マイナンバー

日本に住む一人一人に12桁の番号が割りふられる「マイナンバー制度」。
どんな仕組みで、私たちの暮らしはどう変わるのか、
そして、安心して使うために気をつけることは何か。
最新のニュースと共に、知っておきたいポイントをまとめました。

安心して使うために

 マイナンバーの通知が始まった去年10月以降、マイナンバー制度をかたった不審な電話やメールが増えています。

国民生活センターに寄せられた相談事例

・行政機関を名乗り、「マイナンバー制度が始まると手続きが面倒になる。至急、振込先の口座番号を教えてほしい」という電話があった。
・自宅を訪れて「マイナンバーが届いているか」と言われ、「届いていない」と答えると「1万円を支払えばすぐに届ける」と言われた。
・「マイナンバーの交付ができない」などとして別のサイトへのアクセスを誘導する不審なメールが届いた。

 マイナンバーの通知や利用手続きなどで行政機関の職員が電話で口座番号や資産、保険の状況などを聞くことはありません。また「通知カード」は無料で、交付に関して代金を請求されることはありません。国民生活センターによると不審電話などは通知カードが届く前、届けられている時、届いた後と、それぞれのタイミングに合わせた、もっともらしいことをかたってくる、ということです。今後も形を変えた手口でアプローチしてくることも考えられ、引き続き注意が必要です。

 今後、「通知カード」や「マイナンバーカード(個人番号カード)」を使うにあたっては、次の3つのことを心がける必要があります。
▽「通知カード」を受け取ったら、きちんと保管すること
▽税や社会保障などの手続きで必要な場合にだけ、マイナンバーを書くこと
▽番号をむやみに人に教えないこと

 マイナンバーは「社会保障」と「税」、それに「災害対策」の3分野を中心に法律で利用が限られています。ただ、3分野と言っても幅広いので、さまざまな場面で「あなたのマイナンバーを教えて下さい」と言われることになります。
 そのときは、「確かな相手先か」、「どういう目的で使われるのか」、「使用範囲以外で利用されることはないか」などと確認をすることも大切です。

 また、国や市区町村などが、電話やメールそれに突然の訪問などで、マイナンバーや口座番号を尋ねたり、現金を要求したりすることはありません。そうした電話などがあったときは注意が必要です。

 「通知カード」や「マイナンバーカード」など、マイナンバー制度に関する問い合わせに応じる無料のフリーダイヤルも設けられています。番号は0120−95−0178です。

  • 直ちに、市区町村に連絡をする必要があります。
    そして、悪用されるおそれがあるときは番号を変更することになります。
    今後、「マイナンバーカード」の活用が進むと、それに伴って、多くの機能が付いてくるので、注意が必要です。
    ただし、「マイナンバーカード」に個人の納税状況や年金の受け取り記録などが保存されることはないので、国は、「プライバシー性の高い情報が漏れることはない」としています。

通知が来たら

<通知カード>

※画像クリックで大きく表示されます。

 「通知カード」は全国のおよそ5400万世帯すべてに送られ、4人家族なら4人分の「通知カード」が入っています。送付先は去年10月5日時点の住民票に記載されている住所で、「通知カード」には、マイナンバーのほか、氏名、住所、生年月日、それに性別が記載されています。

 受け取ったら、家族分のカードがあるか、記載事項に間違いがないか確認し、間違いがあるなどしたら市区町村に届け出て再発行します。

 「通知カード」は、行政機関などの手続きでマイナンバーを記入する際、自分の番号を確かめるために使ったり、窓口で提示を求められたりするときに必要になります。

 また、勤務先の会社からは、家族の分も含めてマイナンバーを届け出るよう連絡が来ます。税務署に提出する源泉徴収票など、会社が従業員に代わって行っている税や社会保障などの手続きで必要となるからです。
マイナンバーの届け出は、パートや高校生のアルバイトであっても必要です。

 これからは「働くときにはマイナンバーを届け出る」。これが原則となります。

  • 「通知カード」は去年10月5日時点の住民票に記載されている住所に送付されるため、引っ越して住民票を移していないケースなどが考えられます。
    また、国外に滞在されている方などで、国内に住民票がない場合は通知されません。
    配達時に不在で受け取れなかった場合は住んでいる市区町村に戻り、少なくとも3月31日まで保管されることになっています。受け取るには市区町村の窓口での手続きが必要になります。

  • 日本に住民登録をしている人は、外国人も含めてすべて制度の対象になります。
    また、海外赴任の人は、原則として赴任の際、住民票がなくなっているので対象にはなりません。
    帰国して住民登録をしたあとに付番されます。

  • 派遣社員は、(雇用契約を結んでいる)派遣元の会社から給料を支払われるので、マイナンバーは派遣元に届け出ることになります。
    また、派遣元に登録だけをしている場合、本来ならば、働いていない(給料をもらわない)ので届け出る必要はないのですが、登録時点で届け出てもよいことになっています。

マイナンバーカード

 各家庭に届けられる「通知カード」には、「マイナンバーカード(個人番号カード)」と呼ばれる別のカードの申請書も付いています。

 「通知カード」がマイナンバーを記載した紙のカードなのに対して、「マイナンバーカード」は、さらに、顔写真やICチップなども入れ、公的な本人証明書としても使えるプラスチックのカードです。


※券面の画像はクリックで大きく表示されます。

 申請するかどうかは自由で、無料で発行されます。希望者は、申請書に顔写真を貼って、署名か押印をし、返信用封筒で送ります。申請書にあるQRコードを読み取って、スマートフォンなどで申請することもできます。申請すると、カードができたことを伝える「交付通知書」が届きます。
 カードは市区町村の窓口で受け取ることになっています。その際は「交付通知書」のほか、「通知カード」、運転免許証など本人と確認できる書類を持っていく必要があります。また「住民基本台帳カード」を持っている場合は合わせて提出します

 「マイナンバーカード」には有効期限があります。20歳未満は5年、20歳以上は10年で更新する必要があります。これは、顔写真が貼られているので、例えば、赤ちゃんだったら年月がたつと確認しづらくなるからです。

 国は、「マイナンバー制度」を社会に浸透させるには、この「マイナンバーカード」の普及が欠かせないとみていて、民間企業のサービスにも活用してもらうなど、カードの利便性を高めることにしています。

導入のメリット

公正・公平な社会の実現

 「マイナンバー制度」の導入で、国は「公正・公平な社会の実現」につながるとしています。マイナンバーを使えば、複数の仕事を持つ人の所得や家族全体の収入を把握しやすくなります。このため、所得の過少申告や、生活保護の不正受給などの防止につながり、本当に困っている人へのきめ細かな支援もできるとしています。

行政の効率化

 「行政の効率化」も期待され、これまで、それぞれの機関が持っていた情報をマイナンバーと結び付けて管理することで、お互いに照会しやすくなり、事務負担が軽減されます。

手続きの簡素化

 私たち、サービスを受ける側にとっても「手続きの簡素化」というメリットがあります。例えば、児童手当の手続きを行う際、これまで自分で事前に取り寄せる必要があった所得証明書が要らなくなります。さらに、将来的に年金記録とマイナンバーを結び付けて管理されれば、いわゆる「消えた年金問題」のように支払った年金記録の行方が分からなくなるといった事態を防ぐことにもつながります。

 2017年1月以降、省庁や国の関係機関のシステムで、そして同年7月には地方自治体のシステムでも連携が始まる予定で、こうしたメリットが受けられるようになります。

初めは3分野から

 マイナンバー制度は、まず、「社会保障」と「税」、「災害対策」の3つの分野を中心に利用されます。

 この3分野の手続きで、自治体や勤務先の会社、それに証券会社などにマイナンバーを届け出ることになります。

 主な手続きと届け出先です。


※証券口座は、取り引きの際に税金を支払うことからマイナンバーの届け出が必要になります。
また、死亡保険金や年金保険を受け取る際にも保険会社にマイナンバーを届け出ることになります。


届け出た際には、必ず「本人確認」という手続きが行われます。これは、他人によるなりすましを防ぐための仕組みで、▽本人実在性の確認(身元確認)と、▽「通知カード」か「マイナンバーカード」で、マイナンバーの確認(番号の真正性)が求められます。

広がる利用範囲

 マイナンバーは、スタート時の「社会保障」と「税」、それに「災害対策」から順次、利用範囲が拡大されることになっています。

 検討されているのは、医療やパスポート事務など生活に身近な分野で、マイナンバーをさまざまな情報と結び付けることで、利便性の向上を目指しています。

金融関係

 証券口座を開設するときなどにマイナンバーが必要になりますが、さらに2018年からは、個人の預貯金口座とマイナンバーが結び付けられるようになります。
これによって、複数の口座を持っていても、合計金額を把握して、税を公平に徴収できるようになり、脱税の防止などにつながります。
ただし、マイナンバーを金融機関に伝えるかどうかは個人の任意となっていて、国は「2021年以降に義務化の検討もありうる」としています。

医療・健康

 「メタボ健診」の受診情報と結び付けられ、転職などで健康保険組合が変わっても、情報を引き継げるようになります。 予防接種の記録は2017年7月以降、地方自治体の間で情報を連携し、引っ越しても正確に把握できるようになります。
 また、2017年以降に、マイナンバーの専用サイト(マイナポータル)を活用して、医療費の通知を確認し、医療費控除を申請する際の手続きなどが簡素化されることになっています。

戸籍事務

 戸籍情報とマイナンバーを結び付け、各種の手続きで戸籍謄本の提出を不要にしたり、戸籍謄本を取得しやすくしたりすることが検討されています。

パスポート事務

 海外に住んでいてもマイナンバーを活用できるようパスポートとの結び付けが検討されています。

自動車登録

 引っ越しをしても運輸支局に行かずに車検証を書き換えるなど自動車関連の手続きのワンストップ化を検討しています。

マイナンバーカードの活用

 「マイナンバーカード(個人番号カード)」は、行政だけでなく、民間のさまざまなサービスにも活用してもらうことが検討されています。

 国は、「マイナンバーカード」の利用促進で、マイナンバー制度を広く社会に浸透させたいと考えているからです。ただし、マイナンバーの番号自体は「社会保障」、「税」、「災害対策」の3分野を中心に法律で決められたものだけしか使えないので、「マイナンバーカード」に搭載されているICチップの機能を活用することにしています。

 国が想定している「マイナンバーカード」の活用法には次のようなものがあります。

健康保険証との一体化

 健康保険証には、会社の健康保険組合や共済組合、それに国民健康保険のものなどがあります。
「マイナンバーカード」の健康保険証としての活用も予定されています。

職員証や社員証にも

 国家公務員の職員証として使われるほか、地方自治体の職員証や企業の社員証、それに大学の学生証などへの利用も検討されています。また、市区町村の印鑑登録証や図書館カードとしても利用できるようになります。

コンビニ交付などのサービス

 コンビニなどで住民票や印鑑登録証明書などの公的な証明書を取得できるようになります。

本人証明書としてオンライン申請

 e-taxなど各種の行政手続きのオンライン申請のほか、ネットバンキングをはじめ民間の各種オンライン取引も可能になります。

 国は、将来的には、クレジットカードやポイントカードなどと連携させ、「マイナンバーカード」1枚に多くの機能を持たせる、いわゆる「ワンカード化」を目指しています。しかし、セキュリティ面を懸念する声もあり、理解が得られるか課題が残っています。

セキュリティ対策

 「マイナンバー制度」では、さまざまな個人情報がマイナンバーと結び付けられて管理されることから、サイバー攻撃などを受けた際に多くの個人情報が流出するのではないかという懸念があります。
こうした不安をなくすため、「制度による守り」と「システムによる守り」で、何重もの仕組みが取り入れられています。

 「システムの守り」では、情報管理について、「一元管理」ではなく「分散管理」が義務づけられています。
 「一元管理」が1か所でさまざまな情報を集中的に管理し、一度の操作で多くの情報を引き出せるのに対し、「分散管理」は、各機関が別々に情報を管理していて、たとえマイナンバーが漏れても“芋づる式”にすべて盗み取られる可能性を低くしています。
 そして、ある機関がほかの機関に情報を照会をする際は、マイナンバーそのものは使わずに、ネットワークを介し、暗号で情報をやり取りするので、たとえ漏れたとしても、個人情報にはたどり着けないとしています。

 また、自分の情報がどう使われているかを自分で確認する仕組みも作られています。これは、2017年1月から始まる「マイナポータル」というサイトで、自分の情報が、どの機関の間で、いつ、どのようにやり取りをしたのかを確認できる仕組みです。一人一人がみずから監視できるようになっています。

 一方、「制度による守り」では、各機関や企業は、取り扱いにあたって、厳格な安全管理のルールが求められていて、故意の漏えいや悪用をした場合には厳罰に処せられます。
 また、監視するための専門組織として「個人情報保護委員会」も設けられ、法律違反などに対して勧告や命令を出すことができます。

 さらに、万が一、自分のマイナンバーが漏れて悪用のおそれが生じた場合には、マイナンバーを変更することもできます。