ラグビー日本代表 イタリアに敗れる ジョーンズHC復帰後3連敗

ラグビー日本代表は、ことし3試合目のテストマッチとして、札幌市でイタリア代表と対戦し、14対42で敗れました。9年ぶりに復帰したエディー・ジョーンズヘッドコーチの就任後、テストマッチは3連敗となりました。

今月、ジョージアとのテストマッチに敗れて最新の世界ランキングで14位に下がった日本は21日、過去最高の世界8位につけているイタリアと対戦し、試合会場の札幌ドームには1万7400人余りの観客が詰めかけました。

日本は前半、イタリアのスピードに乗った連続攻撃に押し込まれ、トライ3つを許しましたが、前半終了間際にセンターのディラン・ライリー選手が自陣から抜け出してトライを決めて、7対24で試合を折り返しました。

ライリー選手は後半の開始2分にも相手のパスをインターセプトして、自陣から走りきってトライを奪い、トライ後のゴールキックも決まって日本が10点差まで追い上げました。

しかし、このあとはゴールライン手前で得たラインアウトでボールをつなぐことができないなど、勝負どころでミスが相次ぎ、イタリアにペナルティーゴール2つとトライ2つで着実に得点を積み重ねられて14対42で敗れました。

日本はことし9年ぶりにエディー・ジョーンズヘッドコーチが復帰しましたが、先月のイングランド戦、今月のジョージア戦に続いて就任後のテストマッチは3連敗となりました。

日本とイタリアの通算の対戦成績は、日本の2勝8敗となりました。

ジョーンズHC「現状はまだまだ幼稚園のようなチーム」

試合後、日本代表のエディー・ジョーンズヘッドコーチは「残念ながらこれが自分たちの現在地。もっとテストマッチのラグビーに慣れることが必要で、現状ではフィールドで解決策を見いだすことができていない」と、淡々と話しました。

2012年から2015年まで日本代表を率いていたころは、ふがいない内容の試合の後、会見場で怒りを隠さなかったジョーンズヘッドコーチですが、21日は終始落ち着いた様子で「もちろん結果は悔しいが、チームの現状はまだまだ幼稚園のようなチーム。経験や知識を蓄積することが大切で、テストマッチで相手と戦う力をつけるには最低でも20キャップは必要になる。自分たちはまだまだプロセスを積み重ねないといけない」と話していました。

松田「この負けは必ず財産になる」

ことし1月エディー・ジョーンズヘッドコーチが就任以降、一貫して掲げてきた「超速ラグビー」。

日本の持ち味のスピードを極限まで生かし、かつてない判断の速さを求める攻撃スタイルに、合宿では選手たちが「世界一おもしろいラグビー」と、一様に手応えを口にしました。

しかし、テストマッチで対戦した実力者たちを相手に、実戦で思うようにその形を見せられず、3連敗という結果で厳しい船出となりました。

この試合、日本のカギを握ったのはこの試合が代表2キャップ目、テストマッチ初先発となったスクラムハーフの小山大輝選手と、去年のワールドカップで活躍したスタンドオフの松田力也選手の2人でした。

ここまでの2試合、スクラムハーフはいずれも齋藤直人選手が先発出場していましたが、ジョージア戦で危険な行為があったとして出場停止処分を受け、地元・北海道出身の小山選手にチャンスが回りました。

松田選手はワールドカップ以来の日本代表での試合で、昨シーズン、埼玉パナソニックワイルドナイツでともに戦った2人が初めて桜のジャージでコンビを組み、息の合ったプレーが期待されました。

しかし、イタリアの強固なディフェンスを前に日本は素早い球出しを封じられ、キックで陣地を回復しても相手にプレッシャーをかけるまでには至らず、逆にボールを持ったイタリアにつながれて劣勢に追い込まれました。

後半からはスクラムハーフは小山選手に代わって藤原忍選手が入り、日本はオーソドックスな順目のパス回しで攻撃の形を作りましたが、勝負どころでミスを繰り返し、トライを取りきれませんでした。

試合後、松田選手は「準備してきたプレーもできなかったし、イタリアが1枚も2枚もうわてだった。自分たちのプレーができず、全員がパニックになってしまったところでカウンターパンチを食らってしまった」と話し、立て続けにトライを許した試合の入りの部分を反省しました。

それでも「この負けは必ず財産になる。ただ負けただけではなくて、チャレンジしたうえでの負けなので、ここで落ちることなく全員で前を向いて勝利を目指していきたい」と、最後は力強く話し、若いチームの可能性を示していました。

ジョーンズヘッドコーチが「まだまだ幼稚園生」と、評した現在の日本代表。

3年後のワールドカップでベスト4という高い目標を掲げる中、厳しい船出にはなりました。

一方で20歳のフルバック、矢崎由高選手など今回のテストマッチ3連戦で若い選手たちが代表デビューを飾ったことも事実です。

再び秋に迎えるニュージーランドやフランス、イングランドとのテストマッチで、どこまで成長した姿を見せられるか、ジョーンズヘッドコーチの手腕が問われます。