今さら聞けないTPP 基本がわかる19のカード

“経済効果は約14兆円”政府試算

最終更新日:2015年12月25日

政府は、TPPへの署名を前に、経済効果の試算をとりまとめました。貿易や投資の拡大で、GDP=国内総生産を約14兆円押し上げる効果があるとする一方、農林水産物の生産額は最大で2100億円、減少するとしています。

約80万人の雇用創出

試算によりますと、協定の発効によって関税の削減や投資のルールが明確化されることで貿易や投資が拡大し、さらに、日本経済の生産性が向上するとしています。その結果、労働者の実質賃金が上昇するほか、海外からの投資が増えて、新たに約80万人の雇用が生まれ、GDP=国内総生産を約14兆円、率にして2.6%押し上げる効果があるとしています。

TPPの経済効果について、政府は、TPP交渉に参加する前の2013年3月にも試算を行っています。この際、GDPの押し上げ効果は3.2兆円で、農林水産物の生産額は3兆円減少するとしていて、今回の試算とは大きく異なります。これについて、政府は、前回は、農林水産物などの関税がすべて撤廃され、国内対策を一切行わないという想定で試算を行ったためだとしています。

農林水産業への影響は

農林水産省は、TPPによって輸入品が増加し価格が下落することによって、国内の農林水産業の生産額は最大で年間2100億円減少するものの、政府の農業対策などによって生産量や農家所得は変わらないという試算をまとめました。

農林水産省は、国内生産額が一定規模以上ある農林水産物33品目について、TPPによる影響をどれぐらい受けるか試算をまとめました。試算によりますと、国内の農林水産物の生産額は全体で年間1300億円から2100億円減少するとしています。

コメ

コメは、今の国が義務的に輸入する制度や高い関税が維持されることなどから生産額の減少はないとしています。

牛肉・豚肉

牛肉は、品質や価格で輸入牛肉と競合するホルスタインの牛肉などが値下がりするほか、和牛も一定程度、値下がりすることで牛肉全体で生産額は311億円から625億円減少するとしています。また、豚肉は、全体で169億円から332億円減少するとしています。

乳製品

        

乳製品は、チェダーチーズやゴーダチーズなどの関税が撤廃されることなどで原料となる生乳の価格が下落するとして、乳製品全体の生産額は198億円から291億円減少するとしています。

かんきつ類

かんきつ類は、出荷時期の早いみかんやみかん果汁などが値下がりするとして、 21億円から42億円減少するとしています。

かつお・まぐろ類

かつお・まぐろ類は、かつお節や缶詰などに加工されるものが値下がりするなどとして、57億円から113億円減少するとしています。

農林水産省は、国による農業の競争力強化策によって、国内の農家はコスト削減が図られるとともに経営安定対策による補てんもあることから、生産量や農家所得は変わらないとしています。ただ、これらの政策によって、どれぐらいコスト削減が図られるのか、また、どの程度国費を投入するのかは試算に入っていないと説明しています。