今さら聞けないTPP 基本がわかる19のカード

知的財産の主な合意内容

最終更新日:2015年10月23日

著作権

保護期間

現在、日本では、文学や音楽などの著作物の保護は「作者の死後から50年」となっていますが、今回の大筋合意で保護期間を少なくとも70年とすることが決まりました。

また、模倣品や海賊版などの取り締まりも強化されます。著作権侵害の疑いのある商品がTPP域内で輸出入された場合などでは、権利を侵害された当事者の申し立てがなくても、当事国の政府が差し止めできるようになります。

刑事罰・非親告罪化

著作権の保護が強化される一環として、著作権侵害があった場合に原則、作者などの告訴がなくても起訴できるようにする非親告罪とすることが決まりました。日本は現在、親告罪となっていて作者など被害を受けた人の告訴が必要です。

非親告罪について、日本ではアニメや漫画などを二次創作する同人誌などの活動を行う人たちからは、創作活動が取り締まりを受けるおそれがあるとして反対の声が上がっています。ただ、非親告罪が適用されるのは、オリジナルの著作物の収益に大きな影響を与える場合に限られています。具体的にどのような活動が非親告罪の適用対象となるのかについては、今後、著作権法の改正の議論の中で決めていくことになります。

民事訴訟・法定損害賠償

著作権が侵害された際の民事訴訟の損害賠償も焦点となりました。作者など被害を受けた人が民事裁判を起こし、損害賠償を求める際、日本では実際にこうむった損害額を立証する必要がありますが、インターネットなどを通じた侵害が増えるなかで損害の正確な立証が困難とされていました。

交渉では、著作権の侵害を立証すれば裁判所が一定額の賠償の支払いを命ずることができる法的損害賠償金ルールを導入することで各国が一致しました。このルールが導入されれば、権利者が損害額を立証をする必要がなくなり、悪質な海賊版などに対して訴訟を起こしやすくなる一方、軽微な侵害についても訴えられるリスクが増えることになります。

医薬品の開発データ保護

医薬品の開発データの保護期間では、▽データ保護の期間を8年以上とする方法と、▽データ保護は5年としたうえで、その後3年間は医薬品が販売できないような規制を導入することで実質的に8年間保護する方法のいずれかを選択できるようになりました。

医薬品の開発データの保護期間はTPP交渉で難航分野の一つとなり、最後まで焦点となっていました。世界有数の製薬会社を抱え、業界のロビー活動を背景に議会からのプレッシャーにさらされたアメリカと、薬の購入費用の一部を国が補助する制度があるために財政負担を抑えたいオーストラリアや新興国などとの対立は、交渉の結果、双方の主張に配慮したいわば折衷案の形でまとまりました。