税につながるとしたうえで)われわれはビジネスへの課税を大幅に削減する。企業は人々を雇い始めるだろう」

「私の計画は貿易協定を再交渉することだ。現在よりももっと自由な貿易にする。今あるのはひどい協定だ。われわれの雇用は、クリントン氏の夫が署名した最悪の協定の1つであるNAFTA=北米自由貿易協定によって奪われている」

「クリントン氏はTPPに署名したがっている。クリントン氏はTPPを金字塔のようだと言ったことはないとしているが、うそをついた」

クリントン

クリントン

「TPPは私が求める基準を満たしていない。私はこれに反対しているし、大統領になっても反対だ」と反論しました。

司会者

「(クリントン氏が掲げる経済面での計画について)多くの点で2009年のオバマ大統領の景気刺激策と似ていて、それは1949年以来の低い経済成長につながった。あなたの計画は基本的にはオバマ大統領の景気刺激策と同じなのか?」

クリントン

クリントン

「私は個人的には、オバマ大統領が打った手は経済を救ったと考えている。あの頃はひどい不況だった。われわれは今やそれから抜けだし、立ち上がってはいるが、走るまでには至ってない。経済全体を前進させるためさらに努力しなければならず、私はそれができると考える」

銃規制で立場が分かれる

銃規制の問題でも論戦が交わされ、クリントン氏が合理的な規制は必要だと主張したのに対し、トランプ氏は銃規制が厳しければ暴力が減るわけではないとする例を持ち出して規制に慎重な姿勢を示し、立場が分かれました。

クリントン

クリントン

「(銃を所持する権利を保障した憲法修正第2条について)私は憲法修正第2条を支持し、銃を所有するという伝統を尊重している」

「しかし、合理的な規制は可能だしやらなければならない。私が憲法修正第2条を支持していることは、銃を持つべきではない人があなたや家族を銃で殺害できるようにしたいという意味ではない。年に3万3000人が銃で死亡している」

「包括的な身元と素行の調査や、インターネット上で購入する抜け道をなくすなことが必要だ」

司会者

「(トランプしに対し)あなたは殺傷能力の高い武器などに対するあらゆる制限に反対しているがなぜか?」

トランプ

トランプ

「シカゴではアメリカでも最も厳しい銃規制が設けられているが、ほかの都市よりも銃による暴力が多い」

「私は憲法修正第2条を強く支持している。NRA=全米ライフル協会から支持を受けたことを誇らしく思っている。憲法修正第2条に強い思い入れがあり、かつ、それを損なわない人物を連邦最高裁判所の判事に指名するつもりだ」

トランプ氏「メキシコ国境に壁を築きたい」

不法移民をめぐっても議論が交わされました。

トランプ

トランプ

「(不法移民やメキシコ国境に壁を築くと発言していることについて問われ)アメリカには、不法移民によって子どもを残忍に殺害された母親たちがいる。不法移民は、麻薬を持ち込んでいる。きちんとした国境がなければ国が存在しないも同然だ。しかし、クリントン氏は不法移民に恩赦を与えようとしている」

「麻薬がアメリカに持ち込まれるのを防ぐためには、強い国境が必要だ。メキシコとの国境に壁を築きたい。大統領になったら、まず、麻薬業者や犯罪を起こすような人を国外退去させる」

クリントン

クリントン

「ラスベガスに住む少女は、両親がアメリカ人ではないため、強制送還されるのではないかと心配している。私は、家族を離ればれにさせたくない」

「大統領になったら、100日以内に包括的な移民制度改革を進め、移民が市民権を得られる道を開いていきたい」

「不法移民に経済の表舞台に出てきてもらうことで、雇用主が不法移民を安い時給で働かせたり、利用したりすることを防げる。トランプ氏は、こうした不法移民の労働者を使って、トランプタワーを建設した」

トランプ

トランプ

「オバマ大統領は、すでに数百万もの人を強制送還させているが、クリントン氏はそのことについて触れたがらない」

過去の実績をアピール

両候補の過去30年の実績についても議論が交わされました。

トランプ

トランプ

「クリントン氏は、さまざまな形で深く国政と関わってきた。クリントン氏が私を上回る唯一のものがその経験だが、国の状況を悪化させたという悪い経験だ。クリントン氏はこの30年間、何をしてきたのか。彼女は口ばかりで何も実行していない」

クリントン

クリントン

「1970年代に、私は子どもを守るための基金をつくり、黒人の子どもたちが差別を受けないよう力を注いだ。その間、トランプ氏は人種差別問題をめぐり訴訟を起こされていた。その後、私は80年代には学校改革に取り組み、90年代には女性の権利や人権問題に取り組んだ。その間、トランプ氏は、かつて「ミス・ユニバース」で優勝した女性を侮辱するを発言をした。この30年、アメリカのために尽くしてきた」

トランプ

トランプ

「私はもっといい仕事をした。100万ドルの借金をして立派な会社をつくった。これまで会社を経営してきたように国のかじ取りができれば、この国を皆さんが誇れるような国にできる」