NHKでは、震災直後から、毎年、東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故で、特に被害が大きかった岩手、宮城、福島の3県で、被災した人や事故で被害を受けた人を対象に、アンケートを実施してきました。震災から4年となることしも2015年1月から2月にかけて実施し、701人の方々から回答を頂きました。調査にご協力いただいた方々に、改めてお礼申し上げます。
- 想定より早い
- それなりに進んでいる
- 想定より遅い
- 進んでいる実感なし
進まない復興実感
4年たった今も、復興の遅れを感じている人は65%に上ります。特に原発事故で大きな影響を受けている福島県ではその割合が高くなっています。一方で、去年やおととしのアンケート調査と比べると、「それなりに進んでいる」といった前向きな回答も増えていて、より多くの人が復興を実感できるような進展が期待されます。
- やや遅い
- 遅い
住まい再建が復興のカギ
「住まい」や「経済の再生」など8つのテーマごとに、復興スピードの感じ方を「遅い・やや遅い・ふつう・やや早い・早い」の5段階で聞きました。その結果、8つのテーマすべてで、「遅い・やや遅い」と答えた人が50%を超えました。特に「宅地の供給」や「公営住宅の整備」など「住まい」に関して復興スピードに遅れを感じる人たちが多いことがうかがえます。
- そう思う
- ややそう思う
- どちらでもない
- あまりそう思わない
- そう思わない
- ややそう思う
- そう思う
進む震災の風化
アンケートに回答した人たちのうち80%近くの人が「震災の風化」を感じていました。特に福島県では「風化」を強く感じている人が多い傾向がうかがえます。さらにどのような場面で感じるかという質問に対しては、「政府の支援策」、「メディアの取り上げ方」、「被災地以外の人との会話」の順に多くなっていました。アンケートの自由記述でも、震災に対する意識や考え方について、被災地に暮らす人と被災地外の人との間で隔たりが広がっているといった意見も多く寄せられました。
- そう思う
- ややそう思う
- どちらでもない
- あまりそう思わない
- そう思わない
震災遺構 分かれる判断
宮城県南三陸町の防災対策庁舎など震災遺構を巡っては、4年たった今も「残すべきか」、「解体すべきか」で分かれています。震災の事実や教訓を後世につたえるためにも残すべきという意見がある一方で、家族や大切な人たちが亡くなった現場を目にするのは辛いので撤去してほしいという意見もあります。意見が分かれるなかで、どのように震災の教訓を伝え続けるか、被災地での模索が続いています。
- そう思う
- ややそう思う
- どちらでもない
- あまりそう思わない
- そう思わない
- そう思う
- ややそう思う
- どちらでもない
- あまりそう思わない
- そう思わない
長期的な支援を
被災地への支援が十分だと感じている人が29%。2年後の未来は明るいと感じている人は17%にとどまりました。この2つのデータからは、被災地では、まだまだ支援を必要としていること、そして、被災者の「心」の復興も十分に進んでいないことがうかがえます。
支援のニーズも震災当初とは変化し多様化するなかで、どのような取り組みを進めれば、被災した人たちが未来に希望を持てるようになるのか。震災から4年という今、改めて震災のこと、被災地のことに思いを寄せ、息の長い取り組みを続けていくことが求められています。